ホンダは、2026年F1シーズン後半戦のスタートとなるオランダGPで、新型パワーユニット(PU)を投入することを正式に明らかにした。アストンマーティンの苦戦を打開する重要な一歩となるアップグレードであり、エンジン性能の向上だけでなく、ドライバビリティや信頼性の改善も狙う。
一方、アストンマーティンは夏休み前最後のハンガリーGPで大規模なシャシーアップデートを投入する予定であり、シャシーとPUを別々のタイミングで導入することで、それぞれの効果を明確に評価できる体制となる。オランダGPで待望の新型PUを投入ホンダのトラックサイド・ゼネラルマネージャーを務める折原慎太郎氏は、新型PUの投入時期について、これまで「夏」と説明してきたものの、具体的な目標としてオランダGPを挙げた。「これまでは夏と言ってきましたが、それでは少し面白みに欠ける答えでした。ですから目標はオランダGPと言いましょう。オランダGPに新しいパワーユニットを投入できるよう、現在も開発項目を完了させるために懸命に取り組んでいます」なお、オランダGPはスプリントフォーマットで開催されるため、金曜日午後にはスプリント予選が始まる。新型PUに初期トラブルが発生した場合でも十分な修正時間が確保できない難しいデビュー戦となる。燃焼性能と摩擦低減を中心に大幅改良折原氏は今回のアップグレードについて、エンジン内部を中心とした大規模な改良になることを明かした。「完全に内部の変更です。重点はエンジン性能の向上にあります。燃焼室形状やプレチャンバーを見直し、燃焼性能を改善するために燃焼室の設計を変更しています」「さらに潤滑システムを改良して摩擦を低減しています。そして当然ながら、性能を引き上げるのであれば信頼性も高めなければなりません。まだ完了させるべき項目は数多く残っていますが、オランダGP投入を目指して作業を進めています」ADUO制度を活用した大型アップグレードホンダは2026年から導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)制度において、全パワーユニットメーカーの中で最も多くの開発機会を獲得した。現在のベンチマークと認定されたレッドブル・フォード製パワーユニットとの差を縮めるため、複数の開発項目をまとめて投入する予定だという。今回使用する開発枠について質問された折原氏は詳細を明かさなかったものの、大規模なアップデートになることを認めた。「具体的な数はご説明できませんが、開発項目は非常に多くあります。オランダGPでは数多くのアップデートを投入する予定です。何個とは申し上げられませんが、かなり大きな変更になります」目標は大きな前進も一足飛びの逆転は否定ホンダは今回のPUで最高出力だけでなく、ドライバビリティの改善も重視している。「新しいパワーユニットは純粋に性能向上を目的としています。ただ、燃焼特性を変更したことでデータやセッティングを最適化し直す必要があり、現在はドライバビリティの改善にも取り組んでいます。このノウハウは新型PUにも引き継いで最適化していきます」一方で、出力向上については「魔法はありません」と語り、一度のアップデートでトップ勢に追いつくことは現実的ではないとの認識も示した。「ダイノで確認した数値は把握していますが、公表はできません。我々は小さな改善ではなく、意味のある大きな前進を目指しています。ただ、F1に魔法はありません。今回の一度のアップデートだけでメルセデスやレッドブル・パワートレインズに追いつくとは考えていません」「性能開発は一歩ずつ積み重ねるものです。オランダGPはその第一歩であり、トップに追いつくには今後もさらなるアップグレードが必要になります」ホンダはハンガリーGPで投入予定のアストンマーティンの新型シャシーに続き、夏休み明けのオランダGPで新型PUを投入する計画だ。シャシーとパワーユニットを段階的に刷新することで、それぞれの効果を検証しながら戦闘力の底上げを図る。今回のアップグレードはタイトル争いを一変させるようなものではないものの、シーズン後半に向けた反撃の重要な第一歩となりそうだ。
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