伝統のモナコGPで、レッドブル・レーシング・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、終始リードを保って盤石の勝利を挙げた。モナコでのホンダF1エンジン/パワーユニットの優勝は、1992年のアイルトン・セナ選手以来となる。フェルスタッペンは2番グリッドスタートだったが、ポールポジションのシャルル・ルクレール(フェラーリ)が前日の予選で喫したクラッシュの影響で出走できず、先頭からのスタートとなった。
ターン1でバルテリ・ボッタス(メルセデス)を抑え込んでリードを確保したフェルスタッペンは、後続との差を徐々に広げ、ピットストップのタイミングを探りながらレースをコントロールした。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーは5番手、レッドブル・レーシングのセルジオ・ペレスは8番手で前方のセバスチャン・ベッテルをパスしようと攻めながらのレース序盤となった。16番手からスタートした角田裕毅は、スタート時にハードタイヤを装着し、前方で波乱が起こった際に前へ出られるよう、長いスティントを走行する戦略を採用した。ガスリーは30周目にピットストップ。後ろにいたルイス・ハミルトン(メルセデス)が1周前にピットへ入った動きに反応し、ハミルトンの前でコースへ復帰する。さらに遅くピットインしたセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)がピットアウトでガスリーに並びかけ、カジノ・スクエアで前に出られるが、6番手をキープしてレースを進める。フェルスタッペンは34周目にピットインすると、コースに留まっていたペレスの後方の2番手でコースへ復帰。これで前が空く形となったペレスはペースを上げてリードを稼ぎ、ピットストップ後には4つポジションを上げて4番手でコースへ戻る。これで再び首位に立ったフェルスタッペンは、レースを完全にコントロールし、後方のカルロス・サインツ(フェラーリ)との差を計りながらチェッカーフラッグまで駆け抜ける。ペレスは3番手のランド・ノリス(マクラーレン)をパスするべくペースを上げたが、オーバーテイクには至らず4位でフィニッシュ。レッドブル・レーシングは、フェルスタッペンの優勝とペレスの4位入賞で、合計37ポイントを獲得した。ガスリーも最終ラップまでベッテルにプレッシャーをかけ続け、6位入賞。角田は残り12周となるまでハードタイヤで走行を続けてソフトタイヤに交換したが、過去10年で2度目となるセーフティカー出動なしと展開に恵まれず、16位でチェッカーフラッグを受けた。この勝利で、ホンダF1としてはF1通算80勝を達成。さらに、フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンシップで、レッドブル・レーシングがコンストラクターズランキングで首位に立った。ホンダF1エンジン/PUのチャンピオンシップ首位は、1991年以来30年ぶり。次戦のアゼルバイジャンGPは、6月6日(日)決勝。今回と同じく市街地コースのバクーで開催される。山本雅史(ホンダF1 マネージングディレクター)「伝統のモナコGPでレッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手とともに優勝を果たすことができたことを、本当にうれしく思っています。世界三大レースのモナコGPで勝利を挙げられたことは、ドライバーにとっても我々にとっても特別な想いがあります。ホンダF1としては1992年のセナ選手以来のモナコでの勝利、そして、フェルスタッペン選手のモナコでの初優勝とともに、コンストラクターズ・ドライバーのチャンピオンシップでもトップに立つことができました。とは言え、まだまだ23戦中5戦を終えたところですので、ここからも長いシーズンが続きます。これからもシーズン全体を見据えた上で、一戦一戦を大切に戦っていきたいと思いますので、引き続き、ご声援をよろしくお願いいたします」田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)「2021シーズン第5戦となるモナコGPで、1992年のセナ選手以来となる勝利を挙げることができました。モナコのストリートコースで戦う特別なレースで、また過去にホンダF1 F1として多くの歴史を残してきたモナコGPで優勝でき、大変喜ばしい気持ちでいっぱいです。レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手にとってのモナコでの初表彰台、そして初勝利をチーム一同で祝福したいと思います。ポールポジションのルクレール選手(フェラーリ)がトラブルで出走できないなどの要因もありましたが、今日はフェルスタッペン選手とレッドブル・レーシングのマシン、ストラテジー、そしてホンダF1のPUがきちんと機能しました。ペレス選手も力強い走りを見せ、車の速さとチームの見事なストラテジーを活かしてスタートグリッドの9番手から大きくポジションを上げる4位でフィニッシュし、チームにとって大きな意味を持つポイントを獲得となりました。また、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリー選手は最初から最後までハミルトン選手を抑え込む走りで6位と、こちらもいいレースを見せてくれました。角田選手はスタートにハードタイヤを選択し60周以上もマネージするなど、この難しいサーキットを完走することで、多くのことを得てくれたと思います。レース中、前が開いたところでかなりいいラップタイムを刻むなど、速さも見せてくれましたが、全体としてはストリートサーキットでの予選ポジションが影響し、我慢のレースだったと思います。ホンダF1としてはフェルスタッペン選手およびレッドブル・レーシングとともにチャンピオンシップをリードする形となりましたが、まだまだここから長いシーズンが続きます。この先の戦いに向けてチームとともにさらにパフォーマンスを向上するため、全力を尽くして臨みます」マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ) モナコGPを勝つことができてとてもうれしく思います。難しいサーキットですし、トラブルなく週末を終える必要があるので、チーム全体、そしてもちろんホンダF1も合わせて、みんなで成し遂げたことにとても満足しています。僕は自分の目の前のレースにフォーカスし、クリーンにスタートを切ることだけを心掛けました。もちろんすべてをコントロールできていたように思えますが、あれだけ長い間集中をしてレースをするのは最も難しいです。レースを大きくリードしてリラックスしているときこそミスをしがちなので、自分自身に目の前の状況にフォーカスし続けるように言い聞かせていました。後ろにいたライバルが僕とのギャップを詰めようとしたときにはいつもすぐに反応してその差を維持できていたので、ペースは悪くなかったと思います。ここでは表彰台...