ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2020年のF1世界選手権 第7戦 F1ベルギーGPへの展望を語った。例年、長いサマーブレイクを終えてからスパ・フランコルシャンへとやってくるが、2020年の夏はタイトなスケジュールにより、レースのない週末のほうが少なくなっている。
ベルギーGPは、スパ・フランコルシャン、モンツァ、ムジェロと続く3連戦の初戦。この3つの会場の共通点は‟スピード“となる。ドライバーはパワーユニット(PU)に最大限の力を要求することになる。特に、スパ・フランコルシャンの名物コーナー ”オー・ルージュ“の上り坂からレ・コームまでの長い全開区間は、エネルギーマネジメントが非常に重要で、ホンダF1のエンジニアたちにとっても正念場となる。残念ながら今年は観客が不在だが、高速区間と高低差のあるコースは、息をのむような 光景を見せてくれる。スパ・フランコルシャンでは特有の変わりやすい天候にも注意が必要になる。いつものようにFIA-F2選手権も大会に花を添えてくれますが、この週末は昨年スパで亡くなったF2ドライバー、アントワーヌ・ユベールをしのぶ機会 にもなる。「2度目の3連戦の後、レースのない1週間を経て、ここからベルギーのスパ・フランコルシャン、イタリアのモンツァ、ムジェロと高速サーキットでの3連戦に向かいます」と田辺豊治はコメント。「歴史あるスパ・フランコルシャンは緑豊かな山間に作られており、丘を駆け上がる高速コーナーのオー・ルージュがあることで有名なサーキットです。それ以外にも、全長約7kmの起伏に富んだコース上にバラエティ豊かなコーナーが配されており、高速サーキットながらもドライバーの腕が試されることで知られています」「ここではPUのパワーが試されると同時に、回生エネルギーの使用と回収のバランスを考慮したエネルギーマネジメントが重要になりますので、セッションを重ねながらPUセッティングの最適化を進めていきます」「そして、先日の日曜には、アメリカから佐藤琢磨選手のINDY500優勝というビッグニュースが飛び込んできました。琢磨選手、2回目のINDY500制覇という快挙の達成、おめでとうございます!2度目のミルクの味はいかがでしたか? Honda Performance Development (HPD)の皆さんにも、おめでとうの言葉を送りたいと思います」「INDYと同様に、我々のF1でのライバルも強力ですが、両チームともにここまでの戦いの中でパッケージとしてのポテンシャルの高さを感じています。琢磨選手やアメリカにいる仲間たちの活躍にも応えるべく、今週末もいいレースを見せ、ポジティブな結果を得られればと思っています」