ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、F1エンジンの信頼性を向上させたことにより、問題の修正点を見つけるための“クリーンアップ”作業に気を取られることなく、パフォーマンス開発により多くの時間を費やすことができるようになっていると語る。ホンダF1は、レッドブルとパートナーシップ初年度となった2019年シーズンに3勝、2回のポールポジションを獲得。エンジンの問題によってリタイアすることなくシーズンを終えた。
だが、ホンダF1はまだシーズンを通して戦い抜ける信頼性を証明する必要がある。今年はフェラーリとメルセデスに匹敵するために多くのアップグレードを投入したことで信頼性とパフォーマンスを向上させたが、その代償としてグリッド降格ペナルティを受けることになった。ホンダF1とレッドブルとのコラボレーションは、昨年ホンダF1がジュニアチームのトロロッソにF1エンジンを搭載していたときからすでに開始されていたが、レッドブルと1年を過ごしたことで、信頼性を向上させたことの特別な利点が強調され、さらに努力を注ぐ必要のある場所についてより多くの洞察を与えることになった。「我々は予選のための優先事項、レースに勝つ方法を学んだと思っています」と田辺豊治は語る。「日本側のSakuraには改善するためのいくつかのキーポイントに集中することを求めています。我々は多くのことを学びました」「その一方で、今年、信頼性は十分に完璧というわけではありませんでしが、我々の信頼性は昨年からはるかに向上したと思っています」「それによって、対策テストやベンチテストではなく、前向きなアイテムを開発できるようになりました」「以前はクリーンアップテストに多くの時間を費やしていました。今ではパフォーマンスを改善することにより多くの時間をかけることができます。そうすることで、各エリアのより細かな部分を考えることができます」ホンダのパフォーマンス目標は、トラックサイドと研究開発チームに加え、レッドブルの上層部およびドライバーとのコラボレーションによって設定されている。2020年はテクニカルレギュレーションが安定することもあり、ホンダは、2020年にむけて今季と‟非常に類似”したF1エンジンコンセプトを維持する。レッドブル・ホンダはレースに勝てるチームであることを証明し、今シーズンはホンダがF1に復帰して以来、成功のための最高のチャンスを提示した。田辺豊治は、V6ターボハイブリッド時代での初表彰台を獲得し、2006年から続いていた未勝利を終わらせたことで、ホンダとしてそのチャンスを最大限に活用できたことを喜んでいる。「改善を示すことができました。今年は、レッドブルだけでなく、トロロッソも順調に前進しています」と田辺豊治は語った。「このプロジェクトに携わっているすべての人々、そして、ホンダの人々にとって非常に素晴らしいことでした。ですので、来年もこの勢いを保ちたいと思っています」「チャンピオンシップのために戦うという目標を達成するために、さらにプッシュする必要があります」