ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、“スペック4”F1エンジンの投入はレッドブルのドライバーにグリッド降格ペナルティを引き起こすことになるため、タイミングの決定は“非常に複雑”だと語る。今年、ホンダF1はすでに2回のエンジンアップグレードを行っており、積極的な開発プログラムによって次回レッドブルとトロロッソに新しいエンジンを提供する際には3回目のアップデートとなる“スペック4”を導入する機会となる。
現在の“スペック3”エンジンはF1フランスGPでデビューし、5レースを完了している。夏休みが明けると、F1ベルギーGP、F1イタリアGPとパワーセンシティブなサーキットでレースが開催され、その次にはレッドブルの最強のレースのひとつとなるシンガポールGPが控えている。スパとモンツァはポジションを挽回するのが比較的容易なサーキットであり、シンガポールでグリッドペナルティによってレースを損なうことなく新しいエンジンを導入する論理的なタイミングとなる。しかし、ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、夏休み前に決定は下されていないと語る。「我々は常にチームと話し合っており、新しいエンジンもしくはアップデート版をいつ適用するかを決定していきます」と田辺豊治は Autosport はコメント。「現時点ではまだ決定は行われていません。状況とタイミング、およびチームとの話し合いの結果によって異なってきます。非常に複雑です」F1シンガポールGPは、レッドブルが新たな勝利を収める重要な機会となることを考えると、ほぼ確実に優先順位が付けられることになるが、ホンダのホームレースとなる鈴鹿サーキットでのF1日本GPも夏休み後の5戦目に控えている。今年のF1日本GPは、ホンダが2015年にF1に復帰して以来、最も強い結果を獲得するため絶好の機会とも考えられる。レッドブルのトップドライバーであるマックス・フェルスタッペンがスパまたはモンツァでグリッド降格ペナルティを受け、鈴鹿までに新品エンジンを使用しない場合、フェルスタッペンはホンダのホームグランプリを数レース使い古したユニットで戦わなければなくなる。ホンダは、現在のエンジンには6つのレース週末をトラブルやパフォーマンスの大幅な低下なしで完了できる信頼性があると考えている。しかし、鈴鹿でのチャンスに向けた潜在的な解決策として、シンガポールGPと日本GPの間に行われるロシアGPでのエンジン交換を実施する可能性もある。F1ロシアGPは犠牲になるかもしれないが、ホンダは鈴鹿でフレッシュなエンジンを用意することができ、さらに変更やペナルティーなしでシーズンを完了するために十分なエンジンをプールすることができる。田辺豊治は「長期計画と短期計画の2種類の計画があります。レース後、PUのコンディションなど状況を確認しますが、短期的なものは2~3レース、長期的なものはシーズンの終わりまでを意味します」とコメント。「非常に複雑です」