ホンダのF1エンジンを搭載するマシンの4台は、F1オーストリアGP初日に力強いペースを示したマシンがあった一方で、クラッシュにより走行のチャンスを失ったマシンもあった。FP1ではレッドブル・ホンダの2台がそろってトップ6に入り、マックス・フェルスタッペンはトップから0.5秒以内に迫るタイムで5番手、ピエール・ガスリーはフェルスタッペンと0.118秒差の6番手につける。
トロロッソ・ホンダの2台のタイムはさらに接近したものとなり、12番手のダニール・クビアトと13番手のアレクサンダー・アルボンのタイム差は0.013秒だった。FP2ではクラッシュが多発し、2度の赤旗が出された。1度目の赤旗の原因となってしまったのはマックス・フェルスタッペンだった。最終コーナーでスピンすると、タイヤバリアに向かってクラッシュ。マシンの後部にダメージを負ってしまう。グランプリの初日をスペック2のPUで走行し、その後スペック3のPUに交換する予定だったため、レースウイークには影響がないものだった。しかし、今後PUが使用できなくなるような損傷があるかどうか、解析を進める予定となっている。マックス・フェルスタッペンはこのトラブルに見舞われたため9番手となったが、ピエール・ガスリーは2番手のバルテッリ・ボッタスと0.07秒差の3番手。レッドブル・ホンダ RB15にも慣れ、トップ集団の中で力強い走りをみせた。アレクサンダー・アルボンは、今回のレースからスペック3のPUを投入するが、PU交換のペナルティーにより、グリッド後方からの戦いとなる。それでも粘り強く走行を重ね、トップとのタイム差は1秒以内となる13番手でFP2を終えた。クビアトはここでもアルボンに迫るタイムで走行。アルボンと0.1秒差の15番手となった。田辺豊治 (ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日は風の影響によりコースオフしてマシンにダメージを受けるマシンが多くありました。レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手も不運にもFP2でダメージを負ってしまいました。なお、本日は金曜日用のPUを使用していたので、当初の予定通り今晩の作業でフランスGPにて投入したスペック3への交換を行います。クラッシュの影響を受けたPUについては早急にさくらに送り返し、ダメージ度合いを確認します。今回から4台全てのマシンにスペック3を適用することになりましたが、フェルスタッペン選手以外の3台についてはロングランも含めてセッティングの確認を進めることができました。明日も予選と決勝に向けて最適化を継続していきます」アレクサンダー・アルボン (トロロッソ・ホンダ)「後方からのスタートになることが分かっているので、通常と考え方を変えて週末を戦っています。ポール・リカールの結果を受けて、マシンの方向性を決めるためのテストを続けています。改善されたところもありますが、まだまだ上位進出には足りていないところもあると思います。一方で、(ペナルティーのために)いま僕がフォーカスしなければいけないロングランのペースは非常に力強いものがありました。マシンにはまずまず満足していますが、さらに習熟を深めて、ショートランでも上位に行けるよう、可能性を切り開きたいです」ダニール・クビアト (トロロッソ・ホンダ)「今日のマシンは少し走らせづらかったので、明日に向けて改善をしていこうと思います。マシンをよりよくするために、今晩多くの作業が必要になります。今日はエンジニアと協力していくつか異なる種類のセットアップを試しました。うまくいったものとそうでないものとがあったので、今日の走行で学んだすべてを明日以降に活かしたいと思います」ピエール・ガスリー (レッドブル・ホンダ)「FP1からマシンのフィーリングがよく、プッシュすることができてよかったです。フランスGPの時よりかなりマシンがよくなっているように思います。FP2ではいろいろありましたが、僕らとしてはやりたかったテストをすべてできました。今日は本当に暑く、風が強かったのでトリッキーなコンディションでした。決勝で上位に進出するにはこの暑さへの対応が最も重要だと思います。縁石では多くのマシンが壊れたので、ライン取り次第では大きな代償を払うことになると思います。タイムでは3番手とかなりよさそうに見えますが、トップのフェラーリからは0.4秒離されているので、明日も集中を続けてもっとペースを上げなくてはなりません。ロングランではコースがクリーンなところで走れなかったので、今日の結果を分析して、決勝に向けて最適な戦略を決めていきたいです」マックス・フェルスタッペン (レッドブル・ホンダ)「マシンのフィーリングはよく、それなりに競争力があると思います。もちろん、もっといい走りがしたいですし、クラッシュする前まではよかったと思います。トラフィックの中でベストタイムを記録できたので、ラップタイム以上に上位に近づけると思います。マシンはよかったですが、コーナーとストレートのどちらにフォーカスしていくか、もう少しバランスを考える必要があるので、今晩分析していきます。最終コーナーでクラッシュしたときは、非常に風が強く、風向きも不安定なところに巻き込まれる形になってしまいました。そこでリアのグリップを失い、バリアに当たってしまいました。幸いなことに、クラッシュしたのは修理ができる箇所で、金曜日だったのでレース用のパーツばかりという状況でもありませんでした。ただ、チームにとってはこの後の仕事がたくさんあるので、申し訳ない気持ちでいっぱいです。メルセデスが全開アタックをしていなかったので、僕らのパフォーマンスがどれほどのものか、端的に言うのは難しいですし、僕自身も慎重になっています。ただ、今日はマシン全体がうまく機能していて、これはポジティブな点だったと言えるでしょう」
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