ホンダF1は、2019年にむけて今シーズンの残りのレース週末にトロロッソに実験的なF1エンジンを実装していくことを計画している。ホンダF1は、今年6月にアップグレード版F1エンジンを投入。2019年からのレッドブルへのワークス供給に先駆けて、2018年シーズンの終了までに今季最後となる“スペック3”エンジンアップグレードの準備を進めている。
ホンダのモータースポーツ部長を務める山本雅史は、シーズン終了までにホンダはトロロッソのマシンでF1エンジンで実験を行っていきたいと Autosport に語った。「シーズン終了までに来年への準備として実際のトラックで何かを試すことができる機会はあると思います」と山本雅史はコメント。「我々はシーズン後半のこの機会を利用してトライ&エラーを実施していきたいと思っています」今シーズン、ホンダはピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーのマシンで主に戦略的な理由で多くのパワーユニットコンポーネントを使用しており、新品の内燃エンジン、ターボチャージャー、エネルギー回生システムのパーツを投入した場合は、グリッド降格ペナルティを受けることになる。来週末には鈴鹿サーキットでホンダのホームグランプリとなるF1日本GPが控えているため、そこでのグリッド降格ペナルティを避けることを考えれば、今週末のF1ロシアGPで大幅なエンジンアップグレードを投入することが理にかなっている。だが、トロロッソ側もF1アメリカGPで新しいフロントウイングとフロアを含めたシャシー側の空力アップグレードの投入を予定しており、ホンダはそれに合わせて大きなアップグレードを遅らせる可能性もある。ホンダの主なコンポーネント変更は、“スペック3”版エンジンが最も明白なアップグレードとなるが、それだけでなく、効率性の向上や軽量化を追求した付属的な新パーツの導入によってもゲインを見い出すこともできる。最近、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ホンダにはF1でも傑出したリソースを誇っていると語っており、ドライバーのマックス・フェルスタッペンもホンダにはもっと多くのポテンシャルがあると信頼を示している。ホンダは2015年にマクラーレンのワークスパートナーとしてF1復帰して以来、信頼性とパフォーマンス不足を露呈していたきが、今年はトロロッソとの新たなパートナシップのなかで信頼性とパフォーマンスを改善させており、それはレッドブル・レーシングがルノーとの関係を終了させるうえで重要な役割を果たした。今シーズン、トロロッソ・ホンダは好成績を連発しているわけではないが、バーレーンGPでは、ピエール・ガスリーがホンダがF1に復帰して以降のベストリザルトとなる4位入賞を果たしている。この結果とレッドブルがホンダに対する信頼が高めたのは、主にマネジメント構造の見直しによるところが大きい。2017年末までは、F1プロジェクト総責任者である長谷川祐介が現場と技術開発の両方を担ってきたが、今季からは田辺豊治がF1テクニカルディレクターとして現場を仕切り、HRDさくらでは新たに浅木泰昭が研究開発を統括している。「今年、我々は組織を変更し、現場の運営と開発の役割を明確にしました」と山本雅史はコメント。「二頭体制です。我々は両方の機能を強化し、田辺と浅木の両方に強いリーダーシップを持たせています。そのため、設備を含め、以前よりも良い形となっています」