ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、2022年から始まったグラウンドエフェクト世代のF1マシンで苦戦を強いられてきた経験を踏まえ、2026年から始まる新レギュレーション周期に向けて「祈るような気持ちだ」と語った。2026年F1シーズンは、シャシーとパワーユニットの両面で大規模な規則変更が行われ、現行のグラウンドエフェクトカーに終止符が打たれる節目となる。
ハミルトンにとっては、2025年にフェラーリへ移籍して迎えた初年度が不本意な結果に終わっただけに、新時代は状況を好転させる重要な機会でもある。2022年以降の現行世代において、7度のF1世界王者が挙げた105勝のうち、わずか2勝しかこの規則下では記録できていない。特に予選では、ブレーキング後の鋭いコーナリングを必ずしも報いてくれない特性に苦しめられてきた。40歳のハミルトンは、この世代のマシンについて「これらのクルマについて、恋しくなるものは一つもない」とまで言い切り、2007年にF1へ参戦して以来、最も嫌いなレギュレーション周期だと表現している。2026年の新規則について問われたハミルトンは、これまでに経験してきたレギュレーション変更と比較しながら振り返った。「とても興味深い経験だった」とハミルトンは語る。最初に大きな変更を経験したのは2009年で、スリックタイヤが再導入され、ウイングサイズが拡大され、ディフューザーにも変更が加えられ、ダウンフォース依存を減らすことが狙われた。当時、マクラーレンは苦戦し、ディフェンディングチャンピオンだったハミルトンは9戦終了時点でランキング11位に沈んだが、その後ある程度持ち直し、最終的にはランキング5位でシーズンを終えた。一方で、2014年と2017年の規則変更では状況が大きく異なった。ターボハイブリッド時代に入った2014年以降、ハミルトンはメルセデスで6度の世界タイトルを獲得している。2025年アブダビGPの場で、ハミルトンは2009年当時の経験をこう振り返った。「2009年のマクラーレンで、年明け最初の日に『ダウンフォースを50%減らす規則だ』と言われた。だから彼らは50%のダウンフォースを持つクルマを作ったんだ。1月に戻ってきたとき、『もう目標に達した』と言われて、『普通それってあるの?』って思ったのを覚えている。最初のテストに行ったら、まったくダウンフォースがなくて、完全に遅れていた。あの経験から本当に多くを学んだ」さらに2014年については、次のように続けている。「2014年は本当にワクワクした。新しいチームに移ったばかりで、特にエンジン面で、数年前からすでに驚くような仕事が進められているのが見えたからだ」そして2017年については、こう語った。「2017年はクルマが大きく、幅も広くなって、見た目もよりマッシブだった。ダウンフォースも増えて、とにかく最高だった。この世代は、おそらく最悪だったと思う。だから次の世代が、これより悪くならないことを祈っている」2025年シーズンのメディア対応を見れば、ハミルトンがいかに現行マシンを嫌っていたかは明らかだった。短い一言で終わる回答が多く、全体的に沈んだ様子が目立っていた。その年、ハミルトンはランキング6位に終わり、チームメイトのシャルル・ルクレール(フェラーリ)から86ポイント差をつけられた。上海でのスプリント勝利が、シーズン唯一のハイライトだった。フェラーリのパフォーマンス不足も影響しており、チームは6月の時点で2025年型マシンの開発を停止した。短期的には苦しさを伴った判断だったが、ハミルトンはそれが正しい決断だったと考えている。「僕はフレデリック・バスールを後押ししていた」とハミルトンは語る。「新しいクルマの開発で他と遅れを取るわけにはいかない。僕たち全員にとって、学習曲線はとても急だからだ」「だから100%支持したし、今もそう思っている。あの時点でのクルマの状況を考えれば、タイトル争いをしていなかったし、正しい判断だった」その一方で、開発停止によってシーズン中のパフォーマンス維持が難しくなったことも認めている。「少なくとも、シーズン序盤にあったパフォーマンスを維持するのは難しくなった。ただ、チーム全体については僕には答えられない。僕の経験では、みんな本当に前向きだった。だから心理的な影響は見ていない」
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