FIA(国際自動車連盟)は、F1ワールドチャンピオンのルイス・ハミルトンが、F1トスカーナGPでブリオナ・テイラーさんの死に抗議するTシャツを着たことでルールに違反したかどうかを調査している。F1トスカーナGP決勝レース前、ルイス・ハミルトンは、反人種差別運動の一環としてF1が実施している『End Racism(人種差別撲滅)』活動に前面に「ブリオナ・テイラーを殺した警察官を逮捕せよ」のメッセージ、背中にはテイラーさんの顔写真とともに「彼女の名前を呼ぼう」という文字が書かれたTシャツを着用。
レースで優勝したルイス・ハミルトンは表彰式にも同じTシャツを着て参加している。今年3月、ケンタッキー州ルイビルの救命士であるブリオナ・テイラーさんの自宅に薬物の捜査令状を持った警官が強制侵入し、恐怖を覚えた彼女のボーイフレンドが警官の足を銃で撃つと、警官はアパート室内で20発以上発砲し、ブリオナを8回以上撃って死亡させた。警察が裁判所に提出した書類によると、ルイビル市警察が捜査令状をとった薬物容疑の主要ターゲットはブリオナ・テイラーさんではなかった。テイサーさんの死は、ケンタッキー州検事総長とFBIによる米国での調査の対象となっている。FIAは「この問題を積極的に検討している」と語った。FIAは、競技者が「政治的または宗教的な性質の広告、またはFIAの利益に害を及ぼす広告」をマシンで使用することは許可されていないと述べているが、ドライバーが自分自身を表示できることについての具体的な言及はない。現在、FIAはルイス・ハミルトンが着ていたTシャツに政治性が込められているかどうかを判断している。今年の全米オープンでは、優勝した大坂なおみがテイラーさん含めた黒人に対する人種差別や警察による暴力の犠牲者となった7名の名前を遺したマスクを着用した。大坂なおみのマスクと同じ意味合いを持っているかと質問されたルイス・ハミルトンは「そんなに違いはない。それでも、同じことを戦っている」とコメント。「ただ・・・あのシャツを着るのに長い時間がかかったし、僕はそれを着て、路上で殺された人々がいること、そして、自分の家で殺された誰かがいることを認識させたいと思った」「家を間違ったのにまだ自由に歩けている。僕たちは気を休めことができない。僕たちはできないんだ・・・僕たちはそれで意識を高め続ける必要がある」「なおみは素晴らしいことをしているし、ここに心から祝福したい。彼女は自分のプラットフォームでやったことは信じられないほどのインスピレーションを与えたと思う。僕たちはとにかくこの問題を推進し続けなければならないと思っている」ルイス・ハミルトンはレース後のインタビューを「ブリオナ・テイラーのための正義だ」と締めくくった。F1の唯一の黒人ドライバーであるルイス・ハミルトンは、スポーツの『End Racism(人種差別撲滅)』キャンペーンを擁護し、『Black Lives Matter』活動の著名な声でもある。これまでのグランプリで“片膝立ち”のポーズを何度も実行し、モータースポーツの多様性を向上させるために独自の委員会も立ち上げている。
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