2025年のF1シーズンも終盤戦に差し掛かるなか、ジョージ・ラッセルの将来をめぐる移籍の噂が再燃している。イタリアメディアは、フェラーリが2027年に向けてラッセル獲得を画策していると報じた。メルセデスと2026年までの契約を結んだばかりの彼だが、契約には退出条項が含まれているとされ、状況次第では移籍の可能性も否定できない。
ラッセルは現在、F1キャリア最高のシーズンを送っており、ランキング4位(2勝・8回の表彰台)と絶好調。だが、そんな彼にとってフェラーリ行きは必ずしも魅力的な選択ではない。むしろ、2025年のマラネロ陣営が示した迷走ぶりが“警告”となっている。バスールの判断ミスが招いたフェラーリの「フラストレーション」2025年シーズンのフェラーリは、ハミルトンとルクレールというドリームラインアップを擁しながら、未だ未勝利という失望の年を送っている。SF-25は扱いが難しく、車高や挙動の不安定さが最後まで解消されなかった。両ドライバーが求めた空力アップデートを無視し、フレデリック・バスール代表はリアサスペンション改良で問題が解決すると主張したが、結果は裏目に出た。チーム内では技術部門の意見対立が続き、開発の方向性はバラバラ。レース現場でもミスが相次ぎ、心理的にも消耗した状態でシーズン終盤を迎えている。こうした“フラストレーション”に満ちた状況は、チームリーダーとして自信を深めているラッセルにとって、決して魅力的ではない環境だ。メルセデスで得た地位と、フェラーリでの現実的リスク現在27歳のラッセルは、メルセデスで完全にチームの中心的存在となり、ルイス・ハミルトン離脱後の“新時代”を牽引している。2025年のパフォーマンスも安定しており、明らかにチームリーダーとして成長を遂げている。一方でフェラーリに移籍した場合、ルクレールが長年築いてきた“エース待遇”を崩すのは現実的に難しい。実力にかかわらず、序列上は常に2番手扱いとなるリスクが高い。現状の安定した立場を捨ててまで、チーム内政治に苦しむ可能性のある環境へ飛び込むのは得策ではないだろう。2026年、メルセデスが再び頂点に返り咲く可能性2026年から施行される新レギュレーションに向け、メルセデスは再び最強エンジンを手にするとの噂が絶えない。過去のルール変更期における実績を考えれば、その可能性は決して低くない。デイモン・ヒルも「2026年のラッセルはタイトル候補になり得る」と述べており、チャンピオンシップ争いの最前線に立てる条件は整いつつある。ラッセルが守るべきは“現在の正解”2025年のフェラーリが示したのは、才能あるドライバーでもチーム構造が機能しなければ結果を出せないという現実だ。ラッセルは今、勝てるチーム、信頼できる組織、そして自らの地位をすでに手にしている。マラネロの赤い誘惑に惑わされるべきではない。2027年、彼に必要なのは「新天地」ではなく、「継続による頂点」だ。Source: F1 OVERSTEER