2026年のF1で大きな議論を呼んでいるADUO(性能均衡調整制度)について、FIAシングルシーター技術責任者のニコラス・トンバジスが、その評価方法の背景を明かした。現在のADUOは内燃エンジン(ICE)の出力のみを評価対象としており、電気系統の性能は測定に含まれていない。この方針に対しては、2026年型パワーユニットが電動比率を大幅に高めたレギュレーションであることから、パドック内でも議論が続いている。
ADUOを巡る議論が継続本来であればモナコGP前に正式発表される予定だった2026年最初のADUO適用結果だが、バルセロナ・カタルーニャGP終了後もなお正式な公表には至っていない。ただしチーム側にはモンテカルロGPの土曜日に非公式な形で配分区分が伝えられており、レッドブル・フォードが基準値となり、メルセデスが2%差、フェラーリが4%差のカテゴリーに分類されたとされている。この結果を受け、コンストラクターズ選手権をリードするメルセデスが補正対象となる可能性を巡って、パドックでは大きな議論が巻き起こった。なぜICEだけを測定するのかこうした論争の中心にあるのが、ADUOが内燃エンジンのみを測定対象としている点だ。トンバジスはスペインメディア『SoyMotor』に対し、その経緯を説明した。「ADUOが燃焼エンジン部分に焦点を当てている理由は、電気系統こそが本当の戦場になると考えられていたからだ。その分野で競争し、最も優れたメーカーが勝利するべきだという考え方があった」さらに2025年末から2026年初頭にかけて行われた議論についても振り返った。「ADUOの詳細を決める過程では、副次的なパラメータを含めるかどうかも議論した。例えば吸気マニホールド温度が高ければ出力は下がるが、冷却要求が減るため空力的には有利になる。そうした要素を考慮するべきかどうかも話し合われた」「エンジン性能に影響するさまざまなパラメータについて検討したんだ」メーカー側は『できるだけ単純に』を要求FIAとしては、より多くの要素を組み込んだ複雑な評価方式も検討していたという。しかし、その方向性はパワーユニットメーカー側の意向によって変わった。「その議論の中でメーカー側は、可能な限りシンプルな仕組みにすることを望んだ」「出力だけに集中するべきだという立場だった。我々はそれに対して問題ないと答え、その簡素化の方針を受け入れた」トンバジスは、FIAが独自に簡略化したわけではないことを強調した。「もっと複雑な方程式を作ることもできた。しかし最終的には、できる限りシンプルな制度にすることが選ばれた」現在はトルクセンサーでICE出力を監視現在のADUOでは、エンジンとギアボックスの間に設置されたトルクセンサーによって出力を測定している。評価対象はあくまで内燃エンジン部分のパワーだが、単純な最大出力値だけで判断しているわけではなく、一定の補正要素も組み込まれている。ただし、その根本思想は極めて明確だ。2026年レギュレーションにおいて電気系統は各メーカーの競争領域として残しつつ、ICE性能の大きな格差のみをADUOで調整するという考え方である。今回のトンバジスの説明によって、FIA主導でICE限定の評価方式が決まったのではなく、パワーユニットメーカー各社が求めた「シンプルな制度設計」が現在のADUOの土台になっていることが改めて明らかになった。
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