元マクラーレンのF1チーム代表マーティン・ウィットマーシュが、FIA(国際自動車連盟)の臨時コンサルタントとしてF1の現場に復帰することになった。マーティン・ウィットマーシュは、マクラーレンでチーム代表としての5年間を含めて24年間仕事をしてきたが、チーム低迷の責任を問われる形で2014年に辞任。その後は、ランドローバー BAR アメリカズカップのヨットレーシングチームのCEOを務めてきた。
最近ではフォーミュラEの新たな機関“グローバル・アドバイザリー・ボード”のメンバーとして同シリーズに参画していた。この機関は4度のF1ワールドチャンピオンで、ルノーF1チームのアンバサダー、ルノー e.damsの共同オーナーでもあるアラン・プロストが率いている。そして、このたび、マーティン・ウィットマーシュは、予算キャップを含め、F1のコスト管理ルールを導入する手助けをするためにFIAと協力することになった。マーティン・ウィットマーシュは、2010年から2012年までFOTA(フォーミュラ・ワン・チームズ・アソシエーション)の会長を務め、F1のコスト管理を扱ってきた。その間、FOTAはチーム間のリソース・リストリクション・アグリーメント(RRA)を締結している。RRAは、コスト削減を目的に合意されたものだったが、その後チーム間の争いに発展してFOTAの崩壊へとつながった。FIAのF1コミュニケーション責任者を務めるマッテオ・ボンチアーニは「ウィットマーシュは、FIA F1世界選手権の公平で持続可能な競争のための財政規則の定義を支援するために、臨時でFIAと協力してほしいという招待を受け入れてくれた」と述べた。マーティン・ウィットマーシュの任命と役割については、18日(木)にロンドンで開催されるFIAとF1ストラテジーグループの会議に続いて明らかにされるとみられている。前回、F1が予算キャップを設定しようとしていた2013年、マーティン・ウィットマーシュはそのようなシステムは全チームがそれを受け入れ、不公平な利益を得るために機会を利用しようとしない場合にのみ機能すると述べていた。「予算キャップを導入したいのであれば、それを実現する方法はある。だが、機会主義的であったり、それを頓挫させようとする少数派は常にいるものだ」と当時マーティン・ウィットマーシュは語っている。「常に“持っている”者と“持っていない”者がおり、問題は“持っている”者がそれに対処することを望まないことだ。予見できない結果や変化をきめ細やかにバランスがとれた状況で実現するのはとても簡単なことだ。私はそれは可能だと思っている。だが、そこには十分な意思がなければならない・・・」F1の新オーナーであるリバティメディアは、FIAと協力して今後数年で何らかのカタチでコスト管理を導入したいと考えているのは明らかだ。昨年、予算キャップのコンセプトがチームに概説され、さらに数週間にわたって個別の会議が行われている。FIAとリバティメディアは18日(木)のF1ストラテジーグループの会議で、2021年のF1エンジン計画を含めた将来のルールについて議論する予定となっている。