F1ドライバーは、ダブルイエローフラッグが掲示された際に速度を制限するというFIAの計画にポジティブな反応を示している。鈴鹿で発生したジュール・ビアンキの事故を受け、FIAはロシアでチームとミーティングを行い、再発防止に向けて議論を展開した。レースディレクターのチャーリー・ホワイティングは、イエローフラッグ区間でドライバーたちの判断でスピードを緩めるのではなく、強制的に減速させるシステムを提案している。
新しいシステムは、コース上のイエローフラッグが振られている区間を通して、ドライバーを指定のタイムで走らせるか、速度を一定にする方法になると見られているが、マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、3週間後に開催されるF1アメリカGPのフリー走行でテストする可能性があることを明かした。「FIAは、オースティンのフリー走行中にテストする計画だと思う。私はそう理解しているが、最終的な承認はない。テストすることがと議論されているのはわかっているし、正直、良いシステムだと思っている。機能するはずだ」 一方で、ウィリアムズのパフォーマンスエンジニアリング責任者ロブ・スメドレーは、すでに存在するシステムを使ってイエローフラッグ中のマシンを容易にスローダウンさせる方法が2つあると述べた。「方法はいろいろとある。速度を制限する方法として2つの例を挙げれば、我々は物理的なピットレーンの速度リミッターを使っており、これを用いればマシンを特定の速度に制限できる。そして、セーフティカーが導入される際にはプロキシで制限している。セーフティカーのスピリットタイムを与える。これは燃料を重くした状態での平均ラップタイムよりも一定の割合で遅いペースになり、ドライバーたちはこのスピリットタイムに従わなければならない。これからシーズン末までに様々なアイデアがあがってくるだろうが、技術的にはすべて可能だ」 「私的には、あらゆることに対応するのであれば、スピリットタイムがいいと思う。その理由は、すでにセーフティカーが導入された場合に広く使われているテクノロジーだからだ。スピリットタイムがあればドライバーはそれに従って走るので、彼らは自分たちが何をすべきか正確にわかる。F1にとってもドライバーにとっても、慣れる必要性のある重大な技術ではないので、やるならそれが一番簡単な方法だと思う」 フェルナンド・アロンソによれば、F1ドライバーはシステムの導入に乗り気なようだ。 「僕は支持する。実際、ドライバー会議で指摘したことがある。日本とシンガポールに滞在中、インドアのカートコースに行った。そこではイエローフラッグが出ると、ボタンを押せばエンジンがカットされて全員が同じ速度になる」「もし、そのようなシステムがF1でできるなら、誰にとっても同じになるわけだし、全員が同じギャップを維持するので、クラッシュが起きることもなければ何も起きない。ただ速度制限に従って走るだけだ。それは良いことだと思う」 セバスチャン・ベッテルも対策を講じることが重要だと語った。 「先週のことがあって、僕たちが何かやらなければならないのは明らかだ。それをするための技術はたくさんある。でも、何がベストな解決策かを見いださなければならない。速度制限というなら、どういう速度制限なのかをね」 「そして、できるだけ公平になる方法でやらなければならない。今のシステムやテクノロジーに可能性があると確信している。そんなに大きな問題ではないはずだ。全員が納得する適切な妥協点を見いだすだけだと思う」 「できれば来年までには何かを考え出せたらいいね。僕たち全員が納得するものをね。今はまずそれに賛成している。そのようなを導入しても誰も傷つかない。僕たちのプライオリティは安全性だ。競争はその次だ。だからこそ、できるだけフェアにやりたい」また、ルイス・ハミルトンは今週末のグランプリで開かれた会議中にも進歩はあったと認めている。 「いいと思う。金曜日にジャン・トッド(FIA会長)とドライバーの話し合いがあって、アイデアのひとつとして、フラッグが掲示されたら全てのエンジンを落としたり、リミッターをかけたりするような、電気カートにあるアイデアが出てきた。かなりいいと思う」 「素晴らしいのはFIAが対応していることだ。彼らは最善の解決策を見い出そうと努力している。フラッグの問題は、安全性を確保したいけど、タイムはできるだけ失いたくないから、微妙なラインだ」 「だから、もしリミッターが採用されたら、何かをやったり、ミスを犯してチャンスを失ったりというようなプレッシャーから解放される」 関連:FIA、ジュール・ビアンキの事故の詳細を公表