フェラーリF1のチーム代表フレデリック・バスールは、2026年F1日本GPで鈴鹿のオーバーテイク数が増加したことについて、F1全体にとって前向きな一歩だったとの見方を示した。2025年の鈴鹿ではオープニングラップ後のオーバーテイク数が15回にとどまったのに対し、今年は最初のピットストップ前、わずか16周までの時点でその数字を上回った。
エネルギー回生システムやバッテリー展開がレースのあり方に与える影響に不満を示すドライバーもいる一方で、バスールはこの変化を「ショーとして良かった」と受け止めている。フェラーリにとっても、シャルル・ルクレールが表彰台を確保した今回の日本GPは収穫のある一戦となった。バスールは、終盤にジョージ・ラッセルと激しく争いながら3位を守り切った走りを高く評価し、チームにとっても次戦までの中断期間に向けた重要な手応えになったと語った。鈴鹿のオーバーテイク増加はF1全体にとって前向きフレデリック・バスールは、鈴鹿でオーバーテイクが増えたこと自体に大きな意味があったと強調した。「まず第一に、全体としてF1にとって良かったと思う。選手権にとっても、みんなにとっても良かった。なぜなら、あれは良いショーだったと思うし、多くのオーバーテイクがあった。過去の鈴鹿よりずっと多かったし、これは全体として良いことだ」とフレデリック・バスールは語った。今回の発言は、2026年F1マシンのレーススタイルを巡って賛否が分かれる中でも、実際のレース内容そのものにはポジティブな要素があったことを示すものだ。少なくともバスールは、鈴鹿での展開をF1全体にとって前進と受け止めている。フェラーリにとっては3戦連続表彰台の意味も大きいバスールは、レース内容だけでなく、フェラーリにとって3戦連続表彰台となった点にも価値があったと述べた。「2つ目の点として、我々にとってはこれで3戦連続の表彰台だ。もっと上を望んでいるが、終盤のシャルルの走りは本当に、本当に力強かった。ラッセルと争う中で、メルセデスを、そしてラッセルを後ろに抑えることが我々にとって重要だった。最後の10周は、ファクトリーのみんなにも、チームにも、我々にはそれができると示したと思う」「これは重要なことだし、この中断期間に入るうえで最高の形だ。我々はプッシュしなければならないことも、作業しなければならないことも、マシンを開発しなければならないことも分かっているが、長いブレイクになる」このコメントからは、単なる3位獲得以上に、メルセデスとの直接対決を制したことがチーム内部に与える心理的な効果を重視していることがうかがえる。ルクレールの走りは結果だけでなく、フェラーリがまだ戦えるという感触を組織全体に与えた。ルクレールの駆け引きを高評価 ハミルトンには課題も残る終盤の攻防について、バスールはルクレールの判断力とレースマネジメントを称賛した。「全体として良い戦いだったし、(ルクレールは)とても賢かった。最終シケインでラッセルを前に出して、ターン1で抜き返せるようにしていた場面もあった。彼はラッセルに対するオーバーテイクモードも含めて、これをとてもうまく管理していた。我々は満足していいし、彼自身も自分のやったことを誇りに思っていい。本当に、本当に力強い走りだった」一方で、セーフティカー後に3番手から6位まで後退したルイス・ハミルトンについては、現在のフェラーリF1が抱える弱点にも言及した。「今季はっきりしているのは、オーバーテイクモードの範囲内にいなくなると、少しペースを失ってしまい、コース上で列車のような状態になるということだ。(ハミルトンが)前のクルマとの1秒差を失ったとき、少し難しくなった。我々にはストレートでのパフォーマンス不足があることは分かっているし、それについて取り組まなければならないが、現状はそういうことだ」この部分は、フェラーリの課題が明確にストレート性能にあることを認めた発言でもある。ルクレールの表彰台は大きな成果だった一方で、ハミルトンのレースは、マシンが置かれた現状をそのまま映し出す内容でもあった。中断期間は弱点克服の勝負になるマイアミGPまでの想定外の空白期間を前に、バスールは今後の焦点が開発競争にあると語った。「我々には、パドックのみんなと同じように多くの仕事がある。これはマシンのホモロゲーションの始まりだ。つまり改善すべきことが山ほどあるということだ。3戦を終えて、マシンの競争力や、どこがまずまずで、どこがそうでないのかを理解するための良いデータが得られた」「パフォーマンスはあらゆるところから生まれる。だが我々は、パフォーマンスのあらゆる領域で一歩を踏み出さなければならない。これは我々にとって事実だが、グリッド上の誰にとっても同じだと思う。つまり、他より良い仕事をして、一歩前に進めるかどうかの問題なんだ」開幕3戦を終えた時点で、フェラーリは表彰台を積み重ねながらも、まだ明確な弱点を抱えている。だからこそバスールは、今回の鈴鹿を前向きな材料として受け止めつつも、次の勝負は開発で決まるという現実を隠していない。今回の日本GPは、F1全体にとってショー性の面で前進だっただけでなく、フェラーリにとっても現在地と課題を同時に確認する一戦だった。