2026年F1レギュレーションを巡る“内戦”が、カナダGPを経てさらに激化している。電動化比率を大きく高めた現行PU規則に対し、ドライバーや一部チームから不満が噴出する中、F1 CEOステファノ・ドメニカリは将来的なV8自然吸気エンジン回帰を「1000%支持する」と明言した。2027年以降に電動比率を現在より抑えた「60:40」構成へ変更する議論が進む一方で、フェラーリやアウディは慎重姿勢を崩していないとされる。
そこへマックス・フェルスタッペン、ルイス・ハミルトン、カルロス・サインツらも現行規則への不満を改めて表明し、F1の将来像を巡る政治的対立が表面化している。ハミルトンとストロールが現行PUに不満ルイス・ハミルトンは、カナダGPで2位表彰台を獲得したにもかかわらず、現在のF1マシンに違和感を隠さなかった。「モータースポーツ本来の姿には感じない」とハミルトンは語った。「ストレートの最後までエンジンを回し切って、ずっと伸び続ける感覚があった。V8やV10時代はそうだった」アストンマーティンのランス・ストロールはさらに踏み込んだ。「僕に決定権があるなら、バッテリーなんて一切いらない」とストロールはコメント。「運転するのはドライバーだけど、ルールを決めるのはメーカー側なんだ」ウィリアムズのカルロス・サインツも、現在検討されている“60:40”案ですら十分ではないとの考えを示した。「電動部分は補助的な存在であるべきだ。今みたいに依存するものではない」とサインツは語った。「60:40でも、ドライバー視点ではまだ十分じゃない。でも2030年に“本当のレーシング”と“本物のエンジン”が戻るまでの繋ぎにはなるかもしれない」マクラーレンとレッドブルは規則変更を支持一方で、マクラーレンとレッドブルは早期のルール修正を支持している。マクラーレンF1代表アンドレア・ステラは、各メーカーが自チームの利益だけでなくF1全体を考える必要があると強調した。「これは個人的利益よりも優先されるべき“共有の利益”だ」とステラは述べた。「良いスポーツでなければ、F1のビジネス価値を守れなければ、最終的に全員が損をする」表向きにはメルセデスも妥協に前向きな姿勢を見せている。しかしカナダGPで再び高い競争力を示したことで、パドック内では“現行規則維持を最も望んでいるのはメルセデスではないか”との見方も強まっている。ラッセルは新世代PUを擁護そんな中で、新規則を最も強く擁護したのがジョージ・ラッセルだった。ラッセルはカナダGPでアンドレア・キミ・アントネッリと激しいバトルを展開し、それこそが新世代F1の成果だと主張した。「こんなバトルは何年も経験していない」とラッセルは語った。「2014年のルイスとニコ以来だと思う。この新しいマシンだから可能なんだ。このエンジンだから可能なんだ」さらにラッセルは、フェルスタッペンを名指しこそ避けたものの、なぜそこまで急いで規則変更を求めるのか理解できないとも発言した。「なぜ誰かがルールを変えたがるのか分からない」とラッセルはコメント。「メルボルンでも良いバトルがあった。中国でもそうだった。そして今週末もキミと素晴らしい戦いができた」ドメニカリはV8回帰を全面支持こうした議論が続く中、F1 CEOステファノ・ドメニカリは、2030年または2031年に自然吸気V型8気筒エンジンへ回帰する構想を改めて支持した。「私は1000%V8に賛成だ」とドメニカリは仏『レキップ』紙に語った。ドメニカリは、軽量化されたマシンとシンプルなエンジンこそが「モータースポーツの純粋な本質」だと説明している。元F1王者エマーソン・フィッティパルディも、将来的な大音量エンジン復活を支持した。「F1は常にF1だ」とフィッティパルディは語った。「これほど大きな技術変革なのだから、改善すべき部分があるのは当然だ」そして、かつての時代で最も恋しいものを問われると、フィッティパルディは即答した。「自然吸気エンジンだ。あの素晴らしいサウンドが今は少し失われている」