F1ジャーナリストのローレンス・バレットが、F1公式サイトで2020年の第1回バルセロナテストを総括。そこで見えてきた10のポイントをまとめた。先週行われた1回目のテストは、パフォーマンスよりも新車のシステムチェックや信頼性を築き上げることに焦点が置かれたが、それでも各チームが2020年のF1世界選手権にむけてどのようなアプローチをとってきたかを垣間見ることができた。
1.メルセデスに非常に良さそうに見えるこれは意外ではない。何しろ、彼らは6度のワールドチャンピオンなのだ。しかし、テストの最初の3日間の彼らのパフォーマンスはほぼ万全だった。2日目終盤の電気系統の小さな問題を除けば、メルセデスW11はトラブルなく走行し、どのマシンよりも多くの周回を重ねた。彼らはペースを支配し、最終日はソフトコンパウンドに交換して、究極のパフォーマンスを追求し始めた。そして、“DAS"”というニックネームの巧妙なハンドルデバイスが、ライバルたちの頭痛の種になった。昨年、彼らは2回目のテストに、ほぼ新しいマシンを持ち込み、調子が出し始めた。今年もそうなるかどうかはわからないが、ともあれ、1週目の調子はライバルたちに恐ろしい警告を与えた。2.レーシング・ポイントは力をつけているピンク・メルセデス。先週、一部の人々は、億万長者のローレンス・ストロールが所有するシルバーストンのチームをそう呼んだ。彼らの新車レーシング・ポイントRP20と、昨年のチャンピオンシップに優勝したシルバーアロー(メルセデスW10)との間には多くの類似点があるからだ。当然、彼らのライバルチームの一部、特にリストに掲載されていないパーツを採用するよりも独立したコンストラクターモデルを運営することを選んだチームは、彼らの行動に不満を抱いた。しかし、レーシング・ポイントは規約違反をしているわけではないので気にしていない。初期兆候は非常に有望で、フェラーリを抑えてトップ3に入っているように見える。規約が変更される2021年にコンセプト変更をする必要があることを考えると、今シーズンにむけてコンセプトを変えるのはリスクだったが、彼らはそのリスクをとる価値があると感じた。メルボルンに向けて大きなアップデートが予定されているが、その後は2021年に注力するためアップデートはほとんどない。だからこそ、彼らはその戦略を成功させるために最初の出足をよくする必要がある。3.フェラーリは劣勢に立たされているように見える1年で何という違いだろう。2019年のこの時期、私は跳ね馬が優勝候補だという記事を書いていた。ライバルチームのデータによれば彼らがトップだった。だが、今年はそれほどよ良い状況ではない。CEOのルイ・カッミレーリがバルセロナに来て状況を注視しているが、チームはよく4番手に見えた。チーム代表のマッティア・ビノットは、昨年のこの時期ほど楽観的ではなく、シーズン後半まで優勝に挑戦できないかもしれないと認めた。不吉だ。しかし。彼はテストに対するアプローチを変えたと述べており、先週はエンジンをいつもよりも低いレベルで使っていたとみられている。それが彼らの期待外れのラップタイムの理由だろう。ポジティブなことに、彼らはコーナリングスピードを改善しており、ダウンフォースを追加したことが見て取れる。しかし、ストレートでは遅かった。この妥協は価値があるのだろうか? 彼らは、これからの4日間、2回目のシーズン前テストが始まるまで、やるべき宿題がたくさんある。もちろんまだ時期尚早であり、終わったわけではない。しかし、フェラーリは2020年を吹き飛ばすのではなく口ごもってしまった。4.2020年F1マシンは信頼性が非常に高いテスト中、マシンが停止したのはわずかに5回だった。これは2020年の新車の信頼性が高いことを示している。周回数も印象的で、3日間で全チーム合計は3,940周となった。トップは494周のメルセデスだったが、レッドブル(471周)、アルファロメオ(424周)、マクラーレン(423周)もそれほど引けを取らない。そして、全チームが少なくとも300周以上を走行した。これはスペインGPのレース距離の約4.5倍である。メルセデスは、テスト日が1日多かった昨年の周回数に116周及ばなかっただけだ。周回数を最も増やしたのはウィリアムズで、2019年の88周に対し、323周走行した。5.レッドブルは目立たないように行動しているメルセデスは最初のテストで見出しを飾ったが、彼らのライバルであるレッドブルも静かに仕事を進め、シルバーアローよりも23周少ない471周を走行した。レースエンジニアリング責任者のギョーム・ロケリンは、このテストを「シーズン前テストの第1週としては久しぶりに満足のいくもの」と評した。マシンはほぼトラブルなしで走行し(ホンダは2日目に予防措置としてエンジンを交換したが、さらなる調査で問題が見つからなかったのでそのパワーユニットをマシンに戻した)、プログラムのほぼすべてを完了した。チーム内には活気があり、両ドライバーともマシンのスピードに喜んでいる。内心ではさらなるパフォーマンスを追求する来週に向けて強力なプラットフォームができたと感じている。6.ハースは傷だらけ最初のテストで理想的ではなかったのはフェラーリだけではない。先週のクラッシュは2回だけだったが、いずれもハースのマシンだった。2日目にロマン・グロージャンがクラッシュし、3日目にはケビン・マグヌッセンのホイールリムの故障がパンクをもたらし、コントロールを失ったときのギュンター・シュタイナーの顔は見ものだった。ダメージは最小限だったが、重要な走行ができなかった。また、彼らはあまり速そうには見えない。もちろん、その理由はたくさんあるだろう。彼らは2日目、ストレートで時速40km遅かったが、もちろん、それが実際の状況ではないだろうし、シュタイナーも先週のテストにかなり満足しているように見えた。アメリカのチームが燃料を多く搭載して走行していた可能性は高い。とは言え、彼らはマシンの理解を深めようとしているように見えるし、昨年より2020年マシンの方がよいという基本的な感覚があるか。予想可能になったかどうかは不明である。第2週になれば状況がもっと明確になるだろう。7.難しいスタートのあとのルノーの一縷の望みルノーが新シーズンの発表会でマシンを披露できなかったのは期待外れであり、バルセロナでのシェイクダウン中の行動については固く口を閉ざしているため、2020年に何が変わったのか誰もが知りたがった。マシンのカバーが外されると、前...
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