FIA(国際自動車連盟)は、2021年シーズンのF1世界選手権に見た目がより美しい新バージョンのヘイローを導入することを目指している。FIAは長年にわたってドライバーの安全性改善のための研究を続けており、2018年からF1世界選手権にドライバーの頭部を保護するコックピット保護デバイス『ヘイロー(Halo)』をF1マシンに装着することを義務化した。
F1ベルギーGPでは、オープニングラップに追突されたフェルナンド・アロンソのマシンが、シャルル・ルクレールのヘイローと接触する事故が発生。ルクレールのヘイローにはタイヤ痕がしっかりとつく危険な事故だったがルクレールに怪我はなく、ヘイローの効果が再認識される出来事となった。また、F1イタリアGPでは、フリー走行2回目にマーカス・エリクソン(ザウバー)がマシンが何回転もするほどの大クラッシュを喫したが、無傷でマシンを降りることができた。エリクソンのヘイローにも大きな傷が確認されている。ヘイローの2018年に導入される前、キャノピー型のシールドなどを含め、いくつかのデバイスが検討されたが、FIAは2021年の大幅なレギュレーション変更にむけてさらなる研究開発を進めている。FIAのレースディレクターを務めれるチャーリー・ホワイティグは「2021年にむけておそらく美学的により喜ばれるであろう新バージョンの研究がさらに進められている」とコメント。「だが、それを行うのは美学面が主な理由ではない。ヘイロープロジェクトは、我々がこれまでに実施したなかで最も徹底的に研究されたプロジェクトだと言わなければならない」「我々は助けられたかもしれない全ての事故を調査するために多大な作業を行ってきた。プレゼンテーションを見たことがあるかもしれないが、我々はそれがあった場合となかった場合の評価をしてきた」「非常に複雑な研究であり、別のバージョンを導入したければ、同じように徹底的にやらなければならない」当初はその見た目の悪さからドライバーを始めとする多くの批判をヘイローだが、シャルル・ルクレールの事故は、ヘイローについての議論を再熱させた。FIA会長のジャン・トッドは、ルクレールの事故、またF2で牧野任祐の事故を見て、ヘイローを実装することが正しい判断であったことが証明されたと感じていると述べた。「見た目は私としては何の問題はないし、まだレース、そしてF1の情熱は残っている。F1にとっていかに悪いものかについての様々なコメントがあったことには少し驚いた」とジャン・トッドはコメント。「だが、我々は正しい決断をしたと確信していた。スパでのルクレールの事故について多くのことを話した。ヘイローの結果に非常に満足しているF2ドライバーともね」「我々はそれが正しい決断だったと常に確信していた。スパで起こったこと、そして、(マーカス)エリクソンに起こった恐ろしクラッシュを見て、我々はヘイローがあることにより安心している」