F1ドライバーのなかには、今週末のF1オーストリアGPで3つ目のDRSゾーンを追加するというFIAの判断に疑問を呈しているものもいるようだ。現行のF1マシンには、オーバーテイクの可能性を高めるためにリアウイングにDRS(ドラッグ・リダクション・システム)と呼ばれるデバイスが装着されており、先行マシンの1秒未満まで接近した後続車はコース上の一定区間でスピードを向上させることができる。
大部分のサーキットでは、DRSゾーンは1カ所もしくは2カ所に設けられるが、今週末のF1オーストリアGPの舞台となるレッドブル・レーシングでラップが短いにも関わらず、3カ所にDRSゾーンが設けられる。2017年に現行の空力レギュレーションが導入されて以降、オーバーテイクの数は減少しており、FIAはオーバーテイクを促進するために今季開幕戦のオーストラリアGPと第7戦カナダのレースでも3カ所にDRSゾーンが設置していた。だが、フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、オーバーテイク不足が話題になっているのはわかるが、3カ所にDRSゾーンを設置するという対策は行き過ぎているのはないかと懸念している。「DRSゾーンの追加が解決策になるのかどうかはわからない」とセバスチャン・ベッテルはコメント。「誤解しないでほしいけど、僕も含めて、マリオカートのアイデアが大好きな人はたくさんいると思う。子供の頃はよく遊んだしね。でも、人工的にすべきではないと思う。どうなるかは見てみないとわからないけどね」「オーバーテイクの助けになるかもしれない。でも、それで他のマシンを追い抜いけたとしても、それほどエキサイティングではない。他のマシンが後ろにやってきて、容易に追い抜いていくのではなく、何かが起きるかもしれないと思えた方がより緊迫感があるし、もっと興奮すると思う」ハースのロマン・グロージャンもまたDRSのオーバーテイクをマリオカートに例えて語っている。「どうなるか見てみよう。最初に見た時はちょっと懐疑的だった。基本的には長いストレートにDRSゾーンがたくさんあったからね。僕が追い抜いたら、相手も追い抜いてきて、また僕が抜き返すとか。レースがマリオカートみたいになるのかどうか見てみる必要がある」だが、ディフェンディングチャンピオンであるメルセデスのルイス・ハミルトンはそれほど懐疑的には考えていないようだ。ルイス・ハミルトンは、DRSゾーンの追加は2019年に控えたテクニカルレギュレーションの変更に向けた短期的な措置だと指摘。2019年には先行マシンへの追走を容易にし、オーバーテイクをより簡単にするためにマシンの空力面が調整されることになっている。「結局のところ、彼らは、十分にエキサイティングではないレースをもっとエキサイティングにしようと取り組んでいるんだと思うし、シーズン中にその根本を変えるのは大きすぎる」とルイス・ハミルトンはコメント。「今あるものでベストを尽くすために力を注いでいる。今の形だと1つのDRSゾーンで相手をオーバーテイクしても次のパートで相手がDRSを使えるようになっている」「だから、良くなる可能性はある。ここは特に追走するのが簡単なコースではなし、面白くなると思うよ」ルイス・ハミルトンの他にも、主にグリッド下位に沈んでいるドライバーのなかには今回のDRSゾーンの追加をチャンスと捉えているドライバーは多い。関連:2018年 F1オーストリアGP テレビ放送時間&タイムスケジュール
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