2021年 F1世界選手権 第8戦 F1シュタイアーマルクGP 決勝でのタイヤ戦略をF1公式タイヤサプライヤーのピレリが解説した。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、ミディアム~ハードと繋ぐ1ストップ戦略でシュタイアーマルクグランプリを制した。ポール・トゥ・ウインによるフェルスタッペンの優勝は、自身の2連勝、レッドブルの・ホンダ4連勝となるものだった。
2位でフィニッシュしたメルセデスのルイス・ハミルトンは、終盤までフェルスタッペンと同じ戦略を採っていたが、残り2周時点でソフトタイヤへ交換し、ファステストラップポイントを獲得した。P Zeroレッド・ソフトタイヤでスタートしたドライバー中の最上位は、レッドブル・ホンダのセルジオ・ペレスだった。ペレスは、1回目のピットストップで時間を要したためにメルセデスのバルテリ・ボッタスに抜かれ、4位でフィニッシュした。ペレスは、残り17周時点でP Zeroイエロー・ミディアムへ交換する2回目のピットストップを行い、ボッタスを猛追したが、わずかに届かなかった。4名の2ストッパー(ハミルトン、ペレス、フェラーリのシャルル・ルクレール、ウイリアムズのニコラス・ラティフィ)以外の完走者は、すべて1ストッパーだった。ルクレールは、一時最下位に後退しながらも7位を獲得した。スタート時に自由にタイヤを選択できるドライバーたちは、アルファロメオのキミ・ライコネンを除いて、最も汎用性の高いミディアムタイヤを装着してスタートした。一方、予選Q2をソフトタイヤで通過したドライバーたちは、ソフトタイヤでスタートした。週末を通して雨の予報が続き、レース終盤にかけて雨雲が近づいてきたが、71周のレース中、雨が降ることはなかった。高温のドライコンディションが継続し、スタート時の気温は31度、路面温度は47度だった。■各コンパウンドのパフォーマンス【ハードC2】気温が高くなったこともあり、P Zeroホワイト・ハードは、第2スティントの鍵を握るタイヤとなった。実際、ミディアムもしくはソフトでスタートしたドライバーたちは、2名を除いて第2スティントでハードを使用した。ハードでスタートした唯一のドライバーであるアルファロメオのキミ・ライコネンは、ハードで36周を走行後、ミディアムへ交換した。スタート直後の接触で1周目にハードへ交換したルクレールは、ライコネンと同じ36周をハードで走行した。【ミディアムC3】表彰台の3名のドライバーたちは、いずれもミディアムでスタートし、ほぼ同じタイミング(お互いのピットストップの差が3周以内)で1回目のピットストップを行った。フェラーリのカルロス・サインツJr.とマクラーレンのダニエル・リカルドは、ミディアムで41周を走行した。広いピットストップウインドウを持つミディアムは、今日のレースで最も汎用的なコンパウンドとなり、トップ10グリッドより後方のドライバーたちの大半がミディアムでスタートした。【ソフトC4】7名のドライバーたちがソフトでスタートした。ハミルトンは、ソフトでファステストラップを記録した。高温のコンディションが影響し、ソフトは、予想よりもオーバーヒートと高いデグラデーションを被るコンパウンドとなった。マリオ・イゾラ(ピレリF1およびカーレーシング責任者)「ミディアムがベストなスタートタイヤであったため、トップ10グリッド以外のドライバーたちのほぼ全員がミディアムコンパウンドでスタートし、一方、トップ10グリッド中の7名がソフトコンパウンドでのスタートを余儀なくされました。その結果、スタート時の戦略が大きく分かれ、レース中も戦略の違いが継続し、最終的にはトップ5で4つの異なる戦略が採用されました。第2スティントでは、ハードが最適なコンパウンドとなりました。予想されていた雨が降ることはなく、高温のコンディションとなり、49度まで上昇した路面温度がタイヤの挙動に影響を与えました。そのようななか、ハードとミディアムでは40周を超える長いスティントが見られました。また、ハミルトンがファイナルラップでファステストラップを記録したように、ソフトは十分なスピードを発揮しました」
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