F1エミリア・ロマーニャGP初日、イモラでのフリー走行は陽光に包まれた理想的なコンディションの中で行われ、各チームが本格的なヨーロッパラウンドの幕開けに向けた調整を進めた。なかでもマクラーレンは予選・決勝ともに圧倒的なパフォーマンスを披露し、今週末の主役に躍り出た。一方、地元フェラーリは期待を寄せるTifosiの前でブレーキトラブルに悩まされ、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールの両ドライバーは歯がゆい走行に終始した。
アルピーヌのピエール・ガスリーは好調ぶりを示して3番手に食い込み、今季最良とも言える金曜の滑り出しを実現。レッドブルはアップグレードを投入したものの、コーナーでの不安定さによりマックス・フェルスタッペンと角田裕毅の両者が満足できる走行とはならなかった。各チームの勢力図が浮き彫りとなったイモラ初日。マクラーレンの優位が明確となる中、フェラーリ、レッドブル、そしてアルピーヌがどこまで巻き返せるか。予選日となる土曜に向け、各陣営の一夜の準備が注目される。マクラーレンが圧倒的な速さを披露ドライバーズ選手権のリーダーであるオスカー・ピアストリと、彼のチームメイトで最大のライバルであるランド・ノリスは、金曜の2回の1時間セッションでそれぞれ僅差でトップタイムを記録。FP1では0.052秒、FP2では0.276秒の差を後続につけた。ただし、予選シミュレーションによるとその差はFP1の結果に近く、レッドブルに対して約0.09秒と予測されている。また、決勝ペースにおいてもマクラーレンは他を上回っており、メルセデスに対して0.08秒速いというデータもある。しかし、パドック内の他チームの幹部らは、その差はさらに大きいと見ている。なぜマクラーレンはこれほど速いのか?答えは「どの種類のコーナーでも速い」こと。直線では多少のトップスピードを犠牲にしているものの、それでも直線で速さを見せるのはフェラーリとアルピーヌだけであり、しかもその差はわずかだ。こうした状況から、マクラーレンは土曜のポールポジション、そして日曜の勝利候補と目されている。ただし、イモラのコースはドライバーにミスを誘う構成で、オーバーテイクも難しいことから油断はできない。どちらのマクラーレンが速いのか?ピアストリが両セッションで最速だったが、データ上ではノリスがすべてのミニセクターを完璧につなげていれば、トップに立っていた可能性もある。土曜には緊張感あふれるチーム内バトルが期待される。アルピーヌのガスリーが好走で驚きの3番手ピエール・ガスリーはFP1の最初の走行から好調で、ミディアムでもソフトでもトップ6圏内のタイムを記録。ただし、このセッションでは不運にもコースへ飛び出してきた野ウサギと接触し、マシンにダメージを負ってしまった。それでもFP2ではマクラーレン2台に次ぐ3番手と、その速さがまぐれではないことを証明。ガスリーは「走り出した瞬間から、マイアミよりもはるかにマシンの状態が良いと分かった。パフォーマンスはある」と語った。「もちろん、金曜から土曜にかけて他チームは隠していた力を出してくるだろうけど、それでも今季一番の金曜だったと言えると思う」一方、チームメイトのフランコ・コラピントは慣れるまでに時間を要したが、周回を重ねるごとに着実にパフォーマンスを引き出し、最低でもQ2進出は狙える位置にいることを示した。予選シミュレーションではアルピーヌは5番手とされており、グリッドでのトップ10争いに絡める見込み。ただし、決勝ペースでは8番手に後退し、課題は残る。レッドブルは苦戦 フェルスタッペンと角田裕毅が不満を表明マックス・フェルスタッペンと角田裕毅は、アップグレードを施されたRBがコーナーでのバランスを欠き、自信を持てない状態だったことを認めており、金曜の内容に落胆の様子を見せた。両者ともトラフィックに悩まされたが、これは他チームも同様だった。レッドブルの予選ペースは悪くないものの、ロングランでは追う立場に回っている。フェルスタッペンは「マクラーレンに抜かれた。それがすべてを物語ってるだろ?引き離されたし、他チームと比べても現状はかなり厳しい」とコメント。角田裕毅はFP2で前進を見せたが、午前の走行はトラフィックによりベストラップが潰れてしまった。午後は「ショートランでもロングランでも制限があった」と語りつつも、「明日しっかり決められれば、もっと上を狙える」と前向きな姿勢を崩さなかった。レッドブルは最悪でも3番手チーム、うまく行けば2番手の位置にあると見られている。土曜に向けて一晩で改善してくる傾向のあるチームだけに、フェルスタッペンがポール争いに加わる可能性を侮るべきではない。フェラーリはブレーキ問題に悩まされるも 決勝ペースには希望もフェラーリにとって金曜は苦い一日となった。ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールの両ドライバーが、FP2中の無線でブレーキの問題を訴えていた。ハミルトンは「今年一番小さな変更を2つしただけなのに、ブレーキに問題が出た。こんなことは初めて」と困惑。ルクレールも不満を示していたが、FP2ではフェラーリ勢で最速となった(FP1ではハミルトンのほうが速かった)。この状況に対して、ハミルトンは「まるでくじ引きみたいなもの。ダイスを振ってるようなもんだ」とコメントし、改善の見通しには懐疑的だ。予選シミュレーションでは、フェラーリはウィリアムズやアルピーヌの後塵を拝し、6番手と低調だった。ただし、決勝ペースは4番手と健闘しており、特にルクレールのロングランは強さを示していた。それでも課題は多く、予選でトップ5に入る、あるいは決勝で表彰台争いを繰り広げるには、一夜での大きな改善が必要だ。