シャルル・ルクレールが2026年F1イギリスGPで今季初優勝を飾るまでには、大きな方向転換があった。苦戦が続く中でルイス・ハミルトンのセットアップを参考にしていたが、自身の強みを取り戻す決断が復活のきっかけになったという。長年ルクレールを支えるメンタルコーチのリカルド・チェッカレッリは、「他人のセットアップをそのまま真似するのは勝者の考え方ではない」と指摘。フェラーリF1のエース争いは、今後さらに激しさを増しそうだ。
ルクレールはハミルトンのセットアップを参考にしていたシャルル・ルクレールは2026年シーズン序盤、フェラーリSF-26への適応に苦しみ、直近5戦ではルイス・ハミルトンに84対30と大きくポイント差をつけられていた。シルバーストンでは、ルクレール自身も「ルイスがやっていることを再現しようとしていた。実際にうまくいっていたから」と認めている。その一例がブレーキシステムだった。ルクレールは、それまで使用していたブレンボ製ディスクから、ハミルトンがシーズン序盤に切り替えたカーボン・インダストリー製ディスクへ変更していた。しかし、この試みは本質的な解決策にはならなかった。長年ルクレールを支えるメンタルコーチのリカルド・チェッカレッリは、Motorsport Italyに対して次のように語っている。「勝者を目指す人間にとって、それは決して解決策ではない。セカンドドライバーで満足する人なら構わないかもしれない」「シャルルは間違った方向へ進みかけていた。だから元に戻った判断は間違いなく正しかった」自分自身のスタイルへ戻したことが勝利につながったチェッカレッリによれば、他人のやり方を参考にすること自体は悪くないという。新たな考え方を取り入れるきっかけになる一方で、それをそのままコピーしてしまえば、自分本来の武器を失ってしまうからだ。「他人が何をしているかを見ることは視野を広げる刺激になる。しかし、それが自分の進むべき道とは限らない」「元の方向へ戻したことが勝利につながった」ルクレールはシルバーストンで2024年アメリカGP以来、37戦ぶりとなる勝利を挙げ、フェラーリでの苦しい流れを断ち切ることに成功した。フェラーリF1の主導権争いはこれから本格化現在のドライバーズランキングでは、ハミルトンがルクレールを39ポイントリードしている。それでもチェッカレッリは、フェラーリがどちらか一方を優先する状況にはならないとみている。「2人は対等に戦うことになる。ハミルトンの方がここまでは安定していてポイントも多いが、実力は互角だ。どちらか一方が優れているとは思わない」「差を生むのは細かな状況や小さなディテールだ」さらに、チームメートのセットアップをそのまま真似することについては、改めて強い言葉で警鐘を鳴らした。「隣のガレージでチームメートが何をしているのか気になることはあるだろう。しかし、そのセットアップをコピー&ペーストした時点で、自分がセカンドドライバーであることを受け入れたことになる。それはシャルルらしくない」イギリスGP後には、ハミルトンが「スプリント後に自分の方向性をルクレールも取り入れた」と語る一方、ルクレールは異なる説明をしており、両者のライバル関係は今後さらに注目を集めそうだ。