カルメン・ホルダをFIA(国際自動車連盟)がWomen in Motorsport Commissionに任命したことに女性レーサーが猛反発している。GP3に参戦した3シーズンで一度もトップ20圏内に入ることができなかったカルメン・ホルダが2015年にロータス(現ルノー)の開発ドライバーに就任した際も冷ややかな目が向けられていたが、今回FIA Women in Motorsport Commissionに就任したことで女性ドライバーから猛反発を受けている。
最近、カルメン・ホルダは、女性は男性とは同等に競争することはできないため、F1スタイルの独自の選手権で競争すべきだと発言して物議を醸していた。また、先月にはロンドンに拠点に置く企業が女性ドライバーによる6レースのシリーズの立ち上げを計画していると報じられている。そんな中でのカルメン・ホルダのFIA Women in Motorsport Commissionへの選任に、インディカー・レーサーのピッパ・マン、2015年のブリティッシュGT4チャンピオンのジェイミー・チャドウィック、GP3レーサーのタチアナ・カルデロンが懸念を表明した。2017年のインディ500で女性で初めて230mphをマークしているピッパ・マンは、IMSAスポーツカー選手権のGTDクラスでタイトルを獲得したクリスティーナ・ニールセン、同じくGTDで勝利を挙げたキャサリン・レッグ、フォーミュラV8 3.5で表彰台を獲得したタリアナ・カルデロンなど、女性ドライバーでも男性と同等に戦っているドライバーがいると主張する。「女性がレースで活躍しているという現在の状況に反し、参戦したどのカテゴリーでも目立った結果を残しておらず、女性レーサーとして我々が戦えないと考え、発言しているレーサーがFIA Women in Motorsport Commissionの代表に任命されたことに心から落胆しています」とピッパ・マンは Autosport にコメント。「個人的にそのような信念を持っている人がレースにおける女性の目的を追求するための委員会に任命されたことは、信じられないほどの失望であり、まさにFIAの後退を意味すると思います」タチアナ・カルデロンは、カルメン・ホルダのニュースによって、平等な機会を望む女性レーサーは“団結”していくことになると考えている。「全員にとってちょっとしたサプライズでした。特に現在、大きなシリーズでレースをしている女性の大部分が彼女の見解に反対していますからね」とカルデロンはコメント。「私たちは間違いなく最高レベルで競争することができますし、女性の選手権はまったく必要ないものです」「私たちが必要としているのは、Dare to be differentがやっていることや、カートを始めとしてモータースポーツのあらゆる分野における女性の参加を促進するためにミシェル・ムートンとFIA Women in Motorsportがやっていることです。女性がトップに進めるチャンスを増やせるようにより多くの少女がカートを始める必要があります」「性別に関わらず、それはかなり難しいことですが、男の子が90人いて、女の子が10人の場合、そのチャンスは非常に狭められてしまいます」「彼女の見解には反対ですし、この発表は残りの女性ドライバーとエンジニアのコミニティの団結を強めるだけです。我々は女性だけでなく、最高のなかのトップを目指して戦っていくつもりです」ピッパ・マンは、元世界ラリー選手権のスターであるミシェル・ムートンが議長を務めるコミッションでのカルメン・ホルダの立場が、女性に対するFIAの見解を反映できるのかどうかを懸念していると述べた。「最も懸念しているのは、この任命がモータースポーツで争っている女性アスリートに対するFIAの信念を真に代表するものなかということです」とピッパ・マンは語る。「私はミシェル・ムートンのラリーでの構成と全体的なビジョンの両方を最大限にリスペクトしています。不当な圧力のようなものは想像することはできませんし、この任命を進めるためにミシェルには影響力があるはずです」ミシェル・ムートンは、カルメン・ホルダの選任に対する直接的なコメントは拒否したが、FIA委員会はモータースポーツにおける女性の“完全参加”をコミットしたままだと述べた。「FIA Women in Motorsport Commissionの目標と価値は、2009年の設立以来代わっていません。我々はモータースポーツのあらゆる分野への女性の完全参加を強く奨励し、サポートし、促進し続けています」とミシェル・ムートンは述べた。「コミッションの豊かさは、経験を積み、視点を共有する30名のメンバーかから来ています」「2018年から我々のEuropean Young Women ProgrammeはD2BDと提携し、我々のコミッションのアンバサダーであるスージー(ヴォルフ)によって推進されます」「我々はFIA Women Drivers' Academyにも取り組んでおり、8歳から20歳までの少女と女性までをカバーする幅広いプロジェクトがあります。FIAはモータースポーツにおける女性を完全にサポートすることを示しています」元ウィリアムズのF1テストドライバーであり、Dare to be differentを立ち上げたスージー・ヴォルフは、モータースポーツは女性が平等なチャンスを持った活動であると強調した。「モータースポーツは、乗馬やセーリングと並んで女性と男性が一緒に競争できる3つのスポーツのひとつです」とスージー・ヴォルフはコメント。「それぞれにおいて、器具や動物が大きく関わっています。力や筋肉量だけではありません」「モータースポーツで最も成功する女性を目にしたければ、単に才能の予備軍を増やすことが重要なのではありません。より多くの少女や女性がスポーツに参加するよう影響を与え、トップに立つための最善のサポートを提供することです」「Dare to be differentは、FIA Women in Motorsport Commissionと密接に協力しています。ミシェルと私は同じ目標を共有し、長期的に正しい方法で変化を生み出していくことにコミットしています」今年、BRDCブリティッシュF3でシングルシーターに転向したジェイミー・チャドウィックは、カルメン・ホルダに“敵対心はない”が、彼女のFIAでの役割が性別別の競争を促進するのであれば“残念だ”と述べた。「基準を下げるだけだと思っていますし、ベストな日には自分が男性と平等に競争できることはわかっています」とジェイミー・チャドウィックはコメント。「お金と才能を持った適切な女性が現れれば、彼女たちはF1に進むことができるでしょう」関連:スージー・ヴォルフ、女性のためのモータースポーツキャンペーンを開始