カルロス・サインツJr.の2027年去就を巡り、新たな動きが浮上した。ウィリアムズ残留か移籍かを夏休みまでに決断するとみられる中、移籍先候補として名前が挙がるアウディとアルピーヌの首脳が相次いで現状を説明した。一方で、マックス・フェルスタッペンの去就次第ではレッドブルもサインツを獲得候補に挙げていると報じられている。ただし、それぞれのチームの事情は大きく異なる。アウディは現在のドライバーラインアップを高く評価し、アルピーヌはフランコ・コラピントの今後のパフォーマンスを見極める姿勢を示した。
一方、レッドブルではオスカー・ピアストリ獲得が最優先とされ、サインツは代替案という位置付けにとどまるようだ。ウィリアムズで揺らぐサインツの将来2026年シーズンのウィリアムズは、新レギュレーションへの対応で苦戦が続いている。チーム代表のジェームズ・ボウルズは、新世代マシンで上位進出を狙えると考えていたものの、FW48はプレシーズンテスト初週を欠席する事態となり、開幕時点では重量超過と空力開発の遅れも抱えていた。サインツJr.は当初こそ失望を隠せなかったが、マイアミGPで投入されたアップデートによって一度は楽観的な見方を示した。しかし、その後は再び失速し、ウィリアムズはグリッド後方へ逆戻り。プロジェクトへの期待は再び揺らぎ始めている。スペイン『Motor.es』によれば、サインツJr.は8月の夏休みまでに自身の将来を決断する意向だという。現在の契約には2027年、2028年まで延長できるオプションが盛り込まれているが、移籍も視野に入れているとされる。アウディは現ラインアップ維持を強調移籍先候補の一つとみられるアウディだが、最高執行責任者のマッティア・ビノットは現体制を高く評価している。2027年もガブリエル・ボルトレトを将来の柱として起用する考えは変わらず、38歳のニコ・ヒュルケンベルグについても信頼を口にした。「私たちは素晴らしいドライバーラインアップを持っている。よく『ベテランとルーキー』と言われるが、実際には速いドライバーが2人いる。それが私には何より満足だ」さらにビノットはヒュルケンベルグについても高く評価した。「ニコにはまだ十分な力が残っている。集中力も素晴らしく、速さと安定感を兼ね備えている。まるで若いドライバーのようだ。まだ何年も活躍できるし、仕事ぶりにも非常に満足している」現時点ではサインツJr.だけでなく、新たなドライバー獲得に動く考えは示していない。アルピーヌはコラピント次第もう一つの有力候補とされるアルピーヌでは、ピエール・ガスリーが2027年まで契約を結んでいるため、サインツJr.加入にはフランコ・コラピントとの交代が前提となる。チームのマネージングディレクターを務めるスティーブ・ニールセンは、コラピントの成長を評価しつつも、来季残留は実力次第との考えを示した。「フランコは、言っていいなら少しスロースタートだった。でも改善している。今年はいくつか良いレースもあった。マイアミも中国も良かったし、着実に前進している。だから彼は実力でそのシートを勝ち取っていると思う。そして時が来れば決断を下す」さらにニールセンは率直にこう続けた。「彼が十分に良ければ残る。そうでなければ、もっと良い選択肢がある。それがF1だ」一方で、コラピントの安定感は大きく向上していると評価している。「特に決勝での安定感は以前よりかなり良くなった。ピエールとの差も縮められるようになっている」「昨年も少しそういう場面はあったが、当時のマシンはあまりに競争力がなく判断が難しかった。今年はピエールと互角に戦えたレースもあり、それを見るのは良いことだ」レッドブルもサインツを候補視かこうした中、F1 Oversteerは、フェルスタッペンが契約解除条項を行使してレッドブルを離れた場合、サインツJr.が後任候補の一人になっていると報じた。ただし、レッドブルの最優先ターゲットはマクラーレンのオスカー・ピアストリとされている。ピアストリにはアウディ移籍の可能性も取り沙汰されており、レッドブルは当初想定していた獲得プランの見直しを迫られているという。その結果、サインツJr.が有力な代替候補として浮上したものの、レッドブル内部では長期的な後継者ではなく、2027年を乗り切るための「つなぎ役(ストップギャップ)」との位置付けだと伝えられている。また、レーシングブルズで実績を積むアービッド・リンドブラッドやリアム・ローソンについては高く評価しているものの、現時点ではフェルスタッペンの後継を任せるには時期尚早との見方だという。サインツの決断が2027年市場を左右ウィリアムズはアレックス・アルボンとサインツJr.のコンビ継続を最優先に掲げており、ジェームズ・ボウルズ代表も「私が望むラインアップに疑いは全くない」と残留を強く望んでいる。しかし、フェルスタッペンの去就、ピアストリとアウディの交渉、アルピーヌのコラピント評価など、2027年に向けたドライバー市場は複数の要素が複雑に絡み合っている。サインツJr.が下す決断は、自身の将来だけでなく、レッドブル、アウディ、アルピーヌ、そしてウィリアムズを巻き込む2027年F1ドライバー市場全体の動向を左右する重要な分岐点となりそうだ。