2026年にF1へ参戦するキャデラックF1チームについて、元BAR創設者のクレイグ・ポロックは「ゼロからチームを作るという点で、当時のBARと同じ厳しい道のりになる」と語った。一方で、参入のタイミング自体は「これ以上ないほど良い」と強調している。ジャック・ヴィルヌーヴのマネージャーを務め、1999年にBAR(British American Racing)を立ち上げたポロックは、カナダ紙ラ・プレス・カナディエンヌに対し、キャデラックが直面する課題は自身の経験と重なると説明した。
「キャデラックは、私が当時やらなければならなかったことをやっている。ゼロから始め、チームを構築する。私たちのプロジェクトと同じで、極めて難しい」BARは1999年の初年度に無得点という苦しいシーズンを送り、その後に段階的な改善を重ねた。ポロックは今回も期待値の管理が重要だと指摘する。「チームとは、400人や500人、600人を集めれば完成するものではない。組織を作るには時間がかかる。3年、場合によっては5年かかる」ただし、キャデラックは過去の教訓を生かしているとも評価し、元マルシャ代表のグレアム・ローソン起用を例に挙げた。「彼らは我々が当初犯したようなミスはしないだろう」BARが初年度から勝てると過度に自信を持っていた点を、ポロックは笑顔で振り返った。また、BAR時代と異なり、キャデラックは2026年の大幅な技術規則刷新という“リセット”の年に参戦する。「11番目のチームが入るには、間違いなく最高のタイミングだ。2026年の新規則では、全員がゼロからのスタートになる」ドライバー人選についても、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスという経験豊富な布陣を支持しつつ、冷静な見方を示した。「経験があるのは賢明だ。別のチームで得た知見を持ち込み、エンジニアが必要な修正を行う助けになる。非常に優れたドライバーだが、実際のところ、どちらも他チームでは常に“2番手”だった」さらに、アストンマーティンがエイドリアン・ニューウェイを迎え入れた点についても言及。ウィリアムズ時代に短期間共に仕事をした経験から「極めて有能」と評価しつつ、チーム代表という新たな役割には慎重な姿勢を示した。「F1に奇跡はない。彼一人ではなく、周囲のチーム全体が重要だ。全員が一体となって働く必要がある。もし役割が分散するなら……それは私なら選ばない」