2025年F1第13戦ベルギーGPの開催を巡り、FIA(国際自動車連盟)の“過度に慎重な対応”に対して、複数のドライバーや関係者が激しい批判を展開した。特にマックス・フェルスタッペン、ルイス・ハミルトン、レッドブルのヘルムート・マルコらが声を上げており、「伝統あるウェットレースを台無しにした」と非難している。
レースはレッドブルなどがウェット仕様のセットアップを選択したにもかかわらず、最も激しい雨が過ぎるまで長時間にわたり中断。最終的にセーフティカー先導で数周走行した後、ローリングスタートで開始された。「これじゃ、雨のクラシックなレースを完全に台無しにするだけだ」とフェルスタッペンは語った。「もう『完全に乾くまで待ってスリックでスタートしよう』って言ってるのと変わらないよ。そんなのがウェットレースなわけない」過去にもたびたびFIAと対立してきたフェルスタッペンは、今回も強い口調で非難した。「彼ら(FIA)は自分たちのやりたいようにやってる。彼らが決めるんだ。みんなにとって残念なことだよ。クラシックな雨のレースなんて、もう二度と見られない」レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコも、辛辣なコメントを残した。「手順そのものを見直す必要がある。セーフティカー先導で2〜3周も走れば、トラック上の水は排除できて、1時間は早くスタートできたはずだ」さらに、「あの遅延で我々の雨用セッティングによる戦略はすべて無効になった。何の問題もなければ、安全にレースはできたはずだ」と、FIAの判断がチームの戦略に悪影響を与えたと訴えた。セーフティカー先導で走行するF1車両。名物ウェットレースが様変わりFIAレースディレクターのルイ・マルケスには、パドック関係者やメディアからも厳しい視線が注がれており、スペイン紙『Marca』は「F1史上最大のナンセンス」と断じ、デンマークの『Ekstra Bladet』は「F1のグロテスクな躊躇」と表現した。元F1ドライバーでViaplayの評論家ヘイキ・コバライネンもこう語った。「この程度の天候で走れないなんておかしい。このスポーツは危険を伴うもの。それを受け入れられないなら、そもそもこの競技に向いていない」一方、安全優先の判断を擁護する声もあった。シャルル・ルクレールは「このサーキットでは過去に何があったかを忘れてはいけない。僕は安全第一の判断のほうがいい」とコメント。優勝を果たしたオスカー・ピアストリも、「前にいたのがランドだけでも、視界はまったくなかった。後方のドライバーたちがどれだけ見えなかったかは想像に難くない」と語った。さらに、グランプリ・ドライバーズ・アソシエーションの共同ディレクターであるカルロス・サインツは、「このサーキットの過去を考えれば、過剰なリスクよりも過剰な安全を取る方が正しい」とFIAの判断を支持した。しかし、7度の世界王者ルイス・ハミルトンはフェルスタッペンの見解に同調。「僕たちは『もう走れる』って何度も言ってた。FIAは過剰反応してたと思う。前回(シルバーストン)では“すぐにはスタートするな”と伝えていたけど、今回はその逆をやった」と苦言を呈した。「フェルスタッペンの発言には完全に同意するよ。スタンディングスタートでもよかった。グリッドはほぼ乾いてたし、その先もスプレーはほとんどなかった」ニコ・ヒュルケンベルグは「気分を削がれた」とレースの遅れを嘆き、スペインの『Soy Motor』に寄稿したヘスス・ムニョス記者は「F1は我々から奪われた。そして最悪なことに、この傾向はさらに悪化するだろう」と警鐘を鳴らした。
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