メルセデスが2026年F1第8戦オーストリアGP初日の主導権を握った。キミ・アントネッリがFP1、FP2ともにトップタイムを記録し、予選・決勝の有力候補として浮上した一方で、ライバル勢もアップデートを投入しており、週末の勢力図はまだ固まっていない。フェラーリはADUO(追加開発・アップグレード制度)によるパワーユニット改良を投入。レッドブルは大規模な空力アップデートを持ち込み、マクラーレンも新型リアウイングの投入を計画していた。各チームの初日の評価から、予選と決勝へ向けた現状を整理する。
メルセデスが初日最速も楽観視せず初日の主役となったのはメルセデスだった。アントネッリはFP1、FP2ともにトップタイムを記録し、1周の速さだけでなくロングランでも安定したペースを示した。今大会では信頼性対策として改良された新型バッテリーモジュールを含む新しいパワーユニットを投入しており、副代表ブラッドリー・ロードは、長期間準備を進めてきた改良であることを明かした。これまで相次いでいたリタイアへの対策として導入され、初日の走行では良好な手応えを得ている。一方で、ジョージ・ラッセルは低速でオーバーステア、高速でアンダーステアというバランスの課題を抱えており、セットアップ改善が必要な状況だ。それでも現時点では、メルセデスがポールポジションと優勝争いの最有力候補とみられている。しかしチームは油断していない。ロードは、バルセロナ・カタルーニャGPでも金曜日は優勢だったものの、週末を通じてフェラーリが巻き返し、ルイス・ハミルトンが優勝した例を挙げ、「ライバル勢はまだ本来の実力を見せていない可能性がある」と警戒感を示した。フェラーリはADUO投入も実力は未知数フェラーリは今大会でADUO制度を利用したパワーユニットアップグレードを投入した。エンジン出力向上に加え、新しいシェル製燃料による性能向上も期待されていたが、FP1、FP2ともタイムシート上では上位争いに加われなかった。FP1をリザーブドライバーのディーノ・ベガノヴィッチに譲ったシャルル・ルクレールは「現時点では期待したほど競争力はなく、明日に向けて改善しなければならない」と語った。前戦優勝のハミルトンも「マシンの感触自体は悪くないが、このコースではわずかなバランスの乱れでも大きくタイムを失う。セットアップを見直してさらなるパフォーマンスを引き出す必要がある」と改善を求めている。レッドブルは大型アップデートに手応えレッドブルはホームレースで大規模な空力アップデートを投入した。しかしFP1ではマックス・フェルスタッペンとアイザック・ハジャーの両車に細かなトラブルが発生し、十分な走行時間を確保できなかった。FP2ではセットアップ変更も実施したが、テクニカルディレクターのピエール・ワシェは「正しい方向だった部分もあれば、そうでない部分もある。分析が必要だ」と評価を保留した。それでもアップデートそのものについては「期待どおり機能している」と説明しており、現時点の相対的な競争力は把握できていないものの、新パッケージには満足しているという。特にロングランではバルセロナ・カタルーニャGPよりも改善が見られ、「決勝ではさらに競争力を発揮できる可能性がある」と期待を示した。マクラーレンは新型ウイング投入見送りマクラーレンはフェラーリが先行投入した「フリップフロップ」型リアウイングを独自に開発し、オーストリアGPでテストする予定だった。しかし実走前の段階で準備不足と判断し、今回は投入を見送ることを決定。開発を継続し、今後のレースで実戦投入を目指す。ランド・ノリスはFP1で油圧系トラブルにより走行時間を失ったものの、FP2ではすぐに上位タイムを記録した。応用エンジニアリング担当テクニカルディレクターのニール・ホールディは、メルセデスを「倒すのは非常に難しい相手」と評価しつつ、フェラーリは「バルセロナ・カタルーニャGPから急激に遅くなることはない」、レッドブルも大型アップデートを投入していることから、接戦になるとの見方を示した。初日はメルセデスが一歩リードした形となったが、フェラーリ、レッドブル、マクラーレンはいずれも改善の余地を残しており、予選までの一晩で勢力図が変わる可能性は十分に残されている。オーストリアGPは今週末も四つ巴の争いとなりそうだ。
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