ジョナサン・ウィートリー率いるアウディは、2026年のF1でワークス体制として本格参戦を開始したが、カスタマーチームを持たない現状が開発面で不利に働いていることを認めた。メルセデスやフェラーリが複数台の顧客車両から膨大な走行データを得ているのに対し、アウディは自陣営だけで戦わなければならない状況にある。中国GPの週末にウィートリーは、ガブリエル・ボルトレトの入賞という明るい材料があった一方で、パワーユニット開発では依然として厳しい現実に直面していると説明した。
現時点では第2チームを支援できる段階にはなく、その差を踏まえて現実的に歩みを進めていく必要があるという認識を示している。走行距離の差が学習速度の差につながるアウディは今季、ザウバー買収を経てF1グリッドに加わり、自社製パワーユニットで初年度から戦っている。キャデラックのようにまずカスタマーとして参戦し、後に独自開発へ移行する道ではなく、最初からすべてを自前で進める構図だ。その難しさについて、ウィートリーはメルセデス陣営とのテスト走行距離の差を例に挙げた。「メルセデスのエンジンを使うチームが冬季テストで積み上げた走行距離を見ると、僕たちがこなせた量の4倍ほどだったと思う」「僕たちにも信頼性のあるプログラムがあって、実際にかなりの距離を走った。それでも彼らのほうが、より大きな速度で学習している。だから、その点については現実的でなければならない」アウディはまだ挑戦者の段階ウィートリーは、アウディの現在地についても率直に語っている。現段階で重要なのは、いきなりトップ争いを義務づけることではなく、まずは挑戦者としての立場を固め、正しいタイミングで競争力を高めていくことだという。「ただ同時に、これはまだプロジェクトの初期段階でもある」「僕たちは前から話してきたように、現時点での目標はチャレンジャーになることだ。そして、適切なタイミングでチャレンジャーから競争力のある存在へと進んでいくことだ」パワーユニット開発の難しさを強調2026年の新世代パワーユニットについて、ウィートリーは極めて複雑でありながらも、アウディにとってその技術習得自体が大きな価値を持つと述べた。レッドブル・レーシングのローラン・メキースの名前を引き合いに出し、この分野の困難さは他の新規・独自開発プロジェクトにも共通しているとの見方を示した。「パワーユニットに関して言えば、これは信じられないほど複雑だ」「F1で自分たちが何をできるかを示すという点で、アウディにとっては大胆な挑戦だ。僕はローランの隣に座っているが、彼もその難しさを十分に理解しているはずだ」「現代のF1でパワーユニットを作るのは、信じられないほど困難で、同時に刺激的でもある。そして僕たちが学んでいる技術は、驚くほどの速さで蓄積されている」「だから、今後数年間でパワーユニットがどう発展していくのか、そして短期的には今後数か月でどう進化していくのかを見るのは興味深いことになる」カスタマー供給は「まだ遠い」F1のパワーユニットメーカーにとって、顧客チームを持つことは単なる事業拡大ではない。複数のマシンから得られるデータは、信頼性や運用面の改善を加速させ、開発速度そのものを押し上げる武器になる。ただ、アウディはまだその段階には達していない。「現時点でカスタマーを支援できるようになるまでには、まだかなり遠いと思う」アウディは初戦でポイント獲得という成果を持ち帰ったものの、ウィートリーの発言からは、2026年の戦いを長期プロジェクトとして見据える姿勢がにじむ。ワークス1チームだけで蓄積できるデータには限界があり、その差を埋めるには時間が必要だという現実を、アウディ自身が最もよく理解している。
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