アストンマーティンF1は、ライバルに比べて空力テストの割り当てが多いことが、チームが積極的に活用している利点であると語る。アストンマーティンの2023年F1マシンは、開幕から3レースでフェルナンド・アロンソの手によって3位に入り、メルセデスやフェラーリのライバルに匹敵することを証明するなど、これまでのシーズンで注目を集めている。
チームは、この勢いを維持するために、今後数カ月間、AMR23にアップデートしていく開発プログラムを進めている。そして、その開発プログラムを最大限に活用するため、アストンマーティンは100%ベースラインの空力テストの割り当てに頼っている。これは、首位のレッドブルだけでなく、メルセデスやフェラーリをも大きく上回る。2021年に導入されたF1のコスト削減策の一環として、チームはレーシングカーの開発に使用できる風洞試験や数値流体力学(CFD)の時間数を制限されている。各チームの空力試験制限(ATR)は、前シーズン終了時と今シーズン6月30日時点のコンストラクターズランキングの順位によって決定され、成績の悪いチームほど開発の機会が多くなる。このため、昨年11月に課されたコストキャップペナルティを考慮すると、ワールドチャンピオンのレッドブルは63%という最も厳しい制約の中でシーズンをスタートした。フェラーリとメルセデスのATRはそれぞれ75%と80%で、アストンマーティンは100%のATRのおかげで、ベースライン枠をフルに活用することができる。アストンマーティンのパフォーマンス・ディレクターであるトム・マッカローは「間違いなくアドバンテージであり、できる限り使うようにしている」とASに語った。「時間があればあるほど、より多くのセッションをこなし、より多くのことを分析することができる」「我々は毎週風洞で、コストキャップを念頭に置きながら、大きなパフォーマンスをもたらすことができる開発手段を探している」「バクー以降、パーツも入ってくる。それが、今、みんながやっているプロセスだ」トップチーム間のATRの差は、レッドブルの追撃陣がこれほどまでに接近している理由のひとつだが、マッカローは、ライバルと自分たちが接近している一方で、そのパフォーマンスは同じ方法で達成されているわけではないと指摘する。「メルセデス、フェラーリ、そして私たちは、テスト時から接近している」とマッカローは説明する。「低速コーナー、中速コーナー、高速コーナーの効率には小さな違いがある。マシンは似たようなタイムを出しているが、出し方は違う」「我々のクルマは、直線スピードよりもコーナリングに重きを置いている。昨年は多くのサーキットで最適なリアウイングを持つために、たくさんのリアウイングを作ったが、それはとても高価だ」「今年は3レースで同じウィングを使用している。多くの効率が求められるバクーではリアウイングを導入する予定だが、コストキャップという観点からすべてを計画している」ローレンス・ストロール(左)とトム・マッカロー(右)マッカローは、レッドブルのRB19が、高いレベルの空力効率と素晴らしい直進性を両立させるという偉業を達成したことを認めている。「彼らのマシンは、効率性において非常に優れている。DRSの効果もかなり強力だ」とマッカローは語る。「しかし、ストレートでも強い。アルバート・パークは、比較的短い周回で4つのゾーンがあるので、DRSに対する感度が高い。コーナーに強く、ストレートにも強いクルマだ」「他のホンダエンジン搭載車を見ると、RB19のアドバンテージは基本的には空力的な効率である可能性が高い。すべてのデータがあるわけではないがね」マッカローは、モナコやバルセロナといった低効率の会場が、アストンマーティンにレッドブルへの挑戦の機会を与えるかもしれないと期待している。「レッドブルは昨年、すでに効率的だった」とマッカローは付け加えた。「バクーとマイアミは効率が非常に重要なサーキットだが、モナコやバルセロナのような効率の低いサーキットが後に控えている」「世界選手権の最初の3つのサーキットは、一年を通して典型的なものではなかった。現在、高効率のサーキットでのグランプリが多いが、1年を通して低効率のイベントも増えてくる。我々はシーズン全体を考えてクルマを設計している」