フェルナンド・アロンソはF1史上屈指の才能を持つドライバーと評価されながら、獲得したワールドタイトルは2005年と2006年の2回にとどまっている。そのため、多くのファンや関係者の間では「もっと多くの王座を獲得できたはずだった」という声が長年語られてきた。そんなアロンソのキャリアについて、元フェラーリのエンジニアであるジョック・クリアは「不運」という見方に異論を唱えた。
クリアは、アロンソが下したキャリア上の決断こそがタイトル数に影響したと考えており、「違う決断ならもっと勝てた」との見解を示している。アロンソのキャリアを左右した数々の選択アロンソはルノーで2005年と2006年に2年連続でワールドチャンピオンを獲得した後、2007年にマクラーレンへ移籍した。しかし、当時ルーキーだったルイス・ハミルトンとの関係悪化やチーム内対立によってわずか1年でチームを離脱することになった。その後は2008年にルノーへ復帰したが、タイトル争いに加わることはできなかった。2010年にはフェラーリへ移籍し、2010年と2012年には王座にあと一歩まで迫ったものの、いずれも獲得には至らなかった。2014年にはフェラーリの競争力低下を受けてチームを離れ、翌年からマクラーレン・ホンダへ加入。しかしホンダのパワーユニットは深刻な苦戦を強いられ、アロンソは4シーズンにわたり後方グループで戦うことになった。2018年末に一度F1を離れた後、2021年にアルピーヌから復帰。現在はアストンマーティンに所属しているが、タイトル争いには加われていない。クリア「運はキャリア全体では均衡する」イタリアメディア『Formula1.it』のインタビューで、これまで一緒に仕事をしてみたかったドライバーを尋ねられたクリアは、アロンソの名前を挙げた。「アロンソと仕事をしてみたかった。彼は信じられない才能の持ち主だ」そして、アロンソが不運だったとの見方については否定的な考えを示した。「彼はキャリアの中で不運だったと言われるかもしれない。しかし私は運がキャリアを左右するとは考えていない」「運はグランプリのような単発のレースでは影響するかもしれないが、キャリア全体で見れば最終的には均衡するものだ」さらにクリアは、アロンソ自身の選択がタイトル獲得の機会を左右したとの見解を語った。「彼は違う決断をしていれば、もっと多くのタイトルを獲得できたはずだ」「彼と一緒に仕事をして、その働き方や能力、ドライビング技術を見てみたかった。外から見ているだけでは本当の姿は分からないからね。それ以外に後悔はない」再び大きな決断を迫られるアロンソ皮肉なことに、アロンソは現在もキャリアの重要な分岐点に立たされている。2026年シーズンに入り、アストンマーティンは大きく苦戦しており、アロンソには古巣アルピーヌ復帰の噂も浮上している。しかし、元F1ドライバーのファン・パブロ・モントーヤは、アロンソが再びチームを移ることに懸念を示し、アストンマーティンに残留すべきだと助言している。クリアの発言は、アロンソのキャリアを巡る長年の議論に改めて焦点を当てるものとなった。2度の王座しか獲得できなかったのは不運だったのか、それとも選択の結果だったのか。その答えは今もなお議論の対象となっている。