2026年F1シーズンを巡る議論が続くなか、フェルナンド・アロンソが新世代F1マシンの特性に対して改めて疑問を呈した。焦点となっているのは、エネルギーマネジメント主導のレース構造がドライビングの本質を変えている点だ。その問題はF1日本GPの舞台となった鈴鹿サーキットで顕在化した。従来はドライバーの技量が試される象徴的な高速コーナーが、別の役割を担うようになっているという。
「高速コーナーは充電ステーション」ドライビング価値の変化アロンソは、新世代F1において高速コーナーの意味が大きく変わったと指摘する。「バーレーンテストのときに、シェフでも運転できると言ったが、今はスタッフの50%は鈴鹿を走れると思う」「何度も言っているが、高速コーナーは今やクルマの充電ステーションになっている」「そこでは減速してバッテリーを回収し、ストレートでフルパワーを使う。だからドライバーのスキルはもう必要とされない。高速コーナーは挑戦ではなくなった」鈴鹿で露呈したエネルギー依存のレース構造鈴鹿サーキットは回生効率が低く、エネルギー確保が難しい“エネルギー不足型”のレイアウトとされる。そのためドライバーはラップ中に意図的な減速を挟み、バッテリーを回収する必要がある。特に130Rでは、本来は全開で駆け抜けるべき区間で出力制限、いわゆるスーパークラッピングが発生。これにより不自然な速度変化が生まれ、観戦面でも違和感が指摘された。予選ではエネルギー上限が9MJから8MJへと引き下げられたが、理論上の改善とは裏腹に、ドライバーが積極的に攻められない状況は大きく変わらなかった。構造的問題としての“ドライバー依存度の低下”アロンソは、この問題が単なるセットアップやサーキット特性の問題ではなく、レギュレーションそのものに起因すると見ている。「改善は簡単ではない。常にストレートとエネルギー管理に偏るからだ」「規則の修正でスーパークラッピングや出力制限は良くなるかもしれないが、クルマを限界まで攻める必要はもうなくなる」この指摘は、2026年F1で顕著となっている“ヨーヨーレース”とも一致する。ストレートでのエネルギー消費と回生のバランスによって順位が入れ替わる構造は、純粋なドライビングバトルとは異なる性質を持つ。マイアミでの改善と残る本質的課題次戦マイアミは回生機会が多く、鈴鹿ほど極端なエネルギー制御は求められないと見られている。そのため表面的なレース展開は改善する可能性がある。ただし、アロンソの発言が示すのはコース依存の問題ではない。エネルギー運用が主導する現在のF1において、ドライバーが限界まで攻める価値そのものが薄れているという構造的な課題だ。2026年F1はオーバーテイクの増加という成果を見せつつも、その質について新たな議論を生んでいる。アロンソの言葉は、その変化の核心を突くものとなっている。
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