角田裕毅はブラジルGPで最後尾近くのポジションに沈み、完走したドライバーの中で最下位となった。同じレッドブルF1のRB21を操るF1王者マックス・フェルスタッペンは、ピットレーンスタートから表彰台を獲得しており、両者の間に生まれた“1秒近い差”が注目を集めている。その背景について、インディカーのアレクサンダー・ロッシが自身のポッドキャストで詳細に語った。
F1TVのオンボード映像を両者で切り替えながら追ったロッシは、「同じマシンに見えるのに、なぜここまで差が出るのか理解できなかった」と驚きを示している。角田裕毅とフェルスタッペンのオンボードは“同じ挙動”だったロッシはブラジルGPをF1TVのオンボードで徹底的に追跡し、角田裕毅とフェルスタッペンのラップを比較していたという。「角田のオンボードを見ると、フロントは鋭くなく、マシンの動きが落ち着いていなかった。マックスの車も同じように見えた。どちらも決して良いバランスじゃなかった。それなのにマックスはほぼ1秒速かった。あれは理解できなかった」RB21は2人の手の中で“似たように難しい挙動”を見せていたにもかかわらず、結果は大きく分かれた。ロッシはその点を「不可思議」と表現し、純粋にドライバーの違い以上の何かがあるように感じたと語った。角田裕毅のフィードバックがレッドブルF1を動かし、波紋にブラジルGP週末は、レッドブルF1が苦戦した予選が大きな転換点となった。フェルスタッペンは16番手、角田裕毅は19番手。フェルスタッペンはスプリントで4番手に入ったが、マシンの挙動に不満を口にし続けていた。ここで重要な役割を果たしたのが、角田裕毅のフィードバックだった。角田裕毅はスプリントに向けて大幅にセッティングを変更し、ピットレーンスタートを選択。その結果、「このほうが良い」と感じた点をチームへ伝えていた。ロッシによれば、その感触を受けてフェルスタッペンが予選に向けて“角田裕毅のセッティング”を採用したという。「おそらくリカルド以来、チームメイトのセットアップを取り入れたのは初めてじゃないか。結果的にマックスはキャリアで初めて“純粋なペース不足”でQ1敗退した」この判断が、レッドブルF1に大きな波紋を生んだ。角田仕様を外した後、フェルスタッペンは覚醒した予選Q1敗退後、フェルスタッペンはパルクフェルメを破ってセットアップを変更。ピットレーンスタートとなったが、決勝では一転してパフォーマンスを取り戻し、怒涛の追い上げで表彰台まで届いた。ただし、ロッシの目に映ったRB21は依然として完璧ではなかったという。「フロントは鋭くないし、パワーダウンも安定しているようには見えなかった。それでもマックスはすべてを引き出した。角田のオンボードも似たように見えたのに、結果は最後尾。やっぱり不思議だった」同じように難しいマシンを操りながら、フェルスタッペンは結果を最大化し、角田裕毅はペース不足に苦しんだままだった。“謎の1秒差”がレッドブルF1に突きつけた課題ロッシの指摘は、RB21の問題が両者に共通していながら、なぜか最終的な成果に大きな隔たりが生まれたという点にある。角田裕毅のフィードバックがセッティングに影響を与え、フェルスタッペンが苦しんだことは事実として興味深い。一方でフェルスタッペンは、その難しいマシンでも結果を出し切った。オンボードからは“両方とも良くないRB21”。しかし最終順位はまったく異なる。ロッシが「理解できなかった」と語った“謎の1秒差”。これはレッドブルF1にとっても今後見逃せないテーマとなりそうだ。