ウィリアムズ・レーシングのチーム代表ジェームス・ボウルズは、現インディカー王者アレックス・パロウが、2025年に同チームのシートを獲得する可能性が真剣に検討されていたと明かした。しかし最終的には、同じスペイン出身のカルロス・サインツが契約を勝ち取ることとなった。昨シーズンに3度目のインディカー王座を獲得し、今年はインディアナポリス500の制覇も果たしたパロウは、F1グリッドの座を狙う有力候補として浮上していた。
だがボウルズによれば、28歳のパロウは欧州のジュニアカテゴリーや日本のスーパーフォーミュラで築いた輝かしい経歴を持ちながらも、いくつかの要因により交渉は進展しなかったという。本気で検討されたが、障害も大きかった「パロウはものすごく速い」とボウルズは独Auto Motor und Sport誌に語った。「我々のリストには載っていた。だが問題が2つあった」「彼の実績を考えると、安価な起用にはならない。彼の希望額は500万ドル以上のレンジにあると思う」「そして、1回のテストや金曜フリー走行で済むような状況ではない」「パロウがF1に来るには、アントネッリやオリバー・ベアマンと同じプログラムをこなさなければならなかった。彼らは旧型F1マシンで1万km近くを走り込んでいる」「つまりパロウも1年を費やし、完全にF1の準備に専念しなければならなかった。それは彼の今の地位を考えると、あまり現実的とは言えないだろう」現在最も多くのタイトルを持つ現役スペイン人レーシングドライバーとなったパロウの実力は疑いようがないが、インディカーで築いた確固たる地位、そしてF1転向に必要な膨大な準備期間が、今の彼にとっては大きなハードルだった。F1入り目前だったパロウそれでもボウルズの説明が示すように、パロウがF1に接近していたことは確かだ。パロウはマクラーレンとともに複数回のプライベートテストを経験し、そのたびにF1関係者やエンジニアを感心させてきた。一時はインディカーのアロー・マクラーレンでレースに出場する予定だったが、最終的にはチップ・ガナッシ・レーシングに残留。この決断がマクラーレンとの契約違反として訴訟問題に発展した経緯もある。そして結局、ウィリアムズのシートを勝ち取ったのはカルロス・サインツだった。だがボウルズの言葉からは、アレックス・パロウがどれほどF1の扉に近づいていたか、そして彼がいかに米国モータースポーツ界において大きな存在であるかが改めて浮き彫りとなった。
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