フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、F1中国GPでセーフティカーが上位勢が反応できないタイミングで導入されたのは“適切ではない”と考えている。F1中国GPでは、30周目にトロロッソ・ホンダの同士討ちによってコース上にデブリが飛び散ったためセーフティカーが導入された。しかし、セーフティカー導入が決定された時には、バルテリ・ボッタスと首位争いを演じていたセバスチャン・ベッテルはすでにピットレーン入口を通過しており、ピットインすることができなかった。
このセーフティカーでダブルピットインを敢行したレッドブル勢は、新品のソフトタイヤで猛烈な追い上げを展開。ダニエル・リカルドが華麗なオーバーテイクを連発して最終的には逆転勝利を果たした。セバスチャン・ベッテルは「セーフティカーのタイミングはバルテリにとっても僕にとっても最悪だった」とコメント。「反応するチャンスはまったくなかった。それにレースがフリーズされていたわけでもなかった。通常であれば、1~2回、セーフティカーラインを通過してからフリーズになるけど、今回はセーフティカーがいきなり出てきた。基本的に僕たちでレースから外れてしまった。新品タイヤに履き替えるか、ステイアウトするかを検討するチャンスさえなかった」 セバスチャン・ベッテルは、すべてのグランプリで公正なタイミングでセーフティカーが導入されるとは期待していないが、中国ではレースコントロールが決断を下すまでしばらく待機する時間があったはずだと考えている。「なぜセーフティカーがレースを変えたのかを理解する必要がある。2014年のハンガリーでも僕たちは似たような状況に陥った」とセバスチャン・ベッテルはコメント。「上位勢がピットエントリーを通過した後にセーフティカーが導入された。もしくは上位勢がピットエントリーを通過した後に決定がされた。それによって上位勢は不利となった」「何かが起きた場合にすぐに対応すべきであることは理解しているし、常にマシンの位置関係を尊重する必要がないこともわ分かっている。でも、コース上にデブリが散らばって2周走っていたのに、どうしてあと30秒速く判断できなかったのだろう。そうすれば、全員にピットインするかどうかを判断するチャンスが与えられたはずだ」「ギャップはわからないけど、マーシャルにはコース清掃するために1分半から2分与えてあげるべきだ。でも、積極的にレースを変えるタイミングで導入するのは正しいことではないと僕は思う」 レース後、F1レースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングは、ベッテルと同じように2014年のハンガリーGPを例に挙げ、FIAの最優先は安全確保であり、グランプリの結果を管理することではないと語った。「誰かに有利になったり、不利になるとは考えていない。数年前のハンガリーではニコ(ロズベルグ)がリードしており、上位の4台がピットエントリーを通過したところで、彼らが不利を被った。極めて単純なことだ」とチャーリー・ホワイティングはコメント。「なぜピンポイントで指摘されるのか私にはよく分からない。2015年からはバーチャルセーフティカーもあるし、セーフティカーはもう導入されてから20年だ。導入されれば勝者も敗者も出ることはわかっていることだ」 「もし、我々が誰に不利になるかを考えながら、全員に同じチャンスを与えられるように考えなければならないと言っているのであれば、我々にはそのような時間はない。それをするのは我々の仕事ではない」
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