マックス・フェルスタッペンの将来が揺らぐ中、レッドブルはエースの引き留めに向けてあらゆる手段を講じている。2026年レギュレーションへの不満という構造的な問題を抱えながらも、チームとしてコントロール可能な領域での改善を急いでいる状況だ。現状の競争力低下や組織変化は一見すると不利に映るが、レッドブル内部では再建に向けた動きが加速している。人的補強、マシン開発、そして将来投資という複数の軸から、フェルスタッペンに「残る価値」を提示しようとしている。
組織再編の中でも強調される“成長力”過去数年でレッドブルは大きな変化を経験してきた。クリスチャン・ホーナー、エイドリアン・ニューウェイ、ヘルムート・マルコ、ジョナサン・ウィートリーといった中核人物に加え、ガレージ内で直接関わっていたエンジニアやメカニックも離脱している。さらに決定的だったのが、長年レースエンジニアを務めたジャンピエロ・ランビアーゼの2028年マクラーレン移籍決定だ。こうした流れは「人材流出」とも捉えられるが、ローレン・メキースはその見方を否定する。「まったくそうは思わない。それが私の率直な答えだ」「我々は毎日マックスと話しているし、彼はこのチームのすべてを理解している」むしろチームは採用強化を進めており、直近9カ月で400人以上を採用。ファクトリーには100人規模の新規スタッフが加わっており、組織としての拡張が続いている。「我々には約2000人のスタッフがいる。このチームは常に才能を生み出し続ける環境だ」人材の入れ替わりではなく、「循環による強化」というメッセージがフェルスタッペンに対して強調されている。RB22の課題と“完全ではない改善”2026年型マシンRB22の問題は、単純なパワーユニット性能だけではない。ダウンフォース不足に加え、ハンドリングの不安定さが深刻で、セッションごと、さらにはラップごとに挙動が変化する。セットアップ変更も効果が出にくく、ドライバーが信頼を築けない状態が続いている。フェルスタッペンは日本GPでこう語っている。「基本的に反応しない」チームはこの問題に対して、日本GP以降の期間で徹底的な解析を実施。マイアミGPに向けたアップデートでは、フェラーリ型の“上下反転リアウイング”に類似したコンセプトも投入された。ただしメキースは過度な期待を戒める。「すべてを解決したわけではないが、ドライバーにより一貫したマシンを提供するという点では前進した」「すべてを解決したとは言えないが、大きな部分では改善している」重要なのは順位そのものではなく、「問題を理解し、改善の道筋があること」を示す点にある。未来投資としての新風洞プロジェクトフェルスタッペンの判断において、短期的な競争力だけでなく長期的なビジョンも大きな要素となる。その中核となるのが、ミルトンキーンズで建設中の新風洞施設だ。これまでレッドブルはベッドフォードの旧式風洞を使用してきたが、外気温の影響を受けやすく、空気密度の変化によってデータの一貫性に課題を抱えていた。新施設はこうした問題を解消し、安定した相関性能を実現することを目的としている。稼働は来年半ばが予定されている。「この施設は今後10年にわたって、我々の相関能力をまったく別のレベルに引き上げる」「プロジェクト全体として見れば、我々を非常に強いポジションに置くことになる」フェルスタッペン残留の鍵は“総合力”レッドブルが示しているのは、単なるパフォーマンス改善ではない。■ 人材補強による組織の再構築■ マシン改善による競争力回復■ 風洞投資による長期的優位性この三位一体の戦略によって、現状の課題を上回る「将来価値」を提示しようとしている。2026年レギュレーションそのものはチーム単独では変えられない。しかし、それ以外のすべてを改善することで、フェルスタッペンにとって残る理由を作り出す。その説得力がどこまで届くかが、今後のF1勢力図を大きく左右することになる。Source: The Race
全文を読む