2019年 FIA世界ラリー選手権(WRC) 第6戦 ラリー・チリのシェイクダウンが行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC 8号車)が2番手タイムを、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(10号車)が3番手タイムを、クリス・ミーク/セブ・マーシャル組(5号車)が6番手タイムを記録。明日から始まる森林ステージに向けて、クルマのセッティングおよび最終確認を行った。
WRC初開催となるラリー・チリは、前戦ラリー・アルゼンティーナと同じく、南米大陸を舞台するグラベル(未舗装路)ラリー。しかし、コースの特徴はアルゼンチンと大きく異なり、ステージの大部分が森林地帯で行なわれる。路面は全体的にフラットで、クルマに大きなダメージを与えるような石はそれほど多くない。スピードが乗る中高速コーナーが続き、ドライバーにとっては比較的走りやすいコースだといえる。しかし、道幅が狭いところも多く、道の先が見えないクレスト(丘)やジャンプもあるため、正確なドライビングテクニックが求められる。WRCのマニュファクチャラーチームは、ヨーロッパ以外での走行テストが禁じられており、ラリー前にWRカーでチリの道を走る事はできない。そのため、初開催のラリーながら事前テストのチャンスはなく、チームにとってシェイクダウンは貴重なテストの機会となった。また、アルゼンチンを戦ったクルマを整備した上でチリでも走らせるため、各部が正常に機能しているかどうかの確認も、大切な作業だった。シェイクダウンは、サービスパークが置かれるチリ中南部の都市「コンセプシオン」の南側で行われ、ウェットコンディションとなった全長6.45kmのコースでタナックが2番手タイムを刻むなど、良い形で終了した。この後、コンセプシオン市街地の独立広場で夜7時よりセレモニアルスタートが行われ、ラリー・チリは華やかに開幕を迎える。トミ・マキネン(チーム代表)シェイクダウンは、ドライバーにとって初めてチリの道を走るチャンスだったので、本当に重要でした。走り始めの路面は濡れていて非常にトリッキーでしたが、その後だんだんとドライになっていき、ドライバー全員が良いフィーリングを感じたようです。何も問題は起こらず、あらゆる路面コンディションで良いタイムがでました。万事順調だと思いますので、明日朝の競技スタートがとても楽しみです。オット・タナック (ヤリスWRC 8号車)走り始めから何も問題なく、とても良いシェイクダウンでした。天気は我々がレッキをした時と大きく違い、降雨によって路面は泥状となり、まるでラリーGB(グレートブリテン)のようでした。ゼロの状態から作ったペースノートで走る時は、完璧ではない部分もあるので大きなチャレンジですが、特に今回のような速いラリーではなおさらです。ステージに集中し、良いフィーリングを感じて走らなければなりません。今週末は、自信を持てるかどうかが戦いの鍵を握るでしょう。ラリーのスタートがとても楽しみですし、準備は万端だと思います。ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC 10号車)シェイクダウンは泥が多くとても滑りやすい路面状態でしたが、最初の走行からクルマに良いフィーリングを感じることができました。走行を重ねてもそれは変わらず、走りを楽しめました。クルマのセッティングを大きく変える必要はなく、自分の中ではすべてがクリアになっています。レッキを行なった時はいくつかのステージで霧が立ちこめていたので、ペースノートを作るのはとても大変でした。このラリーの道は非常に難しく、明日の午前中のステージでは、誰がペースノートに自信を持って走っているのかがきっと明らかになるでしょう。クリス・ミーク (ヤリスWRC 5号車)森の中のシェイクダウンステージはウェットコンディションで、木材を運搬するための道路はまるでウェールズのようでした。泥に覆われた道での走行開始となりましたが、それでも楽しめましたし、良いリズムを感じました。走行の合間にいくつかセッティングを変更しましたが、シェイクダウンを通してヤリスWRCはとても走りやすかったです。これから路面が乾いていってくれたら嬉しいのですが、もしそうならなくとも走るのは楽しみです。まったく新しいラリーで、新たにペースノートを作るのはいつでも大きな挑戦です。ラリーが始まる前に、間違いがないかどうか再確認しなくてはならず、やるべき事は山ほどあります。ラリー・チリ シェイクダウンの結果1 アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 4m46.4s2 オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリス WRC) +1.0s3 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +1.2s4 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +2.6s5 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (フォード フィエスタ WRC) +3.7s6 クリス・ミーク/セブ・マーシャル (トヨタ ヤリス WRC) +3.9s7 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (シトロエン C3 WRC) +4.0s8 セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +4.5s9 テーム・スニネン/マルコ・サルミネン (フォード フィエスタ WRC) +5.4s10 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (シトロエン C3 WRC) +5.5s明日のステージ情報競技初日となる5月10日(金)のデイ1は、サービスパークが置かれるコンセプシオンの南側エリアで5本の森林ステージを走行。1日の最後には、コンセプシオン中心部の特設コースで全長2.2kmのショートSSが行なわれる。6本のSSの合計距離は125.27km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は600.53kmとなるう。注目のステージ:SS2/4 エル・プマ 全長30.72kmセブ・マーシャル(ヤリスWRC 5号車 コ・ドライバー)明朝2本目に走る「エル・プマ」は今大会最長のステージです。序盤は道幅が広く非常に高速で、多くのクレスト(丘)があり、ラリー・フィンランドのステージと良く似ています。その後、曲がり角を右に曲ると、ステージの特徴は大きく変わります。道幅は少し狭まり、とてもツイスティでテクニカルな道が現れます。中速のコーナーが連続し、内側に傾いているコーナーではクルマの向きを変えやすくなるので、流れに乗って走ることが可能です。
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