TOYOTA GAZOO Racingは、4月6日(木)から9日(日)にかけて開催されるFIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・フランス(ツール・ド・コルス)に、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)とユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(#11号車)の、2台のヤリスWRCで参戦する。コルシカ島のツイスティなターマックコースはTOYOTA GAZOO Racingにとって新たなるチャレンジとなるが、4戦連続の2台完走を目標に全力でラリーに臨む。
フランスのコルシカ島が舞台となるツール・ド・コルスは、今シーズン2回目のターマック(舗装路)ラリーである。ただし、開幕戦のラリー・モンテカルロは、ターマックラリーとはいえ、コースの所々が雪や氷で覆われていた。そのため、舗装路のみを走行する純粋なターマックラリーは、今回のツール・ド・コルスがシーズン初となる。コルシカ島は地中海西部に位置するフランス領の島で、多くの部分は険しい山岳地帯。島内には曲がりくねった山道が多く、ラリーのSSで使用される道もタイトなコーナーが連続する。それ故、ツール・ド・コルスは「1万コーナーのラリー」と呼ばれている。コースは道のすぐ脇に岩や断崖絶壁が迫るなどエスケープゾーンは皆無に近く、ほんのわずかなミスも許されない。また、舗装路とはいっても平坦で滑らかな道だけでなく、表面がざらざらに荒れていたり、古くなった舗装が崩れ、まるで未舗装路のようになっている道も多い。このように、たとえ舗装路であっても、よく整備されたサーキットとは大きく性質が異なる、極めてチャレンジングなコースなのである。2017年のツール・ド・コルスは、島の東北部のバスティア空港にサービスパークと大会本部が置かれる。競技は4月7日(金)に島の南西部アジャクシオでスタートし、4本計120.64kmのSSが行われる。8日(土)はバスティアを中心に4本のSSが予定されており、その合計距離は131.96km。最終日の9日(日)は、島の東帖南側で2本計64.2kmのSSが行われ、南部ポルト・ヴェッキオでの最終ステージ、SS10はエキストラのボーナスポイントがかかるパワーステージに指定されている。SSの数は3日間で10本と少ないが、50km前後の長いSSも多いため合計距離は316.80kmに到達。移動区間を含めた総走行距離は1080.73kmとなっている。ツール・ド・コルスは、WRCがスタートした1973年からシリーズの1戦に含まれるなど、長い伝統を誇る。一時WRCフランスラウンドは本土のアルザス地方に開催地を移していたが、2015年大会よりコルシカ島に回帰。6年ぶりにWRCとして開催されたツール・ド・コルスでは、ラトバラが優勝を果たした。ラトバラは前年にアルザス地方で行われた2014年のWRCラリー・ド・フランス・アルザスでも優勝しており、フランスのターマックラリーを2年連続で制している。一方、ハンニネンは2008年に1度出場経験があり、その時はプロダクションカーのグループNクラス1位でフィニッシュしている。チームはツール・ド・コルスに向け、3月下旬にコルシカ島でテストを行った。各クルーは、本番と条件が近いターマックコースをそれぞれ2日間走り込み、ヤリスWRCをツール・ド・コルス仕様に仕立てあげた。トミ・マキネン(チーム代表)クルマに改善を施し、今回のテストはとてもうまくいきました。今のところ、舗装路でのヤリスWRCのパフォーマンスは非常に期待できると思っています。結果が伴えばベストですが、我々の目標は引き続き、経験と学びを積み重ねることです。今回のラリーに向けて、ポジティブなことがたくさんあります。まず、ヤリ-マティはツール・ド・コルスが好きで、とても良いムードでいることです。ドライバーがこのような精神状態のときは、よいパフォーマンスができるものです。コルシカ島のコースにはカットできるコーナーはほとんどないため、彼は2番手走者ですが、路面の状況については問題ないはずです。また、ユホの体調は完全に回復しました。前回のメキシコでは体調を崩しながらもよいパフォーマンスをして完走し、ポイントも稼いでくれました。体調が万全になった今回はさらに自信を持って挑めるはずです。ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC #10号車)私にとってツール・ド・コルスは特別なイベントです。1986年のヘンリ・トイボネンの事故も含め、フィンランド人ドライバーにとって、なかなか結果が出せない難しいラリーだったので、自分がこのラリーで勝てたことは非常に大きな意味がありました。ですが、今は状況は変わっていますし、ラリーはより安全になっています。2日間で380kmを走行したテストは非常にうまくいきました。初日は道幅が狭く凹凸の激しい道、2日目は高速で平らな道と、本番で想定される両方の条件でテストをし、ダンパーのセッティングをいくつかトライしながら、両方の条件に合う良いセッティングに到達しました。モンテカルロを走って、ヤリスWRCのターマックでのポテンシャルはある程度分かっていましたが、今はモンテカルロの時よりもさらによいフィーリングになっています。ですが、これまでの3戦で分かったように、ライバル達もとても強いので簡単にはいきません。ここまで着実に行ってきたように、過度に結果にとらわれず、ラリー毎にクルマを改善していくという目的に向かって集中を続けます。ユホ・ハンニネン (ヤリスWRC #11号車)体調を崩していた前回よりずっと調子がよく、ターマックに戻る今回のラリーがとても楽しみです。昨年ここでレッキはしましたが、ツール・ド・コルスには1度しか出たことがなく、それもかなり前のことです。そのため、クルマのセッティングに関してはヤリ-マティのアドバイスにずいぶん頼り、その結果、とてもうまくいっています。モンテカルロと極めて近いフィーリングですが、モンテカルロの時と主な違いはタイヤです。このタイヤで、特に長いステージでベストな結果を出せるようにテストでしっかり学びました。メキシコで、粘り強くやれば、悪条件の中でもよい結果が出せることが分かりました。そしてそれは、「もっといいクルマを作り続ける」というトヨタの考えにも通じるところがあると思っています。
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