TOYOTA GAZOO Racing WRCチームは、TOYOTA GAZOO Racingの目指す「もっといいクルマづくり」を具現化すべく、この9か月間開発を行ってきた。冬の間のチームの多大な努力を経て、この春、ヤリスWRC(日本名:ヴィッツ)はフィンランドにて最初のテスト走行に臨み、続いて南欧でのテストで快走した。これらの徹底したテストプログラムを通し、快調に走りだしたヤリスWRCは、今後も走行テストを続けることであらゆる道に鍛えられWRCの道に向かう。
■10回のテストで5000キロを走破!今年5月、期待と興奮に満ちたチームは、フィンランドの開発拠点に程近い場所でヤリスWRCの初シェイクダウンを行い、その後多くの場所でテストを繰り返している。開発はまだ初期段階であるが、欧州のあらゆる道ですでに5000キロを走破してきた。チーム代表のトミ・マキネンは次のようにコメントしている。「スケジュール通りに開発を進めるために、我々は懸命な作業を続けてきた。5月以来すでに多くのテストを予定通りにこなしている。2台目のテスト車両が加わったことでテスト計画はペースアップし、内容も多様化した。あらゆる環境と路面でテストを行い、2017年シーズンに万全の体制で臨みたいと考えている」。■2台のテスト車両による相乗効果開発プログラムを最も効率よく行うため、2台目は早い段階で投入された。「2台体制を敷いた理由は、開発を2つのパートに分けたかったからである。1号車のチームはフィンランド国内で活動し、エンジンとギアボックスに焦点を当て、車両の信頼性と耐久性向上に注力している。2号車のチームはサスペンションに焦点を当て、スペインやポルトガルといったフィンランド以外の欧州をベースに活動している」とチーフエンジニアのトム・フォウラーは説明する。「ターマックでのテストはまだ始めていないが、車両のパフォーマンスレベルはとても高いと言える。これまでのところ大きな問題もなく進められており、チームの励みになっている」。■テストドライバーラインナップ開発プログラムをさらに進める前の現時点では、トミ・マキネン、ユホ・ハンニネン*1、ヤルコ・ニカラ*2の3名が、交代でハンドルを握っている。「気持ちを抑えきれず、自分が一番に車両を走らせた」とマキネンは認める。「素晴らしいフィーリングで楽しく運転ができた。メインテストドライバーであるユホ・ハンニネン、そしてヤルコ・ニカラが加わってくれたことも、とても幸運だ」と付け加えた。ハンニネンは「最初に運転したときはとても感銘を受けた」と話す。「ハンドリングと車両のバランスは完璧だったし、設計も非常に優れている。クルマの信頼性が高く大きな問題もなかったので、フィンランド国外で初めて行ったテストでは時間を無駄にすることなく、予定通りの走行距離をカバーできた。様々な状況・条件でテストを行ってきたが、ヤリスWRCのパフォーマンスはとても安定している」と加えた。*1ユホ・ハンニネン: フィンランド出身ラリードライバー。 2010年にIRCチャンピオン、2011年にはS-WRC(現WRC-2)チャンピオンとなる。2014年、ヒュンダイワークスチームよりi20 WRCでWRCに参戦。また、2015年はフォードFiesta WRCでラリー・フィンランドにスポット参戦した*2ヤルコ・ニカラ:フィンランド出身ラリードライバー。16歳からモータースポーツを始め、2006年にはフィンランド国内ジュニアラリーチャンピオンを獲得。2007年のラリー・フィンランドでWRCデビュー。2012年のラリー・カタルーニャ(スペイン)ではMINIジョン・クーパー・ワークスで5位入賞した■情熱にあふれ活気に満ちたチームチームには毎週のように新しいメンバーが増えている。現在日本を含む7か国からのメンバーで構成される多国籍なチームは全員が「もっといいクルマづくり」の精神で、同じ目標に向かって邁進している「この家族のような雰囲気のチームをとても気に入っている。人がどんどん増えているにもかかわらず、チームの雰囲気がほとんど変わっていないことに驚いている。言語による壁もなく、チームには一体感があり、一人一人が妥協することなくベストを尽くしている。これらは成功するチームには必須条件の一つだと考えており、皆が同じ方向を向いていることをうれしく思っている」とマキネンは語る。TOYOTA GAZOO Racing WRC 公式映像 第1弾