FIA 世界耐久選手権(WEC)2018-2019年スーパーシーズン第6戦 セブリング1000マイルレースの決勝レースが3月15日(金)に行われ、TOYOTA GAZOO RacingのTS050 HYBRIDがシーズン5度目となる1-2フィニッシュを果たした。中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソの3名が駆るTS050 HYBRID 8号車が、フロリダの熱狂的なモータースポーツファンの見守る中、8時間で終わることとなったレースのチェッカーフラッグを先頭で受けた。今シーズンの3勝目を挙げると共に、ドライバーズタイトル争いでのリードを15点へと拡げた。
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの7号車はレース中盤、接触による修復を強いられたが、8号車に続く2位でフィニッシュ。チームに取っては今シーズン5度目となる1-2フィニッシュを達成しまた。小林可夢偉はレース中、1分41秒800の最速ラップタイムをマークし、前日、フェルナンド・アロンソが予選でマークしたコースレコードに続き、新たにセブリングでの歴史に名を残すこととなった。チームに取って初めてとなるセブリングでのレースは、強い日差しと、28度というやや暑い気温の下で開始された。ポールポジションの8号車はブエミがステアリングを握り、序盤からレースをリード。これを2番手につけたロペスの7号車が追い、プレッシャーをかけ続けた。その展開のまま2時間を迎えようかというあたりで降雨があり、SMPの17号車が激しくクラッシュ。フルコースイエローに続き、破損したタイヤバリアの修復のために、セーフティカーが導入された。これで一旦レースは仕切り直しとなったが、15分ほどのセーフティカーランを経ての再開後は、7号車の小林が8号車のアロンソを僅差で追う展開に。近郊で強い雨が降り始めたが、雨雲はコースを避けて路面はドライのまま。暗くなっていく中でもTS050 HYBRID同士によるバトルが続いた。レースが半分の距離を過ぎたとき、8号車の中嶋は数秒差で7号車のコンウェイを抑えての走行。3位のレベリオンには3周差がついていた。しかし、4時間半を過ぎたところで、ロペスの駆る7号車がGTクラスの車両と軽く接触。この影響で7号車はエンジンカバー及び車両後部のボディパーツ交換を強いられ、4分間のタイムロス。7号車は首位の8号車から1周遅れとなり、2台のTS050 HYBRIDの首位争いはここで終わることとなった。これにより8号車は充分なマージンを持っての首位走行に。ブエミは難しいことで有名なセブリングのコース上での混雑を、大きなリスクを負うことなくかわしながら首位をキープ。7号車も諦めることなくハイペースでの周回を重ね、3位以下との差を更に広げていった。終盤の3時間、2台のTS050 HYBRIDは、ドライバーにも車両にも厳しいセブリングのコースで高い信頼性を示し、ノートラブルで周回を重ねていった。しかし、レースが残り30分ほどとなったところで、コース上では雨が降り始め、最後の試練が待っていた。チェッカーまであと僅かというところで、雨脚は強さを増していき、2台のTS050 HYBRIDは残り20分あたりで同時にピットインし、ウェットタイヤへと交換。しかし、コンディションは更に悪化し、チームは再度のピットインを決断。最後まで着実に走り切るべく、共にエクストリームウェットタイヤへと交換しコースへ復帰した。残り12分というところで、LMP2クラスの車両がクラッシュを喫し、セーフティカーが導入。その後も雨脚は弱まることなく、セーフティカー先導のまま、最後のステアリングを託された8号車の中嶋がトップでチェッカー。7号車のコンウェイがこれに続き、TOYOTA GAZOO Racingは1-2フィニッシュでセブリングのレースを制した。2018年から2019年にかけて戦われているWECのスーパーシーズンは残り2戦となった。TOYOTA GAZOO Racingはチームポイントにおいて2位に53点差で5月4日(土)に決勝が行われるスパ・フランコルシャン6時間レースへ挑む。チームはこのレースで、最終戦を待たずしてのチーム選手権タイトル獲得を狙う。TS050 HYBRID 7号車 (小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス):決勝: 2位、 252周、ピットストップ 13回、スターティンググリッド:2番手、最速ラップ(1分41秒800)TS050 HYBRID 8号車 (中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソ):決勝: 1位、 253周、ピットストップ 13回、スターティンググリッド:1番手、最速ラップ(1分42秒360)村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表:TOYOTA GAZOO Racing、そしてTS050 HYBRIDが初開催のセブリング1000マイルレースで優勝出来て大変うれしいです。初めてのセブリングは挑戦し甲斐のサーキットでしたが、全てのチームメンバーがこの地でのレースに適応し、懸命に努力をしてきたことが報われました。最高の結果を成し遂げたチームと共に、このフロリダに集まってくれた多くの情熱的な耐久レースファンの皆様に感謝します。また明日も当地で米国の12時間耐久レースが行われます。ワクワクするレースになるでしょうから、ファンの皆様にはそちらも楽しんで頂ければと思います。小林可夢偉(7号車):8号車は勝利に値する素晴らしい走りでした。我々も懸命に首位を争いましたが、接触でその権利を失ってしまいました。後半戦、逆転が難しいことは分かっていましたが、最後までプッシュを続けました。諦めないことが肝心です。チームとしては、1-2フィニッシュを果たせたことは最高の結果です。これはチームクルー皆の努力によるもので、本当に感謝しています。マイク・コンウェイ(7号車):また1-2フィニッシュを達成できたことはチームに取って良い結果です。我々はレースを通してプッシュを続け、前半戦では良い首位争いが出来ました。その中では何度も接触ぎりぎりでの走りを強いられました。最後は非常に難しいコンディションになり、特にコンクリート舗装の場所では、まるで氷の上を走っているかのようでした。今日の結果はちょっと残念ですが、まだスパとルマンが残っているので、プッシュを続けます。ホセ・マリア・ロペス(7号車):8号車に祝福を送ります。7号車のチームメイトの走りも素晴らしかったです。私自身は、コース上の混雑に苦しみ、とても厳しいレースになってしまいました。首位を走るセブ(セバスチャン・ブエミ:8号車)を捕まえようとアタックしましたが、GTカーの動きを読み誤りました。不運でしたが、レースで戦っていればこういうことはたまに起こりえます。幸いにも車両のダメージはそれほど大きくなく、2位でレースを完走することが出来ました。この厳しいレースを2位でフィニッシュ出来たことに満足しています。中嶋一貴(8号車):大変なレースだっただけに、セブ...
全文を読む