FIA世界耐久選手権(WEC)シーズンイン恒例のプロローグ(合同テスト)が4月2日(日)2日間にわたる走行を終えた。合同テスト2日目は、曇り空のやや肌寒いイタリア・モンツア・サーキットで、午前9時からと午後2時からの2セッションが各々3時間ずつ行われた。TOYOTA GAZOO Racingは、前日同様にTS050 HYBRID #7号車には小林可夢偉、マイク・コンウェイ、国本雄資、#8号車には中嶋一貴、アンソニー・デビットソン、ニコラス・ラピエールが乗り込み2日目のテストに臨んだ。
今回のテストはLMP1-Hクラスで争うライバルであるポルシェと、同条件で直接タイムを比較出来る初めての機会となったが、最速タイムを刻むことが必ずしも目的ではなく、2日間を通して様々なセッティングの評価を行った。今回の合同テストは、土曜日のナイトセッションを含む5回のセッションがあり、新型TS050 HYBRIDは2台の合計649周、3719kmを走破。また、2日目午後にはラピエールが2日間を通してのベストタイムをマークした。この週末、全日本スーパーフォーミュラチャンピオンである国本と、2014年以来のチーム復帰となったラピエールにとって、初めての公の場でのTS050 HYBRIDのドライブとなったが、両ドライバー共に速さを示し、特に国本は初めてのモンツア・サーキットでも高い適応力を示した。#7号車の小林とコンウェイは、第2戦スパ6時間から投入予定の低ダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDの最適チューニングを行った。#8号車は中嶋とデビッドソンが周回を重ねたほか、#9号車のドライバーであるラピエールと国本もステアリングを握り、第2戦スパ6時間でのデビューへ向け、貴重な経験を積んだ。セバスチャン・ブエミとホセ・マリア・ロペス、ステファン・サラザンの3名は、同一週末に行われた別のレース参戦のため、金曜日の新車発表会に姿を見せるに留まり、走行は行わなかった。今季、チームは既に2017年仕様の車両で5回のテストで合計30000km以上を走破しており、このモンツアテストは、2週間後に迫った開幕戦シルバーストンへ向けた準備のための、最後の実走データ収集の貴重なチャンスとなった。なお、WECプロローグ(合同テスト)の行われたモンツア・サーキットは、1992年にWSC(世界スポーツカー選手権)の1戦として行われた「モンツア1000kmレース」でトヨタTS010(ジェフ・リース/小河等組)がトヨタに初優勝をもたらした記念すべきサーキットでもある。2017年WEC第1戦シルバーストンは、4月14日(金)に公式練習が開始され、15日(土)の予選を経て、16日(日)に6時間の決勝レースが行われる。佐藤俊男 (TOYOTA GAZOO Racing 代表)低ダウンフォース仕様を評価するのに適した超高速サーキットでシーズン始まりの恒例となる合同テストを行えたのは素晴らしいことでした。合計14時間となる走行時間を活用して多くのデータを得ることが出来、ル・マン24時間レースに向けて充実した準備になりました。また、この週末、サーキットにお越し頂いた多くのファンの皆様には心から感謝を申し上げたいと思います。皆様のおかげで、本番さながらの雰囲気の中でテストを行うことが出来、良い緊張感を持ってシーズンのスタートを迎えられました。2週間後に迎える第1戦シルバーストン6時間レースでのライバルとの戦いが楽しみです。我々の低ダウンフォース仕様に関しては、ここモンツアでは良い感触を得ることが出来ましたが、引き続き、シルバーストンで投入する予定の高ダウンフォース仕様の開発に全力を尽くしたいと思います。
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