2017年 ル・マン24時間は、TOYOTA GAZOO Racingにとって苦難のレースに終わった。3台体制で臨んだレースだったが、深夜に#7号車と#9号車の2台を失い、#8号車もトラブルのため一時54位まで後退。後半戦、懸命に追い上げた#8号車は9位でチェッカーを受けた。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ステファン・サラザンのTS050 HYBRID #7号車は、史上最速のコースレコードでポールポジションを獲得し、最大目標であった初勝利へと大きな期待と共にスタートから10時間にわたってレースをリードした。しかし、深夜の1時15分、クラッチトラブルで...
中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンの#8号車も同じく勝利を目指し、#7号車に次ぐ2位を走行していたが、8時間を迎える直前、フロントモーターにトラブルが発生、モーターとバッテリの交換を余儀なくされたが、チームは決して諦めることなく、2時間にわたる修復作業で再び#8号車をコースへと復帰させた。29周遅れ、54位でレースに復帰した#8号車は全体最速ラップタイムを叩き出すなど、懸命の追い上げを見せ、9位でチェッカーを受けた。ニコラス・ラピエール、国本雄資、ホセ・マリア・ロペスの#9号車もアクシデントによりレースを終えることとなった。#7号車がリタイアした直後、#9号車は後方からLMP2車両に追突され、左リアタイヤのパンクと、油圧系統にダメージを負った。これにより、#9号車はシフトチェンジが出来ず、ピットまで残り僅かのところまでたどり着いたが、午前1時35分にリタイアとなった。レースは、2大ワークスチームのLMP1-Hによる宿命の対決となったが、共に全車がトラブルに見舞われ、各チーム1台ずつが後方から激しく追い上げる展開に。残り1時間あまりで首位に立った#2号車が優勝を果たした。TOYOTA GAZOO Racingは、FIA世界選手権(WEC)の今季第1戦、第2戦を制し、ドライバーとマニュファクチャラーの両選手権をリードして第3戦となるル・マン24時間に臨んだ。しかし、通常のWECシリーズの2倍のポイントが獲得出来る第3戦ル・マン24時間で上位入賞が果たせなかったことで、マニュファクチャラーズランキングではライバルに36.5ポイント、ドライバーズランキングでは#8号車のドライバーが#2号車のドライバーに対し、21ポイントのリードを許すこととなった。トヨタにとって1985年の初参戦以来通算19回目のル・マンへの挑戦は無念の終幕となった。ル・マンの規則では、リタイアした車両はレース終了までチームには返還されない。チームは車両が返還され次第直ちに#7号車と#9号車のトラブルとアクシデントの詳細な原因究明作業を行う。TOYOTA GAZOO Racingは、次の目標である年間タイトル獲得に向け、7月16日(日)に行われるWEC第4戦ニュルブルクリンク6時間レースへ向け準備を開始する。佐藤俊男 (TOYOTA GAZOO Racingチーム代表)昨年の敗戦以来、関係者で全力を尽くして準備を行い、再度トップを争える車両をル・マンに持ち込みましたが、結果はとても厳しいものとなってしまいました。練習走行から順調に運び、決勝でもライバルとの厳しい接戦を優位に進めることが出来ました。ドライバーをはじめ、エンジニア、メカニックの皆がこの一週間素晴らしい働きを見せてくれたことに感謝をしたいと思います。勿論、優勝したポルシェに対しても心からお祝いを述べたいと思います。また、ファンの皆様には多くの暖かい応援を頂きましたが、我々は優勝トロフィーを持ち帰ることが出来ませんでした。今回深夜に起こしてしまったダブルリタイアは当然受け入れられないものだと思います。同じことを繰り返さないの取り組みをして参ります。そして、必ずもっと強くなり、更に強い決心のもと、再びル・マンに挑戦したいと思います。小林可夢偉 (TS050 HYBRID #7号車)我々のレースになると思っていただけに、本当に残念です。セーフティカー導入の間にピットインを行い、ピット作業の後、マーシャルからコースへ出て良いと指示されたので発進しました。その時後方から、セーフティカーがやって来たので、停止しろとの指示を受け、セーフティカーの後ろにつくために、クラッチを使ってエンジンパワーで、再スタートをしようとしたのですが、通常は行わない操作だったため、クラッチが壊れてしまいました。もしピットレーンに留まっていれば、TS050 HYBRIDはモーターのみを使ってスタートをするのですが、既にピットから出ていたため、その操作が出来ませんでした。またしても、我々はル・マンで勝つことがどれだけ難しいかを思い知らされました。再度勝利を争うべく、必ず戻って来ます。マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #7号車)決勝レースのスタートは順調で、ペースも良く、後続との間隔をコントロールしながら首位を走行出来ました。しかし、残念ながらトラブルに見舞われ、あまりに早くレースを終えることになってしまいました。トラブルの兆候は全くなく、いきなりのリタイアだったので、かなりショックでした。とても残念ですし、チームメイトのTS050 HYBRIDもほぼ同じタイミングでアクシデントに見舞われるなど、信じられない結果となってしまいました。少なくとも我々3台のうちのどれかが表彰台の真ん中に立てると期待していたのですが、叶いませんでした。ステファン・サラザン (TS050 HYBRID #7号車)信じられません。我々のTS050 HYBRIDは本当に素晴らしく、レースウィークを通してバランスも、効率も最高でした。チームは冬の間のオフシーズンに素晴らしい仕事で準備をしてくれただけに、3台共に優勝争いから脱落するというのは、悪夢を見ているかのようでした。今年のル・マンが望み通りの結果にならなかったのには幾つか理由があるでしょう。非常にレベルの高い接戦で、ライバルの#1号車が止まってしまったことからも分かるとおり、我々は限界ぎりぎりのレベルで24時間のスプリントレースを戦いました。我々は決して諦めることなく、更に強くなって帰って来ます。必ず勝てると信じることが重要です。中嶋一貴 (TS050 HYBRID #8号車)今回のル・マンもチームにとって厳しいレースでした。本当に言葉がありません。ただひとつ言えるのは、来年も挑戦しなくてはならないということです。我々には速いTS050 HYBRIDがありましたが、まだ、何かが足りなかったということでしょうか。ハードワークで準備して来たにもかかわらず、予想外の様々なアクシデントに見舞われました。来年はさらに充分な準備をして、よりハードに戦わなくてはなりません。セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #8号車)今は何から始めて良いか分かりません。勝利に手が届かないと分かったときに思ったのは、シリーズ選手権で多くのポイントを獲得する...
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