1か月ぶりの開催となったスーパーフォーミュラ富士ラウンドでは、ポールポジションからスタートしたニック・キャシディ(KONDO RACING)が石浦 宏明(P. MU / CERUMO・INGING)の猛追を凌ぎ切り自身スーパーフォーミュラでの初勝利を飾った。石浦が2位、国本 雄資(P. MU / CERUMO・INGING)が8番手スタートから好戦略で追い上げ3位。トヨタエンジン搭載車がホーム富士でトップ7を独占する速さを見せた。
スーパーフォーミュラの第4戦が7月7日(土)、8日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで行われた。前戦SUGO大会から1か月以上のインターバルを経ての開催となったスーパーフォーミュラ。日本全国が豪雨に見舞われた週末、土曜日の予選は天候に翻弄される結果となったが、日曜日の決勝は好天の下で実施された。今大会、来季より使用される新型シャシー「SF19」がお披露目。5年間にわたって「クィック&ライト」で迫力あるバトルを見せてきたSF14での、最後の富士でのレースとなった。トヨタ勢はSF14に代わってからの4年間、富士では負け無し。SF14最後の戦いも勝利で締めくくるべく、富士のハイスピードコースに臨んだ。予選7日(土)、富士スピードウェイ周辺は雨自体はそれほど強くなく、それでも不規則に代わる天候に翻弄される予選となった。直前に行われたF3決勝レースは完全にドライコンディションだったが、スーパーフォーミュラ予選が開始される午後2時半を前に、軽い雨が落ちてきて、セッションはウェット宣言に。しかし、完全に路面を濡らすまでには至らず、全車スリックでQ1に挑んだ。まず1セット目のタイヤでアタックし、タイムを記録したところで全車ピットイン。タイヤを交換して2度目のアタックに出たが、この頃から第3セクターで雨が降り始め、タイム更新出来ないままピットへ戻ってくることに。関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)を先頭に、トヨタ勢は順当に上位タイムをマーク。今大会、スーパーフォーミュラ2戦目となるトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)のみが17番手でQ1敗退となった。Q2は、濡れた路面でタイヤ選択が難しい状況の中、スリックとレインタイヤ装着車に分かれたが、レインタイヤ装着組は1周したところでピットへ戻り、スリックで再コースイン。チェッカー後、次々にタイムが更新される状況となる中、ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM'S)が惜しくも9番手。フリー走行でトップタイムをマークするなど好調だった山下 健太(KONDO RACING)は、遅い車に阻まれ無念の12番手、大嶋 和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が13番手。小林 可夢偉(carrozzeria Team KCMG)はコースオフもあり、アタックに入ろうとした直前でチェッカーが振られ、14番手でQ3進出ならず。トヨタ勢は6台がQ3進出を果たした。Q3は開始直前に一気に空が暗くなり、第3セクター方面で雨が降り始める中で開始。中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)のみがレインタイヤ、それ以外の7台がスリックでコースインしたが、スリック勢は1周でピットへ戻り、レインでアタック開始。当初からレインタイヤでアタックした中嶋がタイムを出し、雨脚が強まっていったため、そのままポール確定かと思われたが、終盤、石浦が1周のみのアタックチャンスで着実に好タイムをマークし中嶋のタイムを上回ると、最後の最後にキャシディがトップに浮上。キャシディが昨年の第6戦SUGO大会以来自身2度目となるポールポジションを獲得した。石浦が3番手、中嶋4番手。関口、平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、国本が6、7、8番手で決勝レースに臨むこととなった。決勝8日(日)は天候が回復。空にはやや雲が多いものの、日差しも顔を出し、気温30度、路面温度37度の蒸し暑いコンディションで、午後2時15分、55周で競われる決勝レースのスタートが切られた。ポールポジションのキャシディがまずまずのスタートを切った一方で、3番手グリッドの石浦と5番手グリッドの関口が素晴らしいダッシュを決め、TGRコーナー(1コーナー)へは3台が横並びで進入する状況に。しかし、キャシディは首位をキープ。石浦、関口がこれに続く形となった。注目のタイヤ選択は、予選上位勢はソフト、後方はミディアムでのスタートが多く、ソフトタイヤでスタートしたキャシディと石浦が3位以下を引き離していく展開となった。13番手と後方スタートながらソフトタイヤを選択した大嶋が序盤から目覚ましい追い上げを見せ、10周目には7位へ浮上。一方、ミディアムタイヤスタート組は9周目過ぎからピットインしタイヤをソフトへ交換。ソフトタイヤへ交換した集団では、国本が最上位、平川がこれに続く形となった。レース中盤、関口らソフトタイヤでスタートした車両がピットへ向かう中、首位を争うキャシディと石浦は、ソフトタイヤのまま周回を続行。34周目を終えたところでキャシディがピットへ向かったが、石浦は入らず、5周後にピットイン。この間に追い上げを狙った石浦だったが、キャシディのすぐ後でコースに復帰した。42周目に中嶋、44周目に大嶋がピットインし、全車がタイヤ交換義務を消化。中嶋は5位、大嶋は7位でコースに戻ると、前を行く関口と激しいバトルを繰り広げた。首位争いは、2位の石浦がキャシディを追いましたが、その差は3秒ほどのまま詰まることなく、キャシディが逃げ切ってトップチェッカー。自身スーパーフォーミュラ参戦2年目にして、念願の初優勝を飾った。Kondo Racingにとっては10年ぶりの勝利となった。キャシディはこれで、ドライバーズランキングでも首位に1ポイント差まで詰め寄ることとなった。2位に石浦、3位に国本が入り、P. MU / CERUMO・INGINGの2台が共に今季初表彰台を獲得。4位に平川、5位に中嶋。6位は大嶋の猛追を最後まで凌ぎきった関口、そして13番手スタートから大健闘を見せた大嶋が7位でポイント獲得。トヨタエンジン搭載車が、ホーム富士でのSF14最後となるレースでトップ7独占の速さを見せた。KONDO RACING 3号車 ドライバー ニック・キャシディ月を飛び越えたような気分です。こんなタフなレースで勝てて嬉しいです。近藤監督とチームのみんなに本当に感謝しています。スタートは、新しいシステムを導入して学んでいる最中だったので、安全に、ホイールスピンをしないように心掛けていました。結果的にスタートは上手くいったので、その後はソフトタイヤを持たせるためにペースをコントロールしながら走りました。途中、15周から20周ほどにわたって周回遅れの車両に阻まれてしまい、厳しい状況でもう駄目かと思ったこともありましたが、最終的に勝つ...
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