レッドブルF1の育成ドライバーであるリアム・ローソンが、勝利を挙げたスーパーフォーミュラのデビュー戦を振り返った。初めての車両『SF23』で予選3番手につけたリアム・ローソンは、TEAM MUGENのチームメイトで現役チャンピオンの野尻智紀と1秒差のトップ争いを展開。そして、21周目にピットインしてアンダーカットを成功させると、危なげない走りでデビュー戦でいきなり初優勝を飾った。
「このように勝つことができて非常に嬉しく思うし、TEAM MUGENに感謝したい」とリアム・ローソンは語った。「僕としては富士で走ることも初めて、練習も十分ではない中、チームでワンツーを取ることができ、この結果は素晴らしいチームのおかげだと思っている」「予選の時は、まず富士のトラックに慣れることに集中していたし、決勝レース中はとてもレースペースが良かった。ペースが良かったので、タイミングを見てピットインしようと考えた。あのタイミングで入って、結果、野尻選手をアンダーカットすることができた」「昨夜は緊張していたようで殆ど眠れなかった。『明日は未知の世界だ』ということしか頭に無く、不安がたくさんあった。とは言えベストを尽くすしか無い。そんな中でこの結果は、やはりチームのおかげとしか言いようがない」「シーズンは長いし、明日は明日で良い日になるといった楽観はしていない。それでもやはりベストを尽くして頑張っていきたいと考えている」2位の野尻智紀は「クルマもタイヤも変わって、鈴鹿の合同テスト後、忙しく時間のない中でもチームとセットアップについて考えてやってきた結果が、このワンツーに現れたと思っています。結果が実りひとまずホッとしています」と語った。「今日のレースは途中で『僕のレースではないな』という感覚があり、仕方のない部分もあります。明日に向けては、今修正しなければいけないところをトライしてみて、どう変化するかを見たみたいと思います」「やはりクルマ自体は「SF19」に比べて全然違います。鈴鹿のテストから富士に向けて、どういうふうに調整するか、予測でしか無いのですが、どれだけ細かくやれるかという部分において、僕たちのチームは非常に優れていますし、ボク自身も細かい作業は好きなので、周りのチームよりも良い時間が過ごせたのではないかと思います」「リアム選手のピットインは、直前にボクのリアタイヤがスライドしてきたのを見逃さなかったのだと思います。リアム選手はペースが良かったので、むしろ後方を見ながら、タイヤ交換後は少しペースをキープして余力を持たせながら、迫ってきたら逃げ切れる態勢にしていました」TEAM MUGENの監督を務める田中洋克は「テストも少なく、データも少ない中で、野尻選手もリアム選手も非常に良いペースで走れていたので、レース距離の半分でピットインの作戦を取りました。結果的にタイヤも思っていた以上に持ちましたね。リアムのペースのほうが若干手応えがありましたし、リアムからもピットへ入りたいというリクエストが有ったので先に入れました」と語った。「野尻のペースはそれほど悪くはなかったのですが、データをきちんと見返して、ペースが上がらなかった原因を探したいと思います」「リアムは非常に日本人的な作業の取り組み方をしており、勝手なイメージですけど外国人ドライバーは最初に120%で出て行ってそこから探っていく方法を取りますが、リアムは徐々に上げていく方法でクルマを作っていく。しかもとても慎重ですしそれでいて速い。とは言えアウトラップの速さなどは外国人特有のところもあります。安定した速さが期待できるドライバーですね」「(チーム内同士のチャンピオンシップ争いになりそうですが?)チームとしてもそれを望んでいますし、2台体制をうまく機能させながらお互いに取りに行く、そういうレースにしていきたいですね」