2021年のスーパーフォーミュラが開幕。4月4日(日)に富士スピードウェイで開幕戦の決勝レースが行われ、ポールポジションからスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)が優勝を果たした。2位には大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、3位には福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入り、ホンダエンジンユーザー勢が表彰台を独占した午後になって、空が厚い雲に覆われ、最終コーナーから1コーナー方向に強い追い風が吹いた富士スピードウェイ。
事前には、午後2時頃から雨という予報が出されていた。しかし、なかなか雨粒が落ちてくる気配はなく、気温17℃、路面温度19℃というコンディションのもと、午後2時10分にフォーメーションラップはスタートした。ホールショットを奪ったのは、2番手グリッドの大湯。「クラッチのフィーリングに不安を抱えていた」というポールポジションの野尻は一瞬出遅れ、1コーナーに入る時点で2番手に後退した。これに続いたのは、4番手スタートの福住。3番手グリッドの笹原は4番手に後退した。その後方で好スタートを切ったのは、予選8番手の大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)と予選9番手の関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)。1コーナーには関口が5番手、一番イン側のラインを通った大津が6番手で入って行く。しかし、1コーナーの真ん中に差し掛かったところで2台は交錯。大津のフロントウィングが関口の右リヤタイヤに接触する形となり、関口のタイヤはバースト。大津もフロントウィングにダメージを負った。関口がコース中央でスローダウンする形になってしまったこともあり、後方集団も混乱。中嶋一貴(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)がコカ・コーラコーナーでコースオフしたのを始め、順位も大きく入れ替わった。オープニングラップを終えてのオーダーは、大湯、野尻、福住、笹原、大津、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、国本雄資(KCMG)、平川亮(carenex TEAM IMPUL)、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、山本、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、山下健太(KONDO RACING)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond DragoCORSE)となっていた。2周目に入ると、フロントウィングにダメージがある大津は、ヘアピンで坪井の先行を許し、ダンロップコーナーでは国本、平川にも先行される。結果、大津は2周を終えると、そのままピットイン。マシン修復作業を行うこととなった。また、タイヤバーストでスローダウンした関口もピットイン。大きく後退することとなっている。その後、レース序盤に見せ場を作ったのは、宮田と阪口のルーキーバトル。3周目に山本が阪口をかわして8番手に上がると、次に阪口の背後に迫ったのが宮田。2人はオーバーテイクシステムを作動させながらのドッグファイトを見せ、4周目の1コーナーでは宮田が一旦前に出たかに見えたが、阪口がコカ・コーラコーナーでポジションを奪還。カート時代からのライバルが火花を散らした。また、その前方では、平川と坪井が接近。平川は、9周目のダンロップコーナーで、坪井をイン側ギリギリのところからオーバーテイク。平川の接近を警戒して、インのラインを締めていた坪井のさらにイン側にノーズをねじ込むと、見事にオーバーテイクしていった。さらにその翌周、豪快なオーバーテイクを見せたのが、野尻。スタート後、一時は約2秒という差を築いていた大湯にひたひたと迫った野尻は、ヘアピン立ち上がりからオーバーテイクシステムを作動させると、ダンロップコーナーでアウト側から大湯に迫り、一気にオーバーテイク。首位のポジションを取り戻した。トップの野尻が10周回を終えると、ピットにも動きが出る。タイヤ交換のウィンドウが開いたところで、山本と大嶋がピットイン。タイヤ交換を行う。しかし、山本は左リヤタイヤの交換に手間取り大きくタイムロス。大嶋の後ろでコースに戻ることになってしまった。そこからは、天候の崩れがいつ来るかを気にして、多くのドライバーがコース上に止まることに。その中で、カルデロンと中山雄一(KONDO RACING)、再び阪口と宮田など、随所でバトルが展開された。また、タイヤ交換でタイムロスがあった山本が、ファステストラップを叩き出しながら、見えない差を削り取って行く走りを展開。山本のマシンにはストレートでの速さもあり、19周目のストレートから1コーナーではピットで先行された大嶋を難なくオーバーテイクして行く。その後も、山本はハイペースでの周回を重ねた。一方、レースが折り返す頃になると、上位集団にも動きが。タイヤの摩耗が進み、次第にペースが落ち始めた大湯の背後に、福住が迫る。福住は、22周目の1コーナーからオーバーテイクシステムを作動させながら、大湯の攻略を試みる。しかし、大湯も同じくオーバーテイクシステムを使用。ここではポジションを守った。しかし、24周目には、再び福住が大湯に迫り、今度はコカ・コーラコーナーで攻略に成功。2番手に浮上した。大湯は、その翌周、笹原にも迫られる形となり、25周目の1コーナーではポジションが逆転。笹原がアウトから大湯をかわして行く。4番手まで後退した大湯は、この周を終えると、タイヤ交換のためピットに向かった。作業は7秒と素早かったが、大湯は冷えたタイヤで1コーナーをオーバーラン。それでもタイヤが温まった後は、好ペースで周回を重ねている。また、後方でも24周を終えたところで、阪口やカルデロン、小高一斗(KCMG)がピットイン。さらに、26周を終えて山下、27周を終えて国本とタイヤ交換を行うドライバーが出始める。この頃になると、雨もポツポツ降り始めた。そして、表彰台争いを演じていた中では、28周を終えたところで福住、29周を終えたところで笹原がピットイン。笹原がピットに入った頃にはコントロールタワーからWET宣言が出され、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは、抜群のタイミングでドライバーたちをピットに呼び戻したかに思われたが、コースに戻ると前半オーバーテイクした大湯の先行を許すことになってしまう。すでに路面温度が下がり、タイヤのウォームアップがかなり難しい状況になっていたため、福住と笹原はアウトラップとその翌周のタイムが伸びなかった。その後、コースにステイしていたドライバーたちの中では、宮田が31周を終えたところで、坪井が32周を終えたところでピットイン。だが、トップの野尻と2番手に上がってきた平川はなかなか動きを見せなかった。その間にも、路面はしっとりと濡れて行き、より滑りやすいコンディションへと変化していった。いよいよトップ集団が動いたのは、38周終了時。まずは平川がピットに入り、7秒4という作業時間でコースに戻る。だが、戻った時に...
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