第102回インディ500のプラクティスがスタート。昨年度ウイナーの佐藤琢磨は14番手タイムでの発進となった。今年もまたインディ500の季節がやってきた。1911年に始まった、世界で最も長い歴史を誇るレースは、5月の第4週目のメモリアルデイ=戦没者記念日の週末に開催されるのが恒例。ハイスピードで争われるエキサイティングな四輪レースは、アメリカ東部に春の終わり、そして夏の訪れを告げるイベントでもある。
第102回インディ500にエントリーしているのは、35人のドライバーと35台のマシンによるコンビネーション。走行初日には、34人のドライバーたちが公式プラクティスを走り、合計2066ラップが記録された。アクシデントはなく、走行中断は夕方の雨による短いものだけだった。Hondaドライバーはスポット参戦も含めて19人がおり、その中から3回目のインディ500挑戦となるジェイ・ハワード(Schmidt Peterson Motorsports)が平均時速224.518mphのラップを記録して4番手につけた。2008年のインディ500ウイナーで、昨年のインディ500ではポールポジションを獲得したスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は224.353mphで5番手、そして昨年の第101回インディ500で優勝を果たした佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は67周を走り込み、223.305mphのベストタイムで、キャリア9回目となるインディ500は14番手での発進となった。マシンセッティングを磨き上げる公式練習は、金曜日まで続けられる。1日7時間ものプラクティスが4日間続き、徹底的に走り込んだあとに、週末の2日間を使って予選が開催され、33個のスターティンググリッドが争われる。今年は35台がエントリーがしており、2人のドライバーは予選不通過で決勝出場を許されないため、戦いはし烈を極めることとなるだろう。今年のエントリーで優勝経験を持つのはエリオ・カストロネベス(2001、2002、2009年)、スコット・ディクソン(2008年)、トニー・カナーン(2013年)、ライアン・ハンターレイ(2014年)、アレクサンダー・ロッシ(2016年)、そして佐藤琢磨(2017年)の6名。その中で複数回優勝を飾っているカストロネベスは、今年勝てばA.J.フォイトやリック・メアーズ、そしてアル・アンサーが持つ史上最多優勝記録である4勝に並ぶ。佐藤琢磨は、01年と02年に優勝を果たしたカストロネベス以来となる2連勝を狙う。100年を越す長い歴史の中で2連勝を記録したドライバーはたった5人だけで、3連覇は未だ一度も達成されていない。昨年の佐藤琢磨は、40歳でインディ500初優勝を成し遂げ、激しいバトルの末に2位でゴールしたカストロネベスは42歳。史上最年長ウイナーは、1987年に自身4勝目を挙げたアル・アンサーで、彼は当時47歳だった。超高速を保って走り続けるインディ500では、繊細なマシンセッティングを行う必要があり、小さなコンディションの変化でも大きく変わるハンドリングに対応する技量と経験も必要となるため、ベテラン勢が強さを発揮する。500マイルの長丁場では、コンディションの変わる度合いも当然大きく、積み重ねた経験がアドバンテージになる。明日のプラクティスは午前11時にスタートし、夕方の午後6時まで続けられる。佐藤琢磨 (14番手)「伝統あるオーバルコースを今年もまた走り出すことができ、うれしく感じました。数週間前に走った合同テストの続きとして走行を重ね、今日一日でまたとても多くのことを学びました。とても収穫の多い一日だったと思います。しかし同時に、期待していた通りにすべてがスムーズに進んだ一日とはなりませんでした。明日も天候はよいですが、今週がずっとドライコンディションとなることを願っています。新しいエアロキットを装着したマシンは、昨年までのものとは大きく異なり、本当に速いセッティングを仕上げるには多くの時間をかけ、ハードワークを重ねなければならないと感じています。私たちのチームは3台のマシンを走らせ、公式練習初日を収穫の多い一日とすることができました」スコット・ディクソン (5番手)「いいプラクティス初日になったと思います。インディアナポリスのオーバルコースを走り始める日というのは、いつも楽しいものです。先週のロードレースとは逆回りでコースを走り出したとき、今年もインディ500が始まるな、と感じました。今日はとても多くのマシンセッティングをトライしました。コースへ出て走り、ピットに戻ることを繰り返し、マシンのバランス向上を目指しました」