ダニエル・リカルドは、スクーデリア・アルファタウリでのF1復帰に笑顔を浮かべているかもしれないが、F1ハンガリーGPでコースに出たときに残酷な現実を突きつけられることになりそうだ。ダニエル・リカルドは、今週のシルバーストンテストで輝きを放ったRB19でカムバックするのではなく、コンストラクターズランキング最下位に沈んでいるアルファタウリがのF1マシンと戦うことになる。
さらに悪いことに、リカルドはAT04の致命的な弱点に対処しなければならない。それはまさにリカルドがマクラーレンでの2年間に非常に苦労させられた部分だ。 リカルドはブレーキングとコーナー進入に強いマシンによく反応することで知られている。彼のトレードマークであるレイトブレーキングでのオーバーテイクで何度も目撃されているように、こうした特性を備えたマシンを与えれば、彼の輝きが前面に出てくる。しかし、マクラーレン時代に明らかになったように、彼が運転するマシンがコーナー進入に自信を与えてくれなければ、事態はたちまち制御不能に陥る可能性がある。昨年、リカルドはF1のポッドキャスト『Beyond the Grid』でコーナー進入の問題について「すべてはそこから始まる」と語っている。「コーナーの立ち上がりで苦戦するのは、そのコーナーで何が起こったかが原因で、困難な状況に追い込まれたからだ。ほとんどの困難は進入から始まる・・・すべてではないかもしれないけど、ほとんどの場合がそうだ」そのため、角田裕毅とニック・デ・フリースが今年苦戦している主な問題のひとつが、コーナーのレイトエントリー段階での制限であり、それがリアの不安定さを引き起こしていることをリカルドが知ることは、おそらく理想的なことではないだろう。これはドライバーの自信につながるものではない。アルファタウリのトラックサイドエンジニアリング責任者であるジョナサン・エドルスは、リカルドの決断が下される前に、チームが解決策を追い求めていたこの重大な問題について率直に語っている。「レイトエントリー、つまりリヤの不安定さが大きな弱点であり、我々が取り組んでいるエリアだ」とエドルズは語った。「改善はされたが、まだ弱点と言えるだろう」アルファタウリの問題は、クルマが大きく減速すると、ダウンフォースがはがれてリアの車高が上がることで誘発されるようだ。これによって、空力のアンバランスを引き起こされる。今年初め、アルファタウリF1のテクニカルディレクターのジョディ・エギントンは「それはプレシーズンで達成できなかった目標のひとつだ・・・そして我々が何をしたいのか、疑う余地はなかった」と語った。「非常に基本的な意味で、リアの車高が高いときのリア荷重を改善したかった。今のところ、この車高での荷重の落ち込みが不安定さの原因になっている」「エントリーフェーズでのリア荷重を改善し、リア荷重が増えれば、安定性が増す。そして、それをさらにコーナーに持ち込むことで、ドライバーはレイトエントリーのエイペックスに向かってより強くプッシュすることができる」現世代のグラウンドエフェクトカーは、さまざまなコーナースピードに対応できるセットアップの妥協点を見つけるのが非常に難しいことが判明しており、エドルズはラップのある領域で問題が発生すると、その影響が他の領域にも及ぶ可能性があることを認めている。「レイトエントリーの部分が弱点であるため、それに対処しようとすると、マシンの他の部分のスピードが遅くなってしまう」とエドルズは語った。「例えば、高速用のエアロバランスを追加したいとすると、バランスは改善されるが負荷も大きくなる」「低速域のエントリーに限界がある場合、フラップやエアロバランスを追加できる量が制限される可能性がある。したがって、あるエリアでの弱点は、実際にはあらゆるところに影響を及ぼす可能性がある」「もちろん、我々はは総合的に最高のラップタイムを得られる妥協点を見つけようとしている。それが実際に我々は毎週やっているトレードオフだ」アルファタウリがイギリスGPに持ち込んだアップデートの数々は、この部分を改善するためのものだったが、角田裕毅からお墨付きをもらったわけではない。とはいえ、作業は続けられており、エドルスが言うように、チームがパフォーマンスを引き出す最善の方法を見つけ出すには、まだ時間がかかりそうだ。「エアロ開発を変更すると、慣性のようなものが生じて、そのパーツがクルマに届くまでに時間がかかる」とエドルズは語った。「しかし、これからはマップのその部分でターゲット変更の効果が見え始めるはずだ」アルファタウリがどれだけ早く調子を上げられるかが、残りのシーズンでリカルドの運命を左右するかもしれない。 しかし、リカルド自身にとっては、マクラーレンでコーナー進入でひどい経験をしたことで、今回は物事を解決するために何が必要なのかをよりよく知っていると感じているのかもしれない。
全文を読む