2025年のF1世界選手権は、最後まで緊張感に満ちた展開となり、タイトル争い、チーム間の勢力図、そして個々のドライバーの明暗が鮮明に分かれる一年となった。アブダビで決着したワールドチャンピオン争いは、F1史に残る接戦となり、その一方で期待を背負いながらも結果を残せなかった陣営も少なくなかった。そんな激動のシーズンを受けて、F1特派員のローレンス・バレットが2025年を総括する。
誰が栄光を手にし、誰が悔いの残る一年を過ごしたのか。年間を通じたパフォーマンス、流れを左右した転機、そして最終的な結果を踏まえながら、今季の「総合的な勝者」と「敗者」を選び出す。勝者:ランド・ノリスランド・ノリスはアブダビで夢を実現した。復調したマックス・フェルスタッペン、そして力強いマクラーレンのチームメイトであるオスカー・ピアストリを抑え、F1史上35人目のワールドチャンピオンとなった。今季は7勝、7回のポールポジション、18回の表彰台、6回のファステストラップを記録し、フェルスタッペンにわずか2ポイント差でシーズンを終えた。26歳のノリスは、イギリス人として11人目のワールドチャンピオンでもある。またマクラーレンでタイトルを獲得したことで、ジェームス・ハント、ニキ・ラウダ、アイルトン・セナ、ルイス・ハミルトンといった名だたるドライバーたちの仲間入りを果たした。敗者:オスカー・ピアストリピアストリは夏休み前の時点で初のワールドタイトル獲得に向けた圧倒的な本命と見られていた。そして、シーズン再開戦となったザントフォールトでの見事な勝利によって、その評価をさらに高め、ポイントリードを34点にまで広げた。しかし、アゼルバイジャンGP週末で2度のクラッシュを喫したことで流れが一変。事実上タイトル争いから脱落することになる、6戦に及ぶ悲惨な不振に陥った。最終2戦では連続2位を獲得して立て直し、少なくとも前向きな形でクリスマス休暇を迎えることはできたが、本人としてはタイトルを自らの手からこぼれ落としたことを痛感しているはずだ。勝者:マクラーレンチームズチャンピオンシップを制すること自体が簡単ではない。ましてやそれを防衛し、さらに2人のドライバーが互いにタイトルを争う状況をマネジメントするのは至難の業だ。しかしマクラーレンは2025年にそれをやってのけた。確かに緊張感の高い場面も多々あったが、それでも残り6戦を残してチームズチャンピオンシップを決め、シーズン14勝を挙げて、歴代チームズ王者回数で単独2位に浮上した。またノリスのタイトル獲得により、2008年にハミルトンが初のF1王座を獲得して以来となるドライバーズチャンピオンもチームにもたらした。敗者:アルピーヌアルピーヌにとって、2025年は厳しい現実を突きつけられるシーズンとなった。グランプリでポイントを獲得できたのはわずか5回にとどまり、チームズチャンピオンシップ最下位でシーズンを終えた。これは昨年より4つ順位を落とす結果であり、獲得した22ポイントは、ひとつ上のザウバーとの差が48ポイントもあった。ピエール・ガスリーが唯一の光明であり、チームの全ポイントを一人で獲得するとともに、10回Q3に進出し続けた。勝者:マックス・フェルスタッペンフェルスタッペンが5年連続となるワールドチャンピオン獲得という究極の目標を達成できなかったことは承知している。しかし、シーズン終盤の驚異的な巻き返しは、伝説として語り継がれるものになるだろう。ザントフォールト後の時点で104ポイント差をつけられていたが、そこから9戦で6勝を挙げ、さらに3度の表彰台も獲得し、最終的にはわずか2ポイント差まで迫った。これは彼にとってキャリア最高のシーズンだった。もしシーズン中盤のマシンパフォーマンス低下がなければ、ミハエル・シューマッハに並ぶF1史上唯一の5連覇ドライバーとなっていた可能性は極めて高い。敗者:フェラーリフェラーリは、2024年のワールドチャンピオンシップでマクラーレンと最終戦まで争ったことから、大きな期待を抱いて2025年シーズンに臨んだ。しかし結果は厳しく、グランプリ未勝利に終わり、7度のワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンは1度も表彰台に立てなかった。これにより、チーム代表フレデリック・バスールには大きなプレッシャーがのしかかった。シャルル・ルクレールは、最終的にチームズ4位が限界だったマシンで7回の表彰台を獲得したが、それは失望に満ちたシーズンの中で数少ない明るい材料に過ぎなかった。勝者:ウィリアムズウィリアムズにとって、2025年は素晴らしいシーズンだった。アレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツJr.は、初期段階から扱いやすかったマシンを最大限に活かし、チームズ5位、ミッドフィールド最上位という評価を手にした。アルボンはシーズンの3分の2にわたって圧巻の走りを見せ、最終的にドライバーズランキング8位という上質な結果を残した。サインツJr.はウィリアムズ加入当初の苦戦を乗り越え、シーズン終盤にかけて力強く復調。2度の表彰台を獲得し、最終的にはアルボンからわずか9ポイント差まで迫った。敗者:アストンマーティンアストンマーティンにとって2025年は苦しいシーズンだった。最高位は5位にとどまり、ミッドフィールドのライバルであるウィリアムズ、レーシングブルズ、ザウバーがいずれも表彰台を獲得する中、存在感を示しきれなかった。シーズンをチームズ7位で終え、過去2年連続で記録していた順位から2つ後退した。フェルナンド・アロンソが2人のうちでは優勢だった一方で、ランス・ストロールは予選で苦戦し、24戦中Q1突破はわずか9回にとどまった。勝者:ルーキーたち2025年のルーキークラスは、自らの成果に胸を張っていい。メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが最も際立った存在で、3度の表彰台を獲得し、シーズン終盤に向けて非常に力強いパフォーマンスを見せた。レーシングブルズのアイザック・ハジャーも、オランダでの見事な走りで表彰台を獲得。シーズンを通じた総合的なパフォーマンスが評価され、ワークスのレッドブルチームへの昇格を勝ち取った。オリバー・ベアマンはシーズン終盤に好調期を迎え、メキシコでの4位を含む5戦連続入賞を記録し、経験豊富なチームメイトであるエステバン・オコンを上回る結果を残した。またガブリエル・ボルトレトは5度ポイントを獲得し、予選での一発の速さで知られるニコ・ヒュルケンベルグとの予選直接対決にも勝ち越した。敗者:レッドブルレッドブルは今季、ワールドチャンピオン奪還に大きな期待を寄せ...
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