レッドブル・ホンダ RB16のコックピットを降りてメディア対応やチームとのデブリーフィングを済ませたアレクサンダー・アルボンとマックス・フェルスタッペンが過ごす場所、それがドライバーズルームだ。知られざるドライバーの聖域に迫る。F1のTV中継では、パドックやガレージ裏側の風景がよく映されるが、パドックの人混みをかき分けて走ったり、キックスクーターに乗ったりしているドライバーたちが映り込む時がある。彼らは一体どこへ向かっているのだろうと不思議に思ったことはないだろうか?
彼らが向かっているのは、おそらく各自専用のドライバーズルームだ。ドライバーズルームはF1の喧騒の中で平穏が得られるプライベートな空間だが、この “聖域” はどこに位置し、その内部はどうなっているのだろうか?アレクサンダー・アルボンは、アストンマーティン・レッドブル・レーシングのドライバーズルームは「F1で一番クール」としている。ドライバーズルームは彼らが各セッション後にリラックスしたり、緊張をほぐしたりするための空間だ。ドライバーズルームの設置場所ヨーロッパラウンドでは、ドライバーズルームはレッドブルF1エナジーステーション(F1 Holzhaus)に併設されるが、自宅さながらに寛げるように究極のプライバシーが保たれている。エナジーステーション内のマックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンのドライバーズルームは究極のプライバシーが確保できる専用空間で、ひとりきりの時間を過ごせるように一般の目には触れないようになっている。ドライバー両名の部屋は隣合わせだが、プライベートは確保されている。チームクルーが問い合わせできるようにドアを開けたままにしておくか、誰にも干渉されないようにドアを閉じておくかはドライバーの自由だ。また、ドライバーズルームはドライバーが家族と水入らずの時間を過ごしたり、レース以外の話題について話したりできる空間でもある。フライアウェイレースでは完全に異なる設営方法になるため、ドライバーズルームはパドック内の仮設チームホスピタリティの一部として設営される。それでも、ドライバーたちにとって我が家のように寛げる空間であることに変わりはない。フライアウェイレースのドライバーズルームはパーテーションで区切られるが、マッサージテーブルやレーシングスーツ用ハンガーレールを配置したり、ギアを置いたりするスペースは十分にある。フライアウェイのドライバーたちはこのドライバーズルーム以外では、チームホスピタリティエリアなどを使ってF1パドックの喧噪から解放されている。フライアウェイレースのドライバーズルームはヨーロッパラウンドほど豪華ではないが、サーキットでの4日間における唯一の専用空間であることに変わりはない。パドックを一望できるモダンな空間ドライバーズルームは様々なアイテムで構成されており、レーシングスーツ(1レースにつき6着用意される)、ヘルメット、ドリンクボトル、小型デスク、トレーナーが施術できるマッサージテーブルなどが含まれる。ヨーロッパラウンドではさらにソファ、TV、シャワー、レッドブル・エナジードリンク用クーラーも置かれる。また、ドライバーが自分でギアやアイテムを持ち込む時もある。アレクサンダー・アルボンは愛用のヘッドフォンや空間を心地よい香りにするディフューザーなどを持ち込んでいる。「僕は香りにとても敏感だから、周囲を良い香りにしておきたいんだ。僕とトレーナーがドライバーズルームの中にずっといると、良い香りにはならないからね」アレクサンダー・アルボンのドライバーズルームには日焼け止めクリームも常備されている。アレクサンダー・アルボンは冗談めかして次のように語る。「これは僕のトレーナー用だよ。彼はアイルランド人だから日焼け止めが必要なんだ。すぐロブスターみたいに真っ赤になっちゃうからね」多目的な空間ドライバーズルームはドライバーのプライベートな空間だ。世界を転戦する生活を送っているマックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンにとって自室と呼べるこのような空間は有り難い。ドライバーズルームはドライバーたちがリラックスしたり、次のセッションに向けて集中したりするために使われている。レースウィークエンドで対応しなければならないメディアやその他の邪魔から離れて閉じこもることができるのだ。「1日のほとんどをドライバーズルームで過ごしているよ。1日で最長4時間を過ごしている。F1 Holzhausでは、パフォーマンス、マシンのセットアップ、ドライビングに関連するその他部分についてエンジニアリングチームと仕事をしている。そのあとでドライバーズルームに戻り、自分のドライビングや次のセッションに向けて変えたい部分について考える。この空間で集中を高めたり、自分のことだけを考えたりできるのは有り難いね」その他の使い方サーキットでの4日間を通じて、ドライバーズルームはここまで紹介してきた以外の用途でも使用されている。マックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンは多くのファンを抱えているため、彼らのための記念品やグッズにサインをする必要がある。そのため、レースウィークエンドでは、サインを入れるキャップやその他のアイテムが詰め込まれた箱がドライバーズルームに届けられる。また、ドライバーがセッションの合間にひとりになって集中を高めたい時は、トレーナーがドライバーズルームへ食事を運んでいる。突き詰めて言えば、ドライバーズルームは、自分たちの好きなように使うことができるドライバーの専用空間なのだ。唯一の同居人?ドライバーと同じくらい長い時間をドライバーズルームで過ごしている他の唯一の人物が、彼らの専属トレーナーだ。ドライバーにマッサージを施したり、リラックスや緊張を解く手助けをしたりしている彼らは、最高のコンディションで次のセッションを迎えられるようにドライバーの睡眠・食事・水分補給・準備のタイミングも管理している。また、トレーナーはドライバーがF1やレース以外のトピックについて話したい時の相手にもなる。トレーナーはドライバーの感情を掴み取り、ドライバーが気分を紛らわせたり、集中を取り戻したりするのを助けている。アレクサンダー・アルボンのリクエストアレクサンダー・アルボンは「このような空間が持てているのはとてもラッキーだ」と語っているが、ドライバーズルームをさらに快適な空間にするためのアイディアをいくつか持っている。「ジャグジーやレトロなゲーム機、それかプロジェクターを追加したいね!」
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