レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、15歳だったマックス・フェルスタッペンの可能性をいかにして見い出し、すぐにレッドブルにフェルスタッペンをF1オファーを出すように説得したかを回顧した。レッドブルは、当時カートからF3に昇格したばかりのマックス・フェルスタッペンに契約をオファー。メルセデスとの争奪戦を制して契約を確保し、マックス・フェルスタッペンに投資。フェルスタッペンは17歳でF1史上最年少デビューを果たした。
ヘルムート・マルコは、マックスの父親であるヨス・フェルスタッペンにすぐにオファーの電話をかけた。「私は『我々は違うことをする。F1に行かせる』と言った。そこには沈黙があった。ヨス?ヨス?ヨス?もっと沈黙があったよ!」とヘルムート・マルコはF1公式サイトに語った。「彼はそれを信じることができなかった。2~3日後に我々グラーツでミーティングを行い、そこで我々はどのようにそれを実現しようとしているのかについてきちんとした答えを出した。そして我々はすぐに契約を結んだ」レッドブルのプログラムは多くの場合、有望なドライバーにとって冷酷であることが知られているが、成功したドライバーは限られている。セバスチャン・ベッテル、ダニエル・リカルド、そして、マックス・フェルスタッペンといった数名のドライバーしかF1で勝利を挙げることができていない。レッドブルのドライバープログラムを率いるヘルムート・マルコは、当時からマックス・フェルスタッペンは他のジュニアドライバーとは違っていたと振り返る。「私は彼と1時間半の会話をした。通常、ドライバーは30分そこそこの会話で入ってくるが、それは非常に長くて良い会話だった。彼の非常に若い体の中のなかには成熟した人間がいた。通常、もっと年上のドライバーでもそこまで十分に成熟していない」「彼はモーターレースだけではなく、重要なことのすべてを知っていた。彼のスポンサーの一社は巨大なスーパーマーケットチェーンであるJumboだ。彼は会社と数字についてすべてを知っていた」「印象的だった。ドライバーのなかには例えばクロアチアがどこにあるのかわからない者もいる!」また、ヘルムート・マルコは、トリッキーなウェットコンディションで行われたノリスリンでのストリートでのF3レースで、マックス・フェルスタッペンの走りを見守っていたときのことを語った。「彼のマシンコントロールは信じられないほどだった。それは私が以前見たことのあるものとは劇的に異なっていた」その後、ヘルムート・マルコはレッドブルに働きかけ、マックス・フェルスタッペンをチームに組み入れ、F1史上最年少デビューを飾った。それ以来、フェルスタッペンは他の多くの“最年少”記録を塗り替えた。昨年序盤、マックス・フェルスタッペンには常にペースはあったが、ミスと言う点で広範囲の批判を受けた。しかし、フェルスタッペンはそれを克服し、スピードを上げ、ミスを取り除いた。ヘルムート・マルコは「彼は勝つという絶対的な意思を持っている。彼はずっと勝ちたいと思っている。最初のうちはそれが少しの問題だった。彼はすべてのプラクティスセッションでさえ常にプッシュしていた。去年のモナコではFP3でそのアプローチが裏目に出て、クラッシュを喫して、勝利のチャンスを失った」「彼は難しい方法でそれを学んだ。彼は勝てるクルマがあったが、愚かなミスをしてすべてが水の泡となったことを悟った。彼は忍耐を学んだ」ヘルムート・マルコは、モータースポーツの最高峰であるF1でそのような才能を管理するのは簡単な作業ではないと語る。「難しこともあるが、最終的に彼は耳を傾ける。議論しなければならないし、その議論を正当化しなければならない。だが、彼も頑固だ。彼の頭のなかにアイデアがある場合、彼を動かすのは難しい」「前向きな方向に向かっている限り、それは強みになる可能性がる。良い議論を提示することができれば、彼は同意する十分な強さを持っている。『はい、僕は間違っていた』とね。すぐにはそうは言わないが、彼はそう言うよ!」