レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ダニエル・リカルドはレッドブルに契約延長にサインすることを伝えていたとし、なぜ急にルノーに移籍する気になったのか“理解できない”とコメント。“非常に奇妙な状況”だったと振り返り、ホンダF1のプロジェクトを信じられなかったのだろうとの見解を示した。
2018年でレッドブルとの契約が期限を迎えるダニエル・リカルドは、メルセデスやフェラーリへの移籍を検討していたが、その可能性が低くなったことでレッドブル・レーシングに残留することが濃厚だと考えられていた。実際、ダニエル・リカルドとレッドブルは数カ月にわたって契約延長について交渉を行っていた。しかし、F1ハンガリーGPの数日後、ダニエル・リカルドがルノーに移籍することが電撃発表された。その決断はF1ファンだけでなく、レッドブルに寝耳に水だったようだ。レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、1年契約を含めダニエル・リカルドの要求をほぼみたす条件を提示していたと明かしており、マックス・フェルスタッペンの“サポート役”に回ることを危惧していたに違いないとの見解を示していた。レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは Servus TV に出演。ダニエル・リカルドの電撃移籍の舞台裏を明かすとともに、いまだにリカルドが心変わりした理由が理解できないと語った。「私には(リカルドの決断が)理解できない。いずれにしても非常に奇妙な状況だった」とヘルムート・マルコはコメント。「交渉は難しいものだったが、オーストリアGP前の水曜日に彼と2時間にわたって話し合いをして、条件面について合意に至っていた。その週末にもう一度話し合いをして交渉を進めていた」「ハンガリーで彼は(レッドブルのオーナー/ディートリッヒ)マテシッツと私にすべてOKであり、テスト中の火曜日にサインすると伝えていた。だが、最終的にそれは実現しなかった」「木曜日に彼から電話があり、声がいつもとは違ったので『我々は大人同士なんだから要件を話してくれ』と言うと、『ルノーに行くことにした』と伝えられた」しかし、ダニエル・リカルドに近い情報筋は、レッドブルから条件を提示され、合意目前ではあったものの、いかなる時点でも合意には至っていないと明かしている。また、ヘルムート・マルコは、ダニエル・リカルドがレッドブル・レーシングからルノーに移籍するとの決断に至ったのは、レッドブル・レーシングが2019年にF1パワーユニットをルノーからホンダに変更することを信頼することができなかったか、もしくはルノーから多額の契約金を提示されたからではないかと推測する。「私が推測するに、彼はホンダのプロジェクトを信じられなかったのだろう。もしくはルノーから多額の契約金をオファーされたのかもしれない。そのどちらかだとしか考えられない」とヘルムート・マルコはコメント。「近い将来、彼にとってシューイを披露するのは難しくなるだろうね」「彼はジュニアドライバー時代を含め、レッドブルと10年を共に過ごしてきた。環境の変化を必要としていたのかもしれない。その気持ちはわからなくもない。だが、残念でもある。彼は最強ドライバーのひとりだからね。彼のオーバーテイクは素晴らし。相手がオーバーテイクされたことを気付かないときさえある」「しかし、予選ではマックス(・フェルスタッペン)ほどの結果を出していなかった」レッドブル・レーシングは、ダニエル・リカルドの後任として、現在トロロッソ・ホンダで走るピエール・ガスリーを起用することを発表。ヘルムート・マルコはピエール・ガスリーの予選パフォーマンスはピエール・ガスリーと同じレベルに達していると語る。「ピエールはまだF1での2シーズン目に過ぎないし、彼には経験が不足している。だが、純粋なペース、特に予選では彼はマックスのレベルにかなり近づいている」とピエール・ガスリーに太鼓判を押した。「シーズン中盤には彼がリカルドの後任をしっかり務めてくれることを期待している」また、ヘルムート・マルコは、同番組のなかで一時ダニエル・リカルドの後任候補に挙げられていたフェルナンド・アロンソにも言及。クリスチャン・ホーナーは、アロンソがチームに“面倒な事態を起こす”存在だとして、獲得を否定していた。ヘルムート・マルコは「2007年か2008年に彼と交渉していた。当時、彼の要求はうんざりするようなものだった」とコメント。「彼のマクラーレンやフェラーリでの歴史を見てみれば、常にワンマンショーだった。我々にそれは適さない」フェルナンド・アロンソは今シーズン限りでF1を離れることを発表している。
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