セバスチャン・ブエミはレースの世界で今最も忙しいドライバーのひとりだ。週末によって、GP2アジアのドライバーだったり、レッドブル・レーシングのサード・ドライバーだったり、ヨーロッパでGP2に出場していたり、世界のどこかでレッドブルのショーカーを走らせていたりする。彼はカート選手からF1チームまで、わずか5年でたどり着いた。では、彼は自分をどのように考えているのだろう。
レッドブル・レーシングのドライバー、それともトラスト・チーム・アーデンのGP2ドライバー?「GP2のレースがないときは、ぼくは100%レッドブル・レーシングだ。できるだけ理解したいので、フリー走行やミーティングなど全て出席する。でも、GP2がある時は、そちらの方が重要だ。GP2で良いパフォーマンスを見せなければF1には行けないからね。フリー走行も見に行くし、情報を得たりサーキットを理解するためにチームの無線も常に聞いているけど、いつもここにいるわけにはいかない。GP2のレースはF1の後か前にやるのでね。できるだけの努力はするが、GP2が優先になる」レースに出場しない週末はどうだろう。退屈しないのだろうか?「ドライバーにとって、レースを観戦するだけというのはつらいことだ。でも、退屈ではない。コースや運転のコツなど、将来的に使える何かしらを学べるからね。シェイクダウンや空力テストや通常のテスト期間にクルマはたくさん運転するから、とても良い経験になっている。でも今はGP2に集中してシーズンの最後までプッシュして行かなければならない」チームから指名された時は驚いた?「驚いたけど、予期していたことだ。昨年のサードドライバーのミハエル・アメルミュラーがレッドブルを辞めることは知っていたので。次はぼくの順番だったし、テストで良いパフォーマンスが発揮できたのも助けになった。でも、サードドライバーはサードドライバーでしかない。レースには出場できないのだから、GP2で良い成績を残して、F1が戦えるだけの実力があるところをチームに見せたい」最終的な目標は?「できるだけ早くF1ドライバーになりたい。そして、レース優勝を果たして、それから世界チャンピオンになりたい。でも、一歩一歩やっていかなければ夢は果たせない。第1の目標はGP2で良い結果を出すこと。次のステップはF1進出、その次・・・目標を設定したら、まずは、それを達成する努力をしなければね。ぼくは、父に何事もステップ・バイ・ステップだと教えられてきたし、ぼくもそれが正しい方法だと思う。父がいなかったら、ぼくは何も達成できなかったと思う。彼はぼくを本当に応援してくれている一番の理解者なんだ」レーサーになろうと思ったのも父親の影響?「4歳のクリスマスに父がカートをプレゼントしてくれたんだ。彼は自分のガレージを持つメカニックだ。たぶん、何を買えばいいか分からなくて、カートを買ったんだと思う。それから、たまに一緒にカートに乗りに出かけたりして、その回数がどんどん増えていって、運転もうまくなって、レースに出場するようになり、他のクラスに出場して優勝してと、一歩一歩進んできたんだ。カートでは、よく優勝した。ほとんど毎回優勝していた。2004年にフォーミュラBMWを始めた。1年目は、2年目のセバスチャン・ベッテルの後ろでシーズンを終えたが、初年度としては良い成績だった。それを見ていたDr.ヘルムート・マルコ(レッドブルのモータースポーツ・コンサルタント)が、声をかけてくれたんだ。ミーティングをやって、2005年のレッドブル・ジュニアチームの契約にサインした。1年目の2004年は自分でレースに出場したが、フォーミュラBMW2年目はレッドブルからレースに出場した。17歳でF3に移って、昨年、もう1年F3に出場して、ヨーロッパ選手権を2位で終えた。昨年はGP2のレースにも何回か出場している。そして、今年はGP2世界シリーズに出場している」それ以来、ずっとDr.マルコと一緒に仕事をしてきたのですか?「今のぼくにとっては、彼が一番重要な存在だ。彼がぼくのボスだから、何をいつ運転するかなど、彼が全てを決める。でも、感謝しているんだ。不調な時も彼がいたから助かった。彼は本当にプロフェッショナルなので、ぼくにとってはありがたい存在だ。ぼくがF1に行くだけの実力があることを彼に証明しようと努力しているけど、今のところ心配はない。彼も状況は分かっているので、常に親身に関わってくれている。今後のことも分かっているので、ぼくの将来に関しては年末に決めることになるだろう」